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◇2024年度ムロオ関西大学ABリーグ入替戦◇対大体大◇12月14日◇天理親里ラグビー場

[前半]関大0-15大体大
[後半]関大19-3大体大
[試合終了]関大19-18大体大

リーグ戦を8位で終え、ABリーグ入替戦へと進んだ関大。この試合に敗北すると来季はBリーグでの戦いとなる。対する大体大はBリーグ全勝優勝を果たし、勢いに乗っている状況だ。試合は序盤に連続トライを許し、前半終了時点で15点ビハインドの苦しい展開に。失点後も相手に主導権を握られる苦しい状況が続いた。後半8分にFB正田青海(安全2)のトライで5点を返すも、その後は点差を縮められない。このまま降格かと思われた同45分、WTB遠藤亮真(経3)がトライ。コンバージョンキックも決まり7点を返す。その8分後、HO大林直人(環都3)がトライ。土壇場で1点差まで詰め寄った。勝負を決めるキックを任されたSO立石和馬(人4)がしっかりとコンバージョンキックを成功させ2点を追加。奇跡の大逆転勝利でAリーグ残留を決めた。

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△スクラムを組む

試合は大体大のキックオフで始まった。開始直後から大体大に攻め込まれる。前半2分、長短のパスを織り交ぜ前進してくる相手に突破を許してしまい、ピンチに。しかし、関大は落ち着いて対応した。タックルを受け倒れこんだ相手選手に絡み、ノットリリースザボールの反則を誘発。失点を未然に防いだ。同9分、再びピンチが訪れる。自陣深くのラインアウトから大体大はモールを形成し、関大のディフェンスを押し切ってトライ。コンバージョンキックも成功させ7点を先制した。同14分、右サイドを大体大に突破され、またしてもトライを献上。点差を12点に広げられてしまう。攻め込まれる時間が続く関大は同25分、WTB遠藤が左サイドを突破。タックルを受けながら、オフロードパスを見せるもうまく味方につながらない。同31分、自陣深くの攻防で関大にオフサイドの判定。大体大はペナルティーゴール(PG)を選択する。難なく成功させ3点を追加。点差を15に広げられてしまった。このままスコアは動かず前半が終了。運命の一戦は後半へと突入する。

関大のキックオフで後半が始まった。試合後に「点差はあったが、焦ってはいなかった」と語ったCTB石川海翔主将(経4)。後半8分に最初のチャンスが訪れる。相手の反則から得た、ラインアウトからパスをつないで相手の守備を揺さぶり、ディフェンスラインを突破。そのままFB正田がインゴールへ飛び込んだ。この日最初のトライで5点を返し、点差は10点に。このまま攻め込みたい関大だったが、我慢の時間は続く。同17分、相手に攻め込まれインゴール付近まで追い込まれる大ピンチに。しかし、関大は粘り強いディフェンスを披露。なかなか前進できずしびれを切らした相手の反則を誘い、危機を脱した。同18分には、ミスからボールを奪われ相手のカウンターを受ける。独走状態となるかと思われたが、HO山本真士(政策3)のタックルで前進を許さない。集中した守備で何とか失点を回避していた関大だったが、同37分、反則をとられPGで3点を献上。点差が13点へと広がった。会場では大体大の大声援が鳴り響く。誰もが関大の降格を覚悟したが、ここから奇跡の大逆転劇が始まった。ロスタイムに突入した同45分、自陣からパスをつなぎ左サイドから前進。最後はこの日何度も相手の左サイドを切り裂いたWTB遠藤が相手を振り切りトライ。コンバージョンキックも決まり点差を6点まで縮める。

