長いようで短い、関大スポーツ編集局(カンスポ)を引退する時が来た。1年生の頃に書いたコラムのタイトルを考えるのが面倒くさく、なんとなく「未完成」とつけてから、もう3回目となるコラムを書く。これまで「未完成」な自分から、引退する時には「完成」された自分で終われるよう、「途中経過」をつづってきた。
時を遡ること、22年春の新入生歓迎会。「#春から関大」の存在を知り、慌ててX(旧Twitter)のアカウントを作った。とりあえずつながった不特定多数の中で、唯一「新入生歓迎会に行こう」と約束したのが合田七虹(社3)だった。私は関大に入学が決まった頃から、「弓道部かカンスポに入りたい」と目星をつけていた。当日、弓道部のブースには長蛇の列ができていて、先にカンスポのブースに見に行くことに。ブースに新入生はおらず、とても歓迎されたことをよく覚えている。説明を聞いているうちに、活動内容にどんどん魅了され、体験すらせず入部を即決。後に最初は私の付き添いだった合田も入部をし、共にカンスポとして活動する仲間となった。スポーツに無縁だった私が踏み出した新たな一歩。それは、人生を彩る刺激的な3年間の始まりだった。
興味津々でさまざまな取材に赴いたり、新聞制作のルールを学ぶのに苦労したりと、覚えることに必死だった1年生の頃。まだまだ知らないこと、学びたいことがたくさんある中、頼もしい9人の先輩方を見送った。2年生になり、「この先残された私たちだけでやっていけるのだろうか」と不安で押しつぶされそうだったことを鮮明に覚えている。しかし、私たちの不安とは裏腹に、11人の後輩たち、そして途中入部の同学年2人が仲間入りしてくれ、とても心強かった。数ある大好きな競技の中から、班長としてメインで担当する部活も決まり、責任感はありつつも、ずっと大好きな競技を追い続けられる喜びも感じていた。
そして、あっという間に迎えたカンスポラストイヤー。この3年を振り返ると、本当に全ての原動力はKAISERSだったと実感する。喜び、うれしさ、悔しさ、つらさ、全ての感情を陰ながら共にしてきた。その中で、葛藤もあった。報道という立場上、どんな時でもカメラを向けてシャッターを切り、客観的な記事が求められる。KAISERSが試合に勝つ時、最高の笑顔が見られる瞬間は、とてもやりがいを感じた。その一方で、どれだけ願い、努力しても報われないことはある。悔しそうな表情、涙を流す瞬間を目の当たりにした時は、「こんな写真を撮られて誰が喜ぶのだろうか、こんな時にインタビューされたいだろうか」と悩み、胸を痛めた。KAISERSを間近で応援している1人のファンとして、悔しい結果となった試合の撮影やインタビューはできなかった。きっと正解はない。だからこそ、「KAISERSを傷つけないような、悔しさの中にある良かった瞬間に目を向け、記事にしたい」と自分なりの答えを見つけ、その信念を曲げないよう取り組んだ。「今日は貴道さん来てくれるかな?って話してた!」、「記事や写真がモチベーションとなっています!」と声をかけられた時は、涙が出るほどうれしかった。私がやってきたことは決して間違っていなかったと胸を張って言える。
最後の年は、卓球部、弓道部男子、フィギュアスケートを担当。できることは全てやり切りたいと、いつでも取材に行けるように、マイカメラを購入。さらに、KAISERSが競技に懸ける思いと見合うよう、これまで以上に試合告知、号外作りに励んだ。
卓球部は、秋季リーグ戦入れ替え戦の末、男女共に2部に降格。男子は負ければ2部残留が決まる大一番で、香川真哉選手(経4)が大逆転の末に勝利した。4年生の意地と執念、それを盛り上げるチームを見たあの感動は今でも忘れない。女子は他大学と比べても部員数が圧倒的に少ない中、全力でプレーし、全力で応援する姿に毎度心を打たれる。
弓道部男子はリーグで入れ替え戦に進んだが、1部残留を果たした。淡々と弓を引く自分との戦い。あたるかあたらないか、一見シンプルな競技ではあるが、1本が勝敗を分けることもあり、プレッシャーも大きい。それぞれがチームを背負い、戦う姿は本当にかっこ良かった。
アイススケート部(フィギュア部門)の氷上で繰り広げられる華麗な演技は、いつ見ても魅了される。中でも、今年、長かったフィギュアスケート生活に幕を下ろした白岩優奈選手(文4)。国内最高峰の大会・全日本フィギュアスケート選手権大会で、ラストの演技を披露した。白岩選手のスケートを心から楽しむ様子、また多くのファンの方々がバナータオルを掲げ、温かい拍手で見送る光景に、胸が熱くなった。
KAISERSと共に駆け抜けた3年間。正直、これからもカンスポとして取材し続けたいという気持ちもある。これからは、応援するファンの1人として、KAISERSの輝く未来を願い、見守り続けたい。カンスポを通して出会えたKAISERS、大学の垣根を越えた学生記者のみんな、互いに鼓舞し合えるすてきな局員たち。そのエピソードの一つ一つが、私の心の中でいつまでも眠る宝物だ。最後に一言、カンスポに入って心から良かった。【貴道ふみ】
あとがき
これまでカンスポに関わってくださった全ての方々に感謝申し上げます。今後とも、どうぞカンスポをよろしくお願いいたします。
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