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◇第27回西日本選手権大会◇4月27日◇大阪市立中央体育館◇

 2024年、長谷川元望(もとみ=法3)主将率いる拳法部の初陣が幕を開けた。強豪がひしめく西日本エリアの頂点を決めるこの大会。全日優勝を掲げる部にとっては優勝しておきたいところ。関大は、長谷川主将が「最強」と豪語する実力を備えたメンバーで大会に臨んだ。その言葉に偽りはなく、見事2015年以来9年ぶりの男女アベック優勝のタイトルを獲得。最優秀選手には後藤琉碧(るきあ=文2)と岩木美朱(みあか=法2)が選ばれた。

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△最優秀選手の後藤と岩木

 男子は予選リーグから。勝ち抜き戦となる男子の試合では、1人がどれだけの相手を倒すことができるかが勝負の行方を左右する。初戦は大商大。先峰・岡田英努(文3)は初戦ということもあり、本調子が出ない。胴突き蹴りで相手との距離感をはかるも、2本先取される。次鋒・八木大輝(法4)は中堅までの4人を倒し、最高学年としての意地を見せた。俊敏な動きで相手先峰をわずか10秒で倒すと、2人目は持ち前のリーチの長さをいかし、面突き2本で勝利。その後も、面突きや面横蹴りを駆使し、三将、中堅と順調に倒していく八木。しかし、三将戦中盤で右足を負傷する。最後まで戦い抜いたものの、八木は主力メンバーから退くこととなった。

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△面蹴りをする八木

 続いて登場したのは新進気鋭の1年生、三将・三好舜(文1)。今大会がデビュー戦で、気合は十二分だ。面胴を連続で攻撃し、相手を圧倒する。抑え込み面膝蹴りで勝利。三将を倒し、内畑谷将(法2)に繋げる。内畑谷は体力の温存を考え、得意の組み技を封印。立ち技で試合に臨んだ。体格を生かし、相手副将を場外に出すと距離感を詰め、面突きで1本を獲得。残り1人を残し、寄川虎太郎(法3)にたすきをつないだ。後の対戦を考えると、ここは引き分け以上で試合を終わらせたい。内畑谷が前戦で相手の体力を削っていたこともあり、試合は寄川のペースで進んだ。最終戦は引き分けとなり、関大が勝利した。

 

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△相手を投げる三好


勝てば決勝トーナメント進出が決まる2試合目。大経大と対峙(たいじ)した。先峰・山田航(環都3)は積極的に攻撃を仕掛ける。胴膝蹴りで1試合目に勝利。続く次鋒・岡田は大商大戦とは打って変わり、俊敏な動きとパワーで健闘する。体力的に厳しい展開が続いたが、三将までを倒し、残り2人を三峰・三好に委ねた。後を任された三好はその期待に応えるべく、圧倒的なスピードで確実に1本を積み重ねていく。大将戦では組み技を駆使し、抑え込み面突きで勝利。3人で7人を倒す圧倒的強さを見せた関大。決勝トーナメント進出が決まった。

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△山田

 決勝トーナメント、準決勝の相手は宿敵・関学大。決して気を抜くことができない相手だ。先鋒・丸石大翔(ひろか=法4)は健闘したものの面突きと胴横蹴りを受け惜敗する。次鋒・岡田は相手主導の展開が続いたものの、相手との距離を詰め、胴膝蹴り2本で試合を振り出しに戻す。好調だった岡田だが、2戦目で肩を負傷し、メンバーから外れることとなった。
 三峰で登場したのは、今大会いまだに出番のなかった後藤。準決勝では3勝の活躍を見せた。開始直後から相手・三峰の胴を積極的に狙う。多種多様な攻撃で、仲間からも大きな歓声が湧く活躍を見せ、3人を残し中堅・三好に後を託した。三好は格下の相手に余裕を感じさせる立ち回りで試合を展開。何度も組み技を仕掛け、抑え込み面突きで1本を先制。2本目では相手の足技を逆手に取り、抑え込み面突きで三将戦を制した。しかし、副将戦で三好は強烈な面蹴りをくらいダウン。岡田と同じくメンバーから外れることとなった。それでも、三好は1年生ながら貴重な1勝をチームにもたらした。残すは副将と大将の2人のみ。
 三将・寄川は序盤に面突きで1本を取られ、窮地(きゅうち)に立たされる。しかし、粘り強い寄川はすぐに面突きで1本を取り返した。しびれを切らした相手に組まれ、危ない展開が続いたが巻き返し抑え込み面突きで勝利。迎えた大将戦、終始にらみ合いの時間が続いた。惜しくも勝利とはならなかったが、副将・内畑谷に希望を託した。
 チームに必ず勝利をもたらす。そう強い気持ちで臨んだ内畑谷。その言葉通り、相手の攻撃を強固なガードで阻止。綺麗な面突き2本で圧勝し、関大は4年連続の決勝に進出を決めた。

