◇2024秋季関西学生リーグDiv.1第5節◇対立命大◇10月14日◇於・たけびしスタジアム京都
【第1Q】関大7-3立命大
【第2Q】関大7-3立命大
【第3Q】関大0-0立命大
【第4Q】関大10-7桃学大
【試合終了】関大24-13立命大
これがKAISERSの意地だ。関学大とともに全国屈指の実力を誇る立命大に、オフェンス・ディフェンス・キッキング全てで圧倒し勝利。第2節、近大に足元をすくわれ、全国制覇どころか全日本トーナメント行きすら危ぶまれる状況から一気に這い上がってきた。どん底を味わい、挑戦者として腹をくくった選手たち。自信を取り戻し、次節の関学大戦を見据えるその目は王者の風格を漂わせた。

K中井慎之祐(法3)のキックで幕が開けた試合。立命大のファーストシリーズはランプレーを中心に、2度続けてファーストダウン更新を許す。関大の陣地に入られるものの、DL芦川真央(法4)のタックル、DB日高義仁(法3)のパスカットも光り、このシリーズ無失点。磯和雅敏監督も「最初のディフェンスで守りきれたのは大きかった」と讃えた。
直後の関大オフェンス。ファーストプレーはQB須田啓太主将(文4)からTE凪亮佑(経4)へのパスでいきなりファーストダウンを奪う。その後3th10と難しい局面でもQB須田主将からWR岡本圭介(文4)へのロングパスで敵陣に侵入。RB前川礼男(経2)、RB阪下航哉(社4)のランプレーでゲインを続けると、最後はWR溝口駿斗(商4)がタッチダウン(TD)。「勝つために先制点は絶対に必要だった」とQB須田主将は短く振り返った。その後の立命大オフェンスをフィールドゴール(FG)の3点に留め、最高の形で第1クオーター(Q)を終える。

立命大のオンサイドキックに対し、素早い反応を見せたWR木下立基(経4)がもたらした攻撃権。第2Q、その好機を得点につなげる。QB須田主将のランプレーでゲインを進めると、最後はWR岡本がフリーでキャッチしTD。「WRで勝たせたかった。完璧なプレーでした」とWR岡本は笑顔でその場面を振り返った。
リードを広げた関大はその後も高い水準で立命大に付け入る隙を与えない。ランプレーを中心に攻撃を組み立ててきた相手に対しても、LB橋本幸樹(経2)のファンブルリカバーでターンオーバー。オフェンスチームがゲインを進められず4thダウンの場面でも、P金森陽太朗(社4)が完璧なパントキックで常に試合を優位に進めた。第1Qに続きこのQもFGによる失点にとどめ、8点リードで前半を折り返す。

勝負の後半戦。第3Qは互いに我慢の時間が続く。一度ずつあったオフェンスの機会を両校ディフェンスが踏ん張り無得点。関大はDB河村龍(法3)のパスカット、DL津田悠空(環都2)のタックルが光った。
第3Q終盤、次の得点がほしい関大オフェンスは自陣から時間をかけて攻め込む。QB須田主将からWR溝口、WR岡本へのショートパスでゲイン。RB阪下のランプレーでも前に進み好機を窺う。相手陣20㍎付近まで攻め込んだ時点でQBサックを受けて後退させられたところで第4Qへ。

41㍎のFGトライ。この試合、ここまで全てのキックを成功させているK中井に不安要素はなかった。安定したキックでチームに3点をもたらし、リードを11点に広げる。
直後のディフェンスでは相手の意地を見せたTDを許すものの、残り8分から始まったオフェンス。再び関大4年生がやってのける。3th&13と無得点でのターンオーバーだけは避けたい場面で選んだプレーコールはWR溝口へのパス。今年関大を日本一に導くために戻ってきた背番号『1』はQB須田主将からのパスを受け取ると、味方のブロックも使いながら一気にエンドゾーンへ。この日、自身2本目のTDは白星にぐっと近づく大きな追加点となった。
DB吉田優太(文2)のインターセプト、LB橋本のQBサックで相手の猛攻を凌ぎ切った関大。最後は攻撃権を持ち、歓喜の瞬間を迎える。けがで今季出場が厳しい状況のWR村上力斗(経4)、WR千本大輝(経4)がヴィクトリーフォーメーションに入り勝利のカウントダウン。電光掲示板が示す時計が0を指した瞬間、フィールド上の選手からは満面の笑顔と、達成感に満ちた表情がこぼれた。

