◇第94回全日本フィギュアスケート選手権大会1日目◇12月19日◇国立代々木競技場第一体育館
[男子SP]
7位 片伊勢 78.40
19位 朝賀 69.48
23位 木科 66.16
国内最高峰の大会・全日本選手権大会(全日本)がついに開幕。関大からは男子ショートプログラム(SP)に木科雄登(M2)、片伊勢武アミン(法4)、朝賀俊太朗(文2)が出場した。会場が青幕に包まれる特別な舞台で、それぞれが思いの丈を込めた演技を披露する。全員が24位以内に入り、あすのフリースケーティング(FS)進出を決めた。
会場に全日本特有の緊張感が漂う中、第1グループに登場した木科。この全日本をもって現役生活に別れを告げることを公言している。大歓声を一身に浴びてリンクインすると、滑らかに滑り始めた。冒頭に挑むは、今シーズンうまくはまらないことが多かったトリプルアクセル。勢いよく跳び上がりってきれいに着氷すると、拍手が鳴り響く。GOE(出来栄え点)1・03の加点を引き出した。続く3回転フリップは2回転となり、得点が無効に。しかし、最後には3回転ループ+3回転トーループを降りる。『Give Me Love』の切なげな音色に乗せて、思いを込めたスケーティングを披露。SP23位で、最後の舞台となるFSへの進出を決めた。

第3グループの1番滑走には片伊勢が登場。『月の光』の神秘的なメロディーが響く中、ゆったりと演技を始めた。冒頭のトリプルアクセルを軽やかに決め、GOE2.29の加点を得る。3回転ルッツ+3回転トーループと3回転フリップもきれいに降り立った。さらに、3つのスピン全てでレベル4を獲得。月を見上げるようなポーズで演技を締めくくると、会場中からスタンディングオベーションを受ける。全日本でのSPを自身最高順位の7位で終え、FSへとつなげた。

この日の関大勢ラストを飾ったのは、2回目の全日本となる朝賀。今シーズンは9月のけがから復帰し、今大会出場を果たした。勢いよく滑り始め、冒頭のトリプルアクセルを着氷。しかし、続く3回転ルッツは2回転に。それでも、コンビネーションの2本目に3回転トーループをつける。『The Fire Within』の重厚感あふれる音に合わせ、内なる炎のように力強いスケーティングを披露。見る者全てを引きつけ、演技後には充実の表情を浮かべた。