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△内畑谷

 迎えた決勝戦。ここ数年、龍大が維持している牙城を崩す時が来た。大一番に奮起する関大であったが、今大会で負傷者3人を出しており、犠牲は大きい。急ぎ、レギュラー以外のメンバーが駆り出された。
 試合は先峰・山田がわずか1分で二本先取し、順調な滑りだしと思えた。しかし、龍大三峰の米が無双。中堅までをことごとく倒されてしまう。そんな劣勢を覆したのは三将・内畑谷。この日初めて組み技を披露し、本来の内畑谷の実力を十二分に発揮した。仲間からは「将、カッコいいよ」と歓喜の声が。内畑谷が3勝の活躍を見せ、残すは2人。試合を決定づけたのは、副将・後藤だった。副将戦は昨年の大会で関大から勝ち星を奪った龍大・前田。長身で攻略が難しいと言われる相手だ。しかし、後藤は相手との距離を保ちながら攻撃。隙をつく胴突きや胴蹴りで勝利し、大将戦へ。
 引き分け以上で優勝が決まる最終戦。後藤も相手も終盤まで互いに譲らない展開が続く。残り1分、後藤が面突きで先制するも直後に取り返される。誰もが勝利の行方を見守る中、タイマーがなり、引き分けが確定。7年ぶりの優勝に関大勢は歓喜の声に包まれた。

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△後藤

 一方の女子はトーナメント制で試合が行われた。女子は2年生の岩木主将が土井萌々果(化4)と今年、新たに加わった新入生の中井天鈴(てんり=法1)、前田望結(文1)の2人を率いて試合に臨んだ。男子の長谷川主将に「今年の女子はやばい」と言われるほどの実力を持つ女子チーム。決勝戦で宿敵・立命大を倒し、3年ぶりの優勝に輝いた。

 初戦の京産大戦には前田、中井、岩木の3人が出場した。先鋒・前田は積極的な攻めで胴突きで相手を圧倒。2ー0で勝利する。中堅・中井は開始直後に面突きで1本を獲得。しかし、組み技を仕掛けられ、試合を振り出しに戻される。それでも面突きの撃ち合いを制し、2本を先取。関大は準決勝進出を決めた。

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△中井

 準決勝は同大と対戦した。先峰は蹴りが得意な土井。接戦を繰り広げたが、ラスト5秒で胴膝蹴りを決められ惜敗。同大に1勝を与える。中堅・前田は、緊張感が漂う中、落ち着いた試合を繰り広げる。面横蹴り2本で瞬く間に勝利。勝敗の行方は岩木に委ねられた。
 大将・岩木は序盤に胴突きで1本を決めると、組み技を駆使する相手に関節逆捕りで2本を先取。関大の2位以上が確定した。

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△土井

 決勝戦の相手は立命大。昨年の全日でも優勝している強豪だ。先峰・前田は前戦に引き続き安定した攻めの姿勢と攻撃で1ー0で勝利する。続く、中堅・中井は開始直後に面突きで1本を取られると、蹴りに面突きを合わせられ惜敗。またもや、勝利の行方は岩木に委ねられた。
 大将戦の相手は組みも立ちもオールマイティーな大川。終始、組み技に持ち込まれるも岩木は腰を落とし、耐え抜く。開始1分30秒、岩木が連撃を繰り出し、1本を獲得。その後、何度も組まれ危険な展開が続いたが、タイムアウト。岩木の必死の粘りで2ー1で関大が優勝した。

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△前田

今年も、最終目標に全日優勝を掲げる拳法部。西日本を制した次は6月の全国選抜選手権が控えている。明大や中大など越えなければいけない壁が多く立ちはだかる中、今回のアベック優勝は彼らにとって自信の源となるだろう。全国の試合でも関大旋風を巻き起こせるだろう。今後の拳法部に注目だ。【文・写真/丸山由雅】

▼長谷川主将
「ほんまに後輩たちやってくれたなと思いました。感謝です。ここまで心強い後輩が入ってくれて、もうこっちも心おきなく自分の練習に行ける、やっていけるんじゃないかと 思ってるんで、これからのプラスになりました。(八木の怪我について)7月までに多分治りそうな怪我でもなさそうなので、これから3ヶ月 調子に乗るなって言われても調子乗っちゃうと思うんですけど、いい波に乗って、強い関大を発揮できたらなと思います。今年はリーダーズキャンプとかで男女アベック優勝っていうのをずっと目標にしてきて。全国の目標なんで、通過点としてはとてもいい結果だったかなと思います。今年の後藤、内畑谷の度胸っていうのが感じられた試合でした。もうここまで後輩たちが活躍してくれたなら、東京では全部僕が勝って、後輩たちを楽にさせてあげたいなと思います」

 

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