◇第50回関西学生選手権大会3回戦◇対同大◇7月12日
【前半】関大0―0同大
【後半】関大1―0同大
【試合終了】関大1―0同大
先週に神戸大と対戦し、3―2の接戦を制した関大。課題だった立ち上がりの部分で安定感を見せ、得点こそないもののいい形でゲームを進める。そして後半開始直後、FW百田真登(経2)のクロスにFW宮脇和輝(情4)が合わせ先制。その後、雷雨で試合が一時中断となるも、気持ちを切らさなかった関大が粘り切る。貴重な1点を守り抜き次の試合へと駒を進めた。

前半は前線の選手が躍動し、多彩な攻撃を見せる。自陣からのボールはFW百田が体の強さを見せ相手にボールを奪わせず、MF足立翼(人3)がドリブルで相手ゴールへと切り込む。9分には、FW宮脇がドリブルで運び、MF堤奏一朗(社2)が上げたボールにFW百田がヘッドでファーストシュートを放つ。これは惜しくも相手GKに止められるが早い段階で試合のペースを握った。




前線だけではなく、中盤以降の選手たちも安定感を見せる。MF草刈龍星(法4)は正確なキックで精度の高いボールを送り続け、MF平松功輝(情3)は中盤でのパスカットなどで相手にペースをつかませない。ディフェンスラインでは、DF吉田伸弘主将(法4)の積極的な声掛けや安定感のあるカバー力、DF次木優斗(商4)のヘッドや対人守備でピンチを未然に防いだ。だが、お互いに得点へとは至らない。スコアは動くことなく前半を終えた。




そして迎えた後半。前半までの快晴とは一転、急な豪雨に襲われる。だが、そんな状況をも味方につけたのが関大だ。お互いに落ち着かない後半の立ち上がりだが、3分に左サイドを一気に崩すと、ペナルティエリア内のFW百田からFW宮脇へとクロスがつながる。そしてそのままFW宮脇が押し込み待望の1点を獲得した。「1番点を取れるポジションにいようと思って待っていたらいいボールが来たのでうまく押し込めた」とFW宮脇。悪天候にも負けない勝負強さを見せた。

だがその直後、雷も鳴り出し試合は一時中断となる事態に。雨が上がり試合が開始できる状況になるまで約1時間20分もの時間が流れた。そこでDF吉田伸主将は「受け身にならずにもう1点取りに行く気持ちでやっていこう」とチームの士気を落とさない。その影響もあってか、関大はより一層強度を見せた試合を展開。途中出場のMF深澤佑太(社3)は30分に前線でボールを受けてシュートを放ち、こぼれ球にはMF平松が反応するも枠外となる。しかし、あわや追加点かと思うような積極性を見せた。




その後も、ゴール前まで侵入される場面が訪れても、MF梅津克貴(社4)が献身的かつ積極的な守備で守り切る。試合終盤、体力的にも苦しい場面だが、チーム全員で奮闘する関大らしいサッカーを体現。被シュート数も最小限に抑え、見事同大相手に接戦を制した。




