◇令和7年度関西学生春季リーグ戦第7節◇対近大1回戦◇5月24日◇わかさスタジアム京都
近 大 000 000 020 000=2
関 大 000 200 000 000=2
(近)宮原、増田、森、野口-伊藤、岸本、山崎
(関)荒谷、曽我部、髙岡-小村
1(中)渡邊
2(右)余河
3(三)金森
4(二)下井田
5(左)中村莞
6(一)小谷
7(遊)山田
8(捕)小村
9(投)荒谷
春季リーグ戦最終節は現在リーグ首位の近大と対峙(たいじ)。「優勝争いを繰り広げる相手に一泡吹かせたい」。小谷太誠主将(社4)を中心に意気込む関大ナインは、序盤から先制点を奪う。援護を受けた先発・荒谷紘匡(法4)は5回までノーヒットに抑える圧巻の投球。しかし、8回に同点に追いつかれると、その後は互いに好機を作るも決定打が生まれない。雨中の死闘は延長12回を終えて決着がつかず、引き分けとなった。

降りしきる雨の中、関大の先発マウンドに上がったのは、リーグ最多の9登板目となる荒谷。初回から2個の三振を奪う上々の立ち上がりとなった。裏の攻撃は1死から余河航太(法3)が敵失で出塁。さらに盗塁を成功させ得点圏に進む。しかし4番・下井田悠人(はると=経4)は三振に倒れ、先制とはならなかった。3回は荒谷がキレのある直球と変化球を武器に三者連続三振を奪う。4回は上位打線を相手に真っ向から勝負し、付け入る隙を与えない。好投に応えたい打線はその裏、先頭の余河が粘りを見せ、10球目で四球を選ぶ。続く金森洸喜(法2)の犠打で相手捕手が悪送球。さらに下井田が犠打で送り、1死二、三塁で、リーグ首位打者争いに名を連ねる中村莞爾(安全3)につなぐ。中村莞は追い込まれながらも、左犠飛で先制点を奪い取った。さらに小谷主将が右越適時二塁打を放ち、貴重な2点目を追加。

中盤は膠着(こうちゃく)状態となり、両投手の我慢比べが続く。しかし7回、荒谷は初安打を含む2本の安打を浴び、1死一、二塁とこの試合初めてのピンチに。それでも相手5番・三木(近大)を三併殺に斬って取り、ガッツポーズを見せた。するとその裏、先頭の小谷主将が中前にはじき返し、山田悠平(商4)の犠打で4回以来となる得点圏を作る。しかし、追加点は奪えなかった。雨足が強まってきた終盤。8回は三塁手・金森のグラブをはじく内野安打と、二塁手・下井田の前で大きくイレギュラーした安打で不運にも1死一、三塁に。次打者に中犠飛で1点差に迫られると、打順は上位にかえり、相手1番が中安打を放って2死一、三塁となる。ここで迎えるはリーグ屈指の好打者・勝田(近大)。間違いなく勝負どころとなる場面で、軍配が上がったのは近大だった。右前にはじき返され、試合は振り出しに。

追いつかれた関大は8回、先頭の渡邊貫太(経3)がたたきつけた打球を自慢の足で内野安打とし、出塁する。余河が犠打で送り、クリーンアップへ。しかし3番・金森の放った二直に対し、二塁走者・渡邊は戻り切れず併殺打となってしまった。9回のマウンドにも荒谷が立つと、1死から安打を許す。それでも、ここまで130球を投げてきた荒谷を助けるべく、捕手・小村和大(文4)が盗塁刺殺でピンチの芽を刈り取った。サヨナラを目指す9回裏は先頭の下井田が四球で出塁。続く中村莞は犠打失敗も、小谷主将がこの日3本目となる安打で1死一、二塁に。ここで関大ベンチは代打の切り札・森内大奈(情3)を起用。勝負強い森内に大きな期待がかかるも三振に倒れてしまった。それでも、続く小村は四球を選び満塁となる。9回を投げ切った荒谷の打順で、代打・鹿熊大誠(情4)が打席に。「荒谷を勝ち投手にしてくれ」。ベンチからも声が飛ぶ中、無情にもバットは空を切り、三者残塁となった。

