◇第25回大阪選手権大会準決勝◇対FC大阪◇8月20日◇J-GREEN堺◇
【前半】関大 0-0 FC大阪
【後半】関大 0-1 FC大阪
【試合終了】関大 0-1 FC大阪
※無観客試合
勝てば天皇杯出場に王手がかかる大一番。相手は今シーズン、JFLで首位を走るFC大阪だ。序盤からパワフルなFC大阪の攻撃に押され、耐える時間帯が続いた。徹底した守備で前半を0-0で終えるも、後半の立ち上がりで痛恨の失点。控え選手も投入し、流れを変えたい関大だったが、最後まで相手ゴールを揺らすことはできなかった。日本一への最初の関門。しかし、ここで天皇杯への道は途絶えてしまった。
オレンジ色に染まった夕空の下、運命の一戦がスタートした。立ち上がりからボールを占拠できず、ペースをつかまれてしまうが、その中でも果敢にゴールを狙ったのはFW高取誠隆(人3)。5分、自ら運びシュートを放つも、これはゴール右にそれた。相手は関大勢を上回るフィジカルの強さで、積極的に攻撃を展開。セットプレーから得点機を演出されるも、DF小山新主将(商4)や、DF次木優斗(商3)が対応し、難を逃れる。GK光藤諒也(文3)も前に出て打たせる前にボールをつかみ、何度も攻撃の芽を摘んだ。23分には左サイドを崩しFW高取がクロスを上げる。FW沼田駿也(政策3)が頭で合わせるもわずかに外れた。
FC大阪の勢いはまだ落ちず、苦しい時間帯が続いたが、MF深澤佑太(社2)のパスカットや、DF松尾勇佑(文2)の見事なボールさばきで相手の流れを切った。FW沼田が少し遠い位置からでもミドルシュートを放つなど、関大もゴールへの意欲を見せる。しかし、決定機はなく、はじめの45分を終えた。
後半、流れを変えたいところだが、いきなり自陣ゴール前まで運ばれる。上がったクロスはDF小山が頭ではじき返すも、嫌な展開は続く。そして6分、左サイドを崩され、ついに先制されてしまった。ゴールを決め、さらに勢いを増したFC大阪はその後も関大ゴールを脅かす。しかし、守備を徹底し直し、追加点は与えずにこの場をしのいだ。10分には関大にもチャンスが。MF草刈龍星(法3)のパスからFW福原涼太(経4)がシュートを放つも、枠内には収まらなかった。15分にはDF長井一真(社4)とMF松本歩夢(文4)を投入。TOPチームでの経験豊富な2人の起用に逆転の期待がかかった。その5分後には、MF梅津克貴(社3)が起点となり、MF松本、MF高取とパスがつながる。コーナーキックを獲得し、はじかれたボールに食らいつきFW福原がクロスを上げるも、GKが飛び出してキャッチされてしまった。
その後も、途中出場のMF足立翼(人2)からパスがつながり、攻撃を組み立てるも、シュートには至らず。関大の攻撃について「やり直して、やり直してという感じ」と前田雅文監督。前線まで運んでも、また最後方まで返されてしまう。パスがつながってもシュートまで持ち込むことが難しかった。DF長井からパスを受けたDF坂口貴哉(人4)が放ったミドルシュートはゴールのわずか左を通り過ぎる。その後は、攻撃に持ち込むことはできず、守備に徹して、試合終了となった。
ゲームを通して守りが良かっただけに、失点が痛かった。前2戦に比べるとチャンスの数は少なかったが、数少ないチャンスを決めきれなかったところも悔いが残る。「90分通してどれだけ自分たちの良さを出せるか」とDF小山主将。この課題は9月のリーグ戦への宿題となった。選手インタビューでは口々に、「サポートしてくれている人たちのために勝ちたかった」という言葉を聞いた。選手の原動力は支えてくれている部員なのだと感じた。TOPチームはこれからインカレ出場を懸けたリーグ戦を迎える。今大会で悔しさを味わった選手たちは、リーグ戦でその借りを返し、勝ち点3を積み重ね、関大サッカー部全体の原動力となる。【文:勝部真穂/写真:遠藤菜美香・宮本晃希】
▼前田監督
「力強く来る相手に対して、準備はしていた。相手のロングボールに対しての対策など。準備していたが、結局そこでやられてしまった。想定していた中でのやられ方という感じだった。関大の守備のはめ方がどうこうというのは、今日の試合ではあんまり関係なかった。ロングボールに対して、だれがチャレンジするのか、だれがカバーするのかっていうようなところ。戦術的なところではなく、チャレンジアンドカバーが1回だけ不成立になってしまって、それをやられてしまった。攻めは相手コートで自分たちがつないだりする中で、相手がハードにタックルしてきたり、ボールを取られてしまったりで、自分のキーパーのところまでボールが返ってきていたので、またやり直して、やり直してという感じだった。回数がどうしても少なくなった。その少ない回数の中で、やり切るということがなかなかできなかった。(リーグ戦に向けて)技術の高い選手も多い。そういう選手たちが生きるようにしていきたい。その上で、今日のようにそれを阻止しようとするチームも当然出てくる。数少ない中でもゴールにボールを届けていきたい」
▼DF小山主将
