12月21日、全日本フェンシング選手権大会。関大スポーツ編集局(カンスポ)としての最後の取材。「今までお世話になりました。本当にありがとうございました」。お世話になった選手、関係者の方々にお礼を言う。
「こちらこそ、本当にありがとうございました」。答えるその笑顔がやけにまぶしく感じて、胸がジンジンとする。
「これが最後の取材だ」。頭では理解していながら、それでもどこか、まだ現実を受け止めきれないでいる。もうカメラを持つことも、記事を書くことも、号外を作ることもない。
「ほんとに引退しちゃうのかぁ」。なんて今もコラムを書きながら、呑気なことを考えている。
まだまだ熱が冷めない頭でこの3年間を振り返ると、本当に充実した、本当にあっという間の3年間だった。特に最後の1年は、一番印象に残っている。なでしこの1部昇格、フェンシングの男女1部昇格、テニスのインカレ制覇…。パッと思い返すだけでも、まるで閃光のように華やかな記憶が蘇る。もちろん、いい結果ばかりを覚えているわけではない。負け試合に涙を流す選手たちの姿を見て、思わず自分も泣いてしまった時もあった。勝ったらうれしくて、負けたら悔しい。感情を共にでき、心から応援したいと思わせてくれる人たちに出会えたことに、感謝してもしきれない。
そして、カンスポに入って一番良かったこと。それは、『人として成長させてもらえたこと』だ。カンスポの活動自体、KAISERSがいてこその部活。選手の方々が迎え入れてくださらなければ、一切活動は成り立たない。取材先でたくさんの人と関わり、話をし、感謝を伝え、伝えられる。どんなに素敵な関係だろうか。誰に作れと言われたわけでもない試合告知や企画、号外の数々。「この人たちの努力をより多くの人に知ってもらいたい」との一心で、自分から動いた。『誰かのために』という思いが原点にある行動力。たくさんの出会いが、私を大きく成長させてくれたと思う。
“しんどい作業も率先してすること、周りを見て声を掛けること。「ありがとう」をしっかりと口にすること。人間として成長させてもらえていると思う。これこそ、本当の「自分磨き」なのだろうか。”
319号で書いた変化球の一節だ。引退を迎えた今、「本当の自分磨きだった」と心から断言できる。楽しいことばかりだけではなかったカンスポでの活動。それでも、しんどい時に、つらい時に、どれだけ周りの人たちのことを見ることができるか。どれだけ相手の立場に立って物事を考えられるか。価値観の違うたくさんの人と関わる部活だからこそ、人として試される多くのことを学ぶことができたと思う。
これからカンスポとしてではない、普通の大学生活が始まる。ここまで書いていて、正直まだ実感はない。けれど、今まで経験してきたことがあるから、なんでも乗り越えられる気がする。そう思わせてくれるのは、KAISERS、そして同期や後輩と一緒に活動できた日々の思い出があるから。私を成長させてくれて、強くさせてくれて、ありがとう。【合田七虹】
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