3回戦を突破し、続くはリーグ3連覇中の大体大だ。強敵を相手に迎えるのは勝てば総理大臣杯出場が決定する大一番。「チャレンジャー精神を持って自分たちらしく戦って全国大会の切符をつかみたい」とDF吉田伸主将。必ず勝利を収め、「全員サッカーで日本一」への一歩を踏み出す。【文:宮本晃希/写真:勝部真穂】
▼前田雅文監督
「今まで立ち上がりが課題で、前回の神戸大戦は立ち上がりを改善しようとして、1点は取れたけど、2点を返されてしまった。今回はその反省も生かして臨んで、立ち上がりで得点は取れなかったけど、うまく入ったりとか、優位に試合を進めてくれたのはよかった。ラインコントロールのところが課題だったので、そこはピッチの中で改善できたと思う。守備にチーム全体で行くときにちぐはぐしてしまっていたところがあったので、ハーフタイムにはそこを修正させた。前半の立ち上がりが良かった分、後半も同じように進めていこうという話をした。(FW宮脇の得点シーンについて)よくあの場所にいてくれたなという感じ。スーパーゴールというわけではないけど、練習でよく言っていることでもあるので、そこに入れたことは良かった点だと思う。今沼田が抜けていることもあり、同じタイプの宮脇が点を取ったことでチーム内に競争が生まれて、そこで切磋琢磨することでいい循環を生むと思う。難しい局面でどうにかしようとすることでチームの成長につながるので、良い結果だったと思う。(試合が中断したときの声掛けについて)入りのところは気を付けてほしいということを言った。ほとんどの選手がうまくは入れたけど、うまくはいれなかった選手もいた。見ていて難しかったのは50分試合して1時間20分休んだとはいえ、体力を回復できているのかどうかを見極めるのが難しかった。(DF吉田伸主将について)ピッチ内には11人の選手がいて、思っていることはバラバラ。そこをつなぐのはコミュニケーション能力だと思うので、そこに長けているところで、個人の力というよりは、チームの力を引き出してくれる選手だと思う。(MF草刈のパスについて)うまくつながらなかったものもあるけど、チャレンジボールなので全部が全部通るわけではない。1試合であれだけ通してくれればチームとしては押し込める。ミスは仕方のないことなのでああやって狙っていってほしい。ドリブルでサイドから押し込んでいくことも可能だけど、パスだとドリブルとは違って、20メートル、30メートルほど成功すれば押し込めたりするので、それ一つでチームの状況が変わったりする。(次戦について)全国大会に出場するためには勝たなければいけない試合で、自分たちの目標は全員サッカーで日本一なので、そもそもスタートラインに立てないと意味がない。リーグ優勝をここ数年果たしている体大が相手ということで難しくなるとは思うけど、勝てれば自分たちの力も成長すると思うし、勝って全国大会を決めたい」
▼DF吉田伸主将
「今の気持ちは率直にうれしいのと安心している。最近チームとして序盤に失点してしまうことが多かったので、そこを改善しようとは話していた。そういった部分はよくなっていて、得点こそなかったが、良い立ち上がりができたと思う。相手が1トップだったので、そこは次木選手とコミュニケーションをとりながらチャレンジ&カバーを徹底した。自分の頭をボールが超えた後に足を止めないことが大事なので声をかけていた。チームとして絶対にやらないといけないところは共通認識を持ってやれていたと思う。(ハーフタイムでの声掛けは)トップチームであるからには結果で応えないといけない責任があるし、その中でベンチメンバーを含めて全員に勝利を目指してもう一度ギアを上げていこうと話していたので、そこが後半の立ち上がりの得点につながったのかなと。(FW宮脇の得点について)宮脇選手が得点を決めるのがチームとしても一番盛り上がることなので、自分自身もうれしいし、チームが苦しいときに得点を取ってくれるエースの仕事をしてくれたので心強い。次の試合も期待している。(試合中断時は)いつ再開するか分からなかったので、体を冷やさないことだったり、水分を取って試合で100パーセントの力を発揮するための準備をした。1点を取った後だったので相手が点を取りに来ることは分かっていた。なので、受け身にならずにもう1点取りに行く気持ちでやっていこうという話もした。(今回のディフェンスについて)監督やコーチの方にも言われたけど、ここ最近で一番関大らしく体を張って戦えたのかなと思う。やっぱり簡単に勝ち上がっていけるわけではないので、関関戦を8―0で勝ってからチームとしても勘違いみたいなものがあったのかなと思う。そこを今回みたいに一新して泥臭く戦うことが大事だと再認識した。一選手として試合に出られることはうれしいし、キャプテンとしてチームの思いを背負って結果で返すのが同期の仲間だったり、チームや関わってくれる人がよろこんでくれることだと思う。そこにこだわって、次勝てば全国大会が決まるので、難しい試合になるとは思うけどチーム全員で戦っていきたい。(次戦について)大事な試合になって、リーグ3連覇中の相手になるけど、チャレンジャー精神をもって自分たちらしく戦って全国大会の切符をつかみたい」
▼FW宮脇
「まずは次につなげられることができてほっとしている。(得点シーンについて)左サイドでボールを持っていて、うまく百田選手が抜け出してクロスを上げられる状態だった。そこで自分は一番点を取れるポジションにいようと思って待っていたらいいボールが来たのでうまく押し込めた。自分はどちらかといえば明るい方だと思うので、自分が点を取ることでチームが明るくなればいいかなと思う。(FW陣の争いについて)監督にはFWは点を取るポジションだと言われているので、アピールをするためには点を取ることが大事になってくる。ここ2試合では点を取れているので、そういったところではアピールできていると思う。でも、あと1、2点は取れるチャンスがあったので、そこを決めると決めないでは、チームにとっても大きく変わってくる。なので、そこでもう1点取れるような選手になりたい。守備の時間が多くなると攻撃に使える余力がなくなるということが前期のリーグではあった。今日の試合では後ろが安定してくれたので、前に力を出せた。(2年前の総理大臣杯から)試合に出られない時間が多くて、自分はどうしたらいいかを考えた。ライバルになる選手は沼田選手が一番近くて、その選手が点を取って、そこで負けてられないという思いが今日までの結果につながったのかなと。(次戦について)ここ2試合連続で点を決められているので、全国を決める試合でも自分が点を取ってチームを全国に導きたい」
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