試合は延長戦へ。10回のマウンドには曽我部僚太郎(政策4)が上がる。見事に三者凡退に抑え、エース・荒谷の好投を無駄にはしない。その裏、2死から金森が俊足を生かし内野安打で出塁。雨の中声援を送り続けるスタンドからも、長打力のある下井田の一発に期待が寄せられる。しかし三振に倒れ、9回途中からマウンドに上がるリーグ屈指の左腕・野口(近大)を捉え切れない。11回は曽我部が2本の安打と敬遠で1死満塁のピンチを背負う。絶体絶命の場面だったが、延長戦から守備に就いた遊撃手・宮本青空(はる=経2)が6-2-3の併殺を完成させ、チームを救った。これにはベンチも大盛り上がり。流れは一気に関大へ。すると、先頭の中村莞が右安打を放ち、小谷主将の犠打で好機を作る。好守を見せた宮本青も右安打でつなぎ、1死一、三塁に。三塁走者には俊足の代走・大塚誠人(情4)を置き、サヨナラ勝ちが現実味を帯びる。この好機に小村は初球から打ちにいくも、浅い右飛に。さすがの大塚も、スタートを切ることはできず、2死となってしまった。続く代打・久保慶太郎(商2)も決定打は放てず、試合は最終12回へ。

12回のマウンドに上がったのは、髙岡太征(社4)。より強まった雨をものともせず、気迫の投球で2個の三振を奪い三者凡退に。1番から始まる12回裏の攻撃は、先頭の渡邊が四球で出塁。続く余河の犠打で相手三塁手が悪送球し、無死二、三塁の絶好機を迎える。金森の放った二ゴロに対し、三塁走者・渡邊が三本間で挟まれ走塁死。それでも好機は続き、4番・下井田に命運が託される。これまで幾度となく勝負強さを発揮してきた下井田だったが、痛恨の併殺打に倒れ、3時間13分に及ぶ死闘は引き分けとなった。

強敵・近大相手に勝ち筋が見えていただけに、悔しさの残る引き分けとなった関大。しかし、下を向く暇はなく、あす以降も勝負は続く。延長12回を戦いながらも、荒谷の好投で中継ぎ陣を温存できたことはアドバンテージとなるはずだ。最終節も総力戦で、必ず有終の美を飾ってみせる。【文:櫻田真宙/写真:川元咲季、櫻田真宙】
▼小谷主将
「(試合を振り返って)同点に追いつかれるまではピッチャーも粘っていてすごくいい試合運びでした。でも終盤にチャンスを作る中で得点を奪えず、勝ち切れなかったというのは、負け試合よりも反省が多い試合かなと思います。(自身は前の試合に続いて猛打賞)京大戦辺りから状態が上がってきて、いい具合にボールにアジャストできて打っているので、この調子を継続できればなと思います。(あすに向けて)チームとしてはあまりいい終わり方ではなくて。勝てるチャンスも逃してしまったんですけど、あすも続くので、また次に向けて準備していきたいなと思います」
▼荒谷
「(どんな心境でマウンドに上がったか)まずはしっかりとゲームメークすることを意識しました。昨年の春の近大との最終戦で、僕が投げて1対12で負けたので、そういう意味ではしっかりレベルアップした姿を見せるという気持ちで臨みました。(5回までノーヒットピッチング。序盤を振り返って)思いのほかうまく進んで。試合前はヒットを打たれながらも粘ってというピッチングを想像していたので、その中で被安打0でいけたことは非常に大きかったです。(7回には初のピンチを背負うも併殺打で切り抜けた)やっぱり向こうの上位打線も非常にいいので、絶対にヒットは出て、ピンチはあると思っていたので、その中でいかに粘って投げるかということに重きを置いていました。そこでしっかりと併殺を取れたのですが、その後の8回には点を取られてしまったので、しっかりと反省して次につなげたいなと思います。(あす以降に向けて)投手陣も野手陣も総力戦で頑張って、勝ちにつながるように。そして自分も勝利に貢献できるようにしたいなと思っています」
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