「自分たちのいい部分を出せた時間帯と、相手のやりたいことに乗っかってしまって、自分たちの思うようなサッカーをできなかった時間帯があった。90分通してどれだけ自分たちの良さを出せるのかということが今後の課題になるかなという風に感じた。(相手は)ロングボールを使ってきて、前にどんどん勢いよくというパワフルなチームだった。そこに対してディフェンスラインが強くいって、前に蹴らせないという守備を徹底しようというところで、その守備がうまくいってた時間帯もあったが、それでもワンチャンス、相手に決められてしまった。90分集中し続けないといけないと改めて思った。そこが改善点かなと感じた。部員の多くも期待してくれていたと思うが、それに応えられなかったのがすごく悔しい。やっぱり天皇杯に出たかった。今年は前期のリーグ戦が無くなったりだとか、総理大臣杯が無くなったりで公式戦が少ない中で、少しでもこの仲間でサッカーしたいという思いがあった。すごく悔しい。(リーグ戦に向けて)終わってしまったことに悲観的になっても仕方ないので、この試合で出た課題というのをしっかりチームでクリアにしながら、この大会で負けたことが自分たちの成長につながったと言えるように、リーグにいい状態で臨めるように、チームで一からやっていきたい」
▼DF坂口
「天皇杯出たかったので、負けたのは悔しい。相手のやってくることも(対策していて)わかっていたので、その中でワンチャンス、相手のやりたいことをやられて失点したのがDFとして悔しかった。今こうして周りがサポートしてくれて、公式戦ができている。その中で自分たちは結果で恩返しをするということをみんなで言ってて、その上で天皇杯出るということを掲げていた。その中で勝ちきれなかったのと、自分たちは一番プレーで見せたくて、勝つためのプレーを表現したかったので、そこが悔しかった。(相手のFC大阪について)自分たちが個人で目指しているのはもっと上のレベルなので、そういう意味では負けられない相手。身体能力とかで自分たちより相手が上なことはわかっていた。その中で自分たちがどう対応していくかを、練習から声掛け合いながらやっていたので、守りきれなかったのが一番の敗因かなと思う。(リーグ戦は)一回りしかないので、負けたら全国大会、インカレというものが遠のいてしまう。自分たちは「全員サッカーで日本一」という目標を掲げている。一戦一戦無駄にせずに勝ち続けないと上にはいけないので、勝ちを目指す集団として、一つ一つの練習とかプレーにこだわって、自分たちで求め合いながらやっていきたい」
▼DF次木
「勝てば決勝いけるということで、気合が入っていたが、1つのチャンスをものにされて、決勝にいけなくて、悔しい気持ちでいっぱい。僕はもともとスタートという立場じゃなかった。けが人がいて、チャンスが回ってきた。連戦で結果残して、この試合も出れたので、天皇杯(出場)をものにしたかった。僕自身もだし、チームとしてもチャンスをものにするという強い気持ちでいたので、結果につなげられなくて、非常に悔しい。(相手は)僕らよりも身長とか体格的にも上回ってる選手が多かったので、ディフェンスラインとしては、チャレンジアンドカバーだとか、相手に100の力で打たせないというところを常に意識してやっていた。でも、後半で少し隙を見せてしまったところがあって(失点につながった)。そこは学生リーグでこれから詰めてやっていきたい。(リーグ開幕に向けて)僕自身はずっとTOPでやってきたわけではないが、下のチームでTOPチームがどういうチームかということをスタンドからずっと見てきて、それだからこそわかるものもある。だれよりも強い気持ちを持ってこれからもやっていくということに変わりはないので、TOPチームから関西大学サッカー部にいい影響を与えれるように練習から100%でやっていきたいと思う」
▼MF草刈
「相手が結構フィジカル的に強い相手だったので、そこは試合前から準備してやってきたが、相手の土俵でサッカーする時間が長くて、なかなか自分たちのリズムというか、時間が取れなかったのが悔しい。こういうコロナの状況で大会とかがなくなっている中で、みんなで一つ一つ勝って優勝して、天皇杯出れるようにという気持ちを持っていた。そこで勝ち切れなかったのが残念。僕は中盤の選手なので、もう少し足元でリズム作りながら、シュートの回数、決定機の回数が今日は少なかったので、練習で積み上げていかないといけないと思う。(リーグ戦に向けて)しっかり切り替えて、このゲームなら学ぶことは学んで、リーグは前期は無くなっているので、しっかりみんなで一試合一試合大切にして、インカレにいけるように頑張っていきたい」
▼FW沼田
「勝たないといけない試合だったが、自分たちで状況を悪くしてしまったり、いらない時間の使い方とかをしてしまった。そういうのも含めて課題が見えた試合だった。公式戦ができるかできないかの中で、本当にこうして大会運営してくれた方々がいたので、公式戦ができたことにはすごく感謝している。この試合で見つかった課題とかをこれからの成長につなげていきたいと思う。(相手は)試合前の分析とかでも蹴ってくるってわかっていたし、自分たちよりフィジカルとか能力も相手の方が上回っていた。自分たちが強くなっていくためには、そういう自分たちよりカテゴリも上のチームに勝っていかないといけないと思う。本当にこの試合を次に生かせるようにしていきたい。(リーグ戦に向けて)コロナのこともあって公式戦が少なくなっているが、一試合一試合を大切に勝ち点3を積み上げて、インカレがある可能性を信じて、しっかり準備していきたい」
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