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△WTB遠藤


直後の同48分、ボールをつないで相手陣内まで侵入した関大はインゴール手前でラインアウトを獲得。「立命大戦から今日まで時間をとって練習してきた」とCTB石川主将が語ったセットプレーのチャンスとなった。投げ込まれたボールを最高到達点でしっかりとキャッチし地面に着地。そのままモールを組んで前進する。モールはみるみるうちに前進しインゴールへ侵入。最後は替わって入ったHO大林がトライ。スコアは17-18となった。トライ後のコンバージョンキックを決めると追加される得点は2点。したがって決めれば残留、外せば降格が決定する。最後のキックを任されたのはSO立石。静寂の中、SO立石が蹴ったボールは、美しい弧を描きながら2本のポールの間を通過した。SO立石のもとへ一目散に駆け寄る関大の選手たち。ノーサイドのホイッスルが鳴り響く。ロスタイムに起こった大逆転で関大はAリーグ残留を決めた。

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△SO立石
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△勝利を喜ぶ

ノーサイドの笛と同時にピッチに倒れこむ両校の選手たち。激闘の末、つかんだ入替戦の勝利の大きさがうかがえる。今季の関大は思うようなシーズンとはいかなかった。第2節に近大に勝利してから5連敗。ミスが重なり僅差で落とすゲームもあった。しかし、苦しいリーグ戦を経験し、確実に強くなった関大。点差を付けられても焦らず冷静に、1つ1つ改善していく今日の試合は、まさに苦しいシーズンを乗り越えた関大を象徴していた。入れ替え戦の結果、来期もAリーグでの戦いとなった関大。来期は今期成し遂げられなかった関西制覇をぜひ達成してもらいたい。【文/写真:井原郷志】

▽CTB石川主将
「(試合を振り返って)思ったよりも相手のコンタクトエリアでのプレッシャーが強く、後手に回ってしまい、前半15失点してしまった。しかし、今週水曜に後半の開始時点で0-10となっている想定の練習をしていて、メンタル的に焦っている感じはなかった。しっかりともう一度前半の修正点をチームで共有して、最後に逆転することができた。(チームの雰囲気はどうだったのか)チームの雰囲気も焦るというよりは自分たちのしなければいけないことを明確にして修正することに集中していた。(入れ替え戦へどのような準備をしてきたのか)ミスが重なったハンドリングの精度をあげることと、立命大戦の敗因であるセットプレーについての練習をリーグ戦期間よりも時間をかけて練習した。(今シーズンを振り返って)近大に勝ってから5連敗してしまい僅差で敗戦したゲームもあった。うまくいかなかった部分に対してのBAD(悪かった点)について話し合うことが多かったが、BADだけでなくNEXT(改善に向けたアクション)についての話し合いをもっと行うべきだった。ただ、最後にAリーグ残留を決めて、後輩たちに環境を整えてあげることができた。来年度は今年の目標であった関西制覇を後輩たちに達成してもらいたい。(来年度のチームについて)後輩たちは下級生の頃からメンバーに入っている選手も多いので実力的には問題がないと思う。しかし、ゲームの中でプレッシャーがかかる場面に直面した時、どれだけチームの仲間同士が結束できるかどうかが試合の勝敗を分けるカギになると思うのでしっかり横のつながりを意識して戦ってほしい」

▽FB立石
「(試合前の心境は)下級生に残せることはAリーグに残ることだけだったので、絶対に勝って残留を決めたいという気持ちだった。(試合中の心境は)前半15点差で負けていたが、今週水曜日に前半終了時点で10点負けている想定の練習をしていて、その時のマインドやどのように攻めるかをしっかりと準備していたので、その通りやれば何とかなるという気持ちで試合をしていた。(最後のコンバージョンキックのシーン心境は)最初は緊張したが、先週、今週と自分が外したキックを撮影し、分析してきていたので、練習通りに蹴れば決まるだろうと思っていた。最後は自分はやれるだろうと信じて蹴った。(来年のチームについて)今年掲げていた関西制覇はかなわなかったが、日々練習に取り組んで来年は関西制覇を達成してほしい。(今シーズンを振り返って)シーズン途中でポジションが変わりとても苦しいシーズンだった。自分自身はラグビー人生最後のシーズンだったが最後は何とか勝つことができ、後輩たちに(Aリーグで戦う)チャンスを与えることができた。悔いなく引退できてとても良かった」

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