別れの春。大好きな家族と離れ、地元・伊勢から大阪へ。スマホ1つで、LINEができる、電話ができる便利な時代。特急を使えば、2時間ちょっとで実家に着く。一緒に暮らす祖母もいる。それでも140km。18年間家族に甘えて育ってきた私には遠すぎる距離。泣きながら履修登録をした別れの日は忘れもしない。
とはいえ、出会いの春でもある。基本的に人見知りの私だが、毎日のように訪れる新しい出会いにワクワクしていた。そして、今の幸せの原点である関大スポーツ編集局(カンスポ)との出会いにも。この先の人生において、きっと大きな力となるはず。そんなきれいな期待は特になく、ただ面白そうというほんの少しの興味から入部を決めた。
馴染みのある競技から初めて知る競技まで、全てが新鮮に感じる。同じ競技でも必ず試合展開は違うし、映画を観ているように一喜一憂した。毎週取材がある時は、「大変やなあ、忙しいなあ」と祖母に心配される。休日に朝早く起きないといけないことはつらい。それでも、家を出れば「今日はどんな試合になるのかな」とウキウキする。ほとんどの競技がオフシーズンに入った今、来年の取材がただ待ち遠しい。
カンスポの本業は記事を書くこと。しかし、入部当初から記事執筆には本当に苦労している。大量に返ってくるチェックから何度も逃げたくなった。それでも、同期や先輩に、「陽菜らしい文章だね」と言ってもらえたこともある。うれしかったし、もうちょっと頑張るかという気持ちになれた。自分らしい文章、なおかつ読みやすい文章。これは来年の課題にしておく。
毎日が嵐のように過ぎていったこの1年。まだ19年の人生だが、今まで生きてきた中で1番濃くて充実した1年だった。いつかの日に思ったことがある。自分の選んだ道は間違っていなかったと。入学した春、こんな毎日が来ると思っていなかった。同期、先輩、友達、取材先の選手、アルバイト先の人、もちろん大好きな家族、一緒に暮らす祖母。たくさんの人に恵まれた。自分は本当に幸せだと心から思う。新しい出会い、恵まれた環境に感謝したい。そして、不安だらけで泣いていた春の自分へ。「この先素晴らしい毎日が待ってるよ」。
来年も春の嵐が待っているはず。きっと暖かくて騒がしい春だ。考えるだけでドキドキする。寝落ちして4時に目が覚めても自分の人生。欲張りだけどもっと楽しみたい。【水井陽菜】
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