人との繋がり
昨年のコラムでは、「正解がないことの難しさ」という1番学んだことを書いた。私はその年の学んだことをコラムに書いている。3部作も今年をもって終わりを迎える。私にとって、関大スポーツ編集局(カンスポ)のコラムは1年を振り返る大事なイベントだ。今年も、一番学んだことをここに書き記したいと思う。
「これから世界に羽ばたく君たちが、これまでの学校生活で得てきた一番大事なことは何でしょうか」。小学校の同窓会で先生は私たちに問いかける。先生は「人脈です」とはっきり答えた。先生がおっしゃるには、さまざまな経験を通して苦楽を共にした、同級生約60人がこうして固くつながり合っていることは、何物にも変えられないと。一見、当たり前のようなことだが、全ての物事は人とのつながりによって生まれる。それを身にしみて感じた1年だった。
カンスポの今年の目標である「一瞬を一生に 〜KAISERSを伝える・繋ぐ〜」。特に人とのつながりを感じたのか担当している広告での仕事。今年は、ありがたいことに、私たちの取り組みに共感してくださる企業様が増えた。「こういう企業さんがいるよ」と紹介してくださる人がいたり、私たちの紙面や写真を見て、応援しようと思ってくれる企業さんがいたり。特に、一緒に会議に参加してくれた編集長の人とつながる力には圧倒された。彼がいなければ、カンスポは不振に陥っていただろうし、KAISERSの魅力も今のようにうまく伝わっていなかったように思う。どんな時も、「KAISERSを伝える・繋ぐ」ことを大事にしてきた結果が今につながっている。
活動の答え合わせ
昨年、私が考えるカンスポにとっての正解について「書いた記事や新聞を選手たちに喜んでもらえること、『ありがとう』と言ってもらえること」と書いた。これは間違いではない。私が班長をしている拳法とホッケー部女子の選手たちが、3年間の答えにたどり着かせてくれた。「うちの娘、この写真えらく気に入ってるんですよ」とホッケー部の保護者の方が教えてくれた。自分でも、いい瞬間を撮ったなと思う1枚。仲間と笑顔でハイタッチを交わしている写真だった。かっこいいプレー写真がもてはやされるように思われがちだが、仲間と笑顔になっている瞬間も選手にとっては貴重な思い出。私の撮影した写真が、うれしかった思い出の1ページとして、選手に喜んでもらえていたことを知り、自分たちの活動に意義を見出せたと思う。
この1年は、それ以外にも喜びも感じたことがあった。特に印象に残っているのは、ホッケー部女子が1部昇格をした夏の入れ替え戦。それまでは、取材に行くことがあっても競合相手に勝利する機会が少なかった。そんな中、MF山下日菜子主将(人4)は毎度のインタビューで「絶対に1部に昇格します」と宣言。正直、シーズンの初めは強豪に勝つイメージが湧かなかった。しかし、試合を通して選手たちは懸命に全力プレーを見せる。レンズ越しにそんな姿を見て、もしかしたら1部に昇格するのではないかと気持ちになった。1ー0で中京大勝利し、1部に昇格した。秋のインカレでも創部初のベスト8を達成したホッケー部女子。ともに輝かしい快挙にお供できたことはこの上ない幸せな時間だった。
1年半前、私は紙面「関大スポーツ」の変化球に「カンスポという名のテーマパークを心から楽しみ、引退する時に『楽しかった』と言い切りたい」と書いた。最後にその答え合わせをしたいと思う。私は、3年間の活動を通してすてきな仲間や選手たちと出会い、カンスポでしかできない貴重な経験。そして、取材が多い時、編集期間で苦しい時も、常に周りには仲間がいてくれた。そんなカンスポでの経験は私は誇りであり、「楽しかった」と胸を張って言えるかけがえのないものだ。
後輩たちへ
普段、後輩にはあまり物を言わないタイプの私だが、1つだけ覚えておいてほしいことがある。それは、「先人たちがKAISERSに尽力してきたからこそ、カンスポの今がある」ということだ。これは、最高学年になってから痛感するのだが、十数年前の資料を見ると、「全てはKAISERSのために」と書かれている文言があったりする。今も昔も根本は変わっていない。カンスポも栄枯盛衰、部員が数人しかいなかった時期もあるという。そんな中、活動に意義を見出し奮闘する先人がいたからこそ、発展した今があるのだ。今年で創部66年のカンスポには長き歴史と伝統があるが、時代に沿って形を変えながら進化している。後輩たちには伝えること、つなぐことを大切にしながらも、変革を恐れず今よりもっとKAISERSをけん引する存在になってほしいと切に願っている。私は引退するが、カンスポの活動をずっと見守るつもりだ。君たちならきっと素晴らしいKAISERSになれる。【丸山由雅】
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