「やったな。やればできること証明した。試合中もみんなめっちゃええ顔してた。このまま自分の思い、いろんな人の思い受けて、日本一までいこう」。試合後のハドルでそう伝えたQB須田主将。試合を通して作り上げた雰囲気、プレーの質、サイドラインからのサポート、どれを取ってもこれまでのシーズンとは違う姿だった。一度は山頂までの険しき道につまずいたKAISERS。ものの見事に立て直し、一つの大きな壁を乗り越えた。次なる山、関学大戦まで2週間。自信を取り戻した関大が一気に関西の頂点まで駆け上がる。【文:稲垣寛太/写真:湯浅あやか】

▼QB須田
「(立命大から勝利を挙げた今の気持ち)優勝戦線に残れたことにすごくホッとしていますし、オフェンス・ディフェンス・キッキングともに苦しい時間でも集中を途切らさずに、強く泥くさく頑張ってくれたかなと思います。(オフェンス・ディフェンス・キック全て今シーズン1番の仕上がりに見えた)チャレンジャーとして引いていちゃなにも起こらないとみんな思っていたので、どれだけ強い相手でも怯まず居続けた姿というのはすごく良かったと思います。(相手の強力なDLに対して、関大OLが最後まで奮闘した)下級生が多い中頑張ってくれたかなと思いますし、彼らのおかげでパスも投げれています。ただ自滅のミスが大事なところで目立っているので、そこを直さないと次はないかなと思います。そこは気を引き締めて関学大戦に臨みたいです。(オフェンスはファーストシリーズでWR溝口がTD)立命大は本当に強い相手で今シーズンここまで先制された展開はないはずなので、自分たちのフットボールをして先制点を挙げることができれば動揺するんじゃないかなということで、勢いに乗れたすごくいいTDだったかなと思います。(関学大戦に向けて)見てる人が応援したくなるようなプレーを爆発させれたらなと思います」
▼WR岡本
「(試合前、オフェンスチームの前で話した言葉について)『俺はこの試合フットボール人生最後になってもいい。この試合にかける。いくぞ』と伝えました。4年生は残りリーグ戦3試合、立命大を倒さないと先もなかったので、自分の身になにがあっても立命大に勝つことだけを考えて士気を上げました。(自身のTDはチームとして2本目。同期のWR溝口に続く形となった)駿斗(=WR溝口)も活躍してくれていて、WRでこのチームを勝たせるという気持ちが2人で強かった。その気持ちがそのまま結果につながってくれたのかなと思います。(右に構えたところから一気に切り返し、最後はフリーでキャッチ。完璧なプレーだった)こんなうまくいくのかというくらい完璧だったので、本当にうれしいです。(その攻撃権は同期のWR木下のオンサイドキックカバーからだった)同期で同じポジションで4年間やってきて、なかなかWRとしては試合に出られない中、キッキングで頑張ってくれているので、木下がやってくれたのを見てたから、僕も『やってやろう』という気持ちになりました。(関学大戦に向けて)今節同様に22年間の思いをぶつけたいです」
▼LB般谷飛向(経4)
「(弟のLB般谷星名とともにスターターに名を連ねた)弟は途中で抜けてしまったので、その分絶対頑張ろうと思っていました。後輩のLB橋本もすごく良くやってくれた。本当に良かったです。弟とスターターになれたことはすごくうれしかったです。昨年から目標というか、一緒にスタメン表に載れたらいいなという話はしていたので、そこはうれしかったですね。(昨年の関学大戦を思い出させるような試合運び。LB陣のパフォーマンスについて)立命大のOLがすごく強かったので、前で止めようということは話していたんですけど、かなり実現できたかなと思います。途中ゲインを出された部分もあるんですけど、比較的いいランの止め方ができたと思っています。(ゴール前でも決死の守りでTDは許さず。DL、DBとともに4年生中心に踏ん張った)4年間ずっと一緒にやってきたメンバーで信頼しているので、DBに後ろは任せました。ディフェンスチームは今年、後輩が中心で出ている中、同期の4年生が活躍しているのはすごくうれしいです。(関学大戦に向けて)この試合もみんな気持ちが入っていて勝てたので、慢心せずに合宿もあるので、乗り切っていきたいと思います」
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