全日本という大舞台で、3名全員がFS進出を決めた。あすはいよいよ運命のFS。これまでのスケート人生で積み重ねてきた努力を今、ここに。幾多の思いを演技に込め、その足跡を銀盤に刻む。【文/写真:中吉由奈】
▼木科
「(演技を振り返って)ここ最近で一番いいアクセルが入りましたし、試合自体すごくリラックスした気持ちで臨めました。もう本当に楽しもうっていうか、初出場くらい何も恐れるものがなく、久々にこんなに試合前から楽しみながら臨みました。ミスはあったんですけど、ステップも本当に気持ち良く滑れました。ジャンプに関しては満足のいく演技ではなかったんですけど、自分のスケートだったり、見せたかったものが全部見せられたと思います。(観客席からの反応は)僕の中ではフリップを完璧に決めて、ガッツポーズをするっていう想定はしていて。最後だし、引退だし、ダブルフリップになったけどこけてないし、スタオベとかしてくれるかなと思ったんですけど、ちょっと皆さん厳しくて思っていた反応じゃなかったんですけど(笑)たくさんの方に応援してもらって、バナーもたくさん見えて、本当にうれしかったです。(全日本までの調子は)この1、2週間ですごく調子が上がり切って、ずっといい練習が積めてきていたので、不安は全くなくて。本当にいい状態でここに来ることができたなと思います。今までだと前日に寝られなかったり、寝ようと思って目をつぶっても頭の中でショートの曲が流れてきて、何回も何十回もやり直すみたいなことがあったんですけど、今回はぐっすり眠れて。本当に清々しい気持ちというか、演技に行く前も、どんな演技をしても悔しがる必要はないし、僕はもう次がないので。思いきりやろうっていうことだけ考えて、その結果すごくリラックスした状態で臨めたと思います。(今シーズンのここまでの過ごし方は)『あと何日で俺辞めるんだよ』とかみんなに言いながら練習していたんですけど、あまり実感がなくて。いつもと変わらずって感じだったんですけど、今年は西日本で調子が上がりきらなかったので、逆に全日本にいいピーキングができたと思います。今日も(トリプル)アクセルをきれいに降りて、やっぱりラストシーズンの力じゃないけど、こうやってノーミスの演技ができるんだなとかって思ったらフリップ失敗しちゃったので(笑)やっぱりそういう気持ちは抑えていかないといけないって最後に学びました。(今シーズンで本当に引退するのか)もう試合は全日本で辞めるっていうのをずっと決めていたので。今のが最後だったかもしれないし(囲み取材時点)、フリーが滑れたらあすが最後になると思います。どんな結果であっても、自分は今日の演技は結構やり切れたと思うので、あまり悔しくはないですね。(FS進出を決めて)フリーは順位も得点も気にせず気持ちよく滑って、見に来てくれる方たちに自分のこれまでの全てを見せられるような、気持ちのこもったスケートをしたいなと思います。記憶に残るような演技をできるように頑張ります」
▼片伊勢
「(演技を振り返って)全日本の舞台で崩れることなくまとめた演技ができたのは良かったかなと思うんですけど、目指していた点数とは少し違っていたので、そこがちょっと悔しいなって思います。(トリプル)アクセルはきれいに決まったと思うんですけど、他の2つのジャンプがうまく降りてこられなくて立て直した感じになってしまったので、加点が伸びにくかったのかなと思います。思っていたよりも体力の消耗が激しかったので、最後のステップだったり、スピンをもっと軽やかにやりたかったなとは思います。(その点数は)80点を狙いたいなと思っていて、ノーミスでいい演技ができればと思っていたので、そこに少し及ばない形になってしまって。まだリザルトが分からないんですけど、あすまでに改善できるところはしっかり改善したいです。(演技後にはうなずく仕草もあった)練習に比べたらジャンプの質や一個一個のエレメンツの質も少し劣ってしまいました。100点が出せなかったにしても、70点80点は出せたかなと思うので、少し納得したような感じでした。(山田耕新さんがコーチをされている)関西大学アイススケート部の監督をされていて、部活動として監督に帯同をお願いしたとような形です。移籍とかそういうのでは全くないです(全日本での7位は過去最高順位ですが)全日本で7位という結果は、自分でも驚きはありますが、これまで積み重ねてきたことが少し形になったと感じていて、素直にうれしいです。(FSに向けて)フリーでは順位を意識しすぎず、ショートで得た良い感覚を大切にして、自分らしい演技ができるよう集中して臨みたいです」
▼朝賀
「(演技が終わった時の心境は)昨年の全日本はジュニアからの推薦だったので、重圧とかはなく滑れて楽しかった感じで。今年は本来はもっと上を目指すべきだったんですけど、けがの影響でそこはかなわないということで、今回は出るからには楽しんで滑ろうと思って演技しました。ミスはあったんですけど、その中でも僕のやりたい演技というのはできたかなっていう思いがあったので、少し長めに氷には膝をついていました。(朝の練習でのアクセルの転倒の影響は)直前には痛みはほとんどなかったんですけど、終わってからアップに入るまで足首の違和感っていうのは強くて。軽い捻挫をしてしまったのかなっていうのはあるんですけど、本当にこのショートプログラムに懸けていたので。そこはアドレナリンと気持ちでなんとか乗り越えることができました。(その中でも全日本での目標に掲げたトリプルアクセルを着氷した)跳んだ瞬間にどこで開くか分からなくて、でも武史先生(=本田武史コーチ)に大きい声で『はい!』って言ってもらえて。そのおかげで結構バチンと決めれたので、それは良かったなと思います。(20歳の誕生日であるあすのFSに向けて)今回はフリーの日が誕生日だったので、ショートプログラムで落ちたらどうしようかと思っていたんですけど、通ったのでひとまずそこは良かったです。19歳ラストの全日本は終わったので、次は20歳初の全日本ということで(笑)あすは思い切って滑ろうと思います」
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