◇ 第74回全日本学生選手権大会 ◇対早大◇10月30日◇ 大井ホッケー場メインピッチ
[第1Q]関大0―0早大
[第2Q]関大0―1早大
[第3Q]関大0―0早大
[第4Q]関大1―1早大
[試合終了]●関大1―2早大
大会オープニングゲームとなった早大戦。5年連続の出場となったインカレの舞台で、初戦突破を目指して挑んだ。迎えた1戦は序盤から目まぐるしく攻守が入れ替わる展開に。先に試合を動かしたのは早大。第2クオーター(Q)終了間際にペナルティーストローク(PS)を与えてしまうと、冷静に決められ先制点を許す。後半は、関大が何度もペナルティーコーナー(PC)を獲得。第4Qに待望の同点ゴールを奪う。しかしすぐさま失点し、1点ビハインドに。試合終了間際にもPCを獲得したが、決め切れず初戦敗退となった。
「相手の方が力はある。それでも、勝てない相手ではない」。試合前にそう語ったのは、副将のMF中川樹(商3)。今秋勢いのあるチーム状況もあり、試合は好ゲームが予想された。関大は、けがから復帰したGK髙瀬悠貴(はるき=人2)を守護神に据え、試合開始。第1Q1分、いきなりアクシデントが発生する。FB和田陽向主将(人4)のスクープパスが、MF川﨑陽奈太(経3)に直撃。試合は一時中断する。東京の大井ホッケー場まで駆けつけたATルーム学生トレーナーの太田葉輔(社3)が救護し、MF川﨑は担架で離脱を余儀なくされた。開始早々に中盤のパスを回せる選手を失い、苦しい戦いとなる。それでも、FB和田主将とMF中川樹を起点に攻撃を組み立て、FB高木裕翔(経2)のパスで前線へ。セットプレーからFB和田主将のリバースショットが中央に飛ぶ。しかし誰も触れず、得点は奪えなかった。同5分には、FW眞田晄希(商1)のパスカットからサークル内へ。MF五十棲智輝(社3)、FB朝野結貴(法4)とつなぐも、シュートは打たせてもらえない。その後も、FB和田主将からFW眞田やFB佐藤彰斗(法1)へスクープパスが飛ぶ。普段戦うことのない関東のチームに対して、FB和田主将のスクープパスが読まれることなく見事に通り、好機を演出。しかし、サークル付近での固い守りでうまく攻め切れない。すると一転して同10分にはPCを献上。それでも、GK髙瀬が左手1本で止め、FB村田蒼生(社3)がすぐさまクリアをする。同12分にもPCを与えるが、GK髙瀬がブロックし先制は許さなかった。

第2Qは、開始直後にMF小田切涼太(経3)が左サイドを駆け上がる。同4分にはFB和田主将が自陣付近で相手のボールを奪い、一気にサークル内へ。PCを獲得したかと思われたが、審判の判定はノーファールでセットプレーを取り切れない。同5分には、カウンターからPCを献上。ここもGK髙瀬が立ち塞がり、ゴールを守り抜く。続けて放たれたシュートも止め、スタンドから歓声が沸き起こった。ピンチが続く中、MF中川樹が再び組み立て直す。すると、MF壬生航誠(情1)のプレスもあり、FB村田が左サイドの高い位置で相手のボールを奪取。一気に攻めたいところだったが、サークル内には踏み込めなかった。それでも同12分、FW中川光(経4)がこの試合初のPCを獲得する。FB和田主将のフリックに期待が寄せられたものの、得点とはならない。その後のセットプレーでは、FB和田主将の鋭いパスに対して、MF五十棲が倒れ込みながらタッチシュートを狙うも、ゴール左へそれた。このまま両者無得点で終わるかと思われたが、残り1分を切った時に痛恨のPSを献上。ここを冷静に流し込まれ、先制を許し前半が終了した。

関大のセンターパスで始まった第3Q。開始直後から、FW眞田が巧みなドリブルで前線へ運ぶ。同4分には、FB和田主将が起点となり、FB朝野を経由してFW眞田へ。ドリブルでサークル内に踏み込むものの、シュートにはつなげられない。その後も、FW塚田康汰郎(法3)からFW中川光へつなぎ、サークル内に入るなど好機を作るものの得点を奪えない展開が続く。時計の針だけが過ぎていき、徐々に焦りも見え始めた同10分。FB和田主将が高い位置まで上がり、攻撃的な布陣を形成する。この姿勢が功を奏し、残り13秒で意地のPCを獲得。同点で最終Qにつなぎたいところだったが、ここでもFB和田主将のフリックは決まらず。思わず天を仰いだ。

1点ビハインドで迎えた最終Q。ルーズボールからFW中川光がドリブルでゴール前へ。GKと1対1になるものの、決め切れない。同1分には、FB和田主将が自らPCを奪い取る。しかし、相手ディフェンスのチャージに止められシュートが打てない。気落ちした主将を救うように、3年生ながら副将を務めるMF中川樹のパスをきっかけにPCを獲得。ここでついにFB和田主将のフリックが決まり、同点ゴールをたたき込んだ。意地の1本にガッツポーズが飛び出す。最終Qに追いつき、流れは関大に傾いたかと思われた。しかし、3分後にフィールドゴールを許し、またしても追いかける展開に。それでも、「切り替えて取り返そう」とベンチやフィールドから声が飛ぶ。FB和田主将がまたしても好機を作り出し、鋭いパスからMF壬生がタッチシュート。しかし、惜しくもゴール右へ外れてしまった。同10分を過ぎても誰一人諦めず、何とかPCを奪ってFB和田主将に託すべく奮闘する。同13分には、FW中川光は足をつりながらもパスをつなぎ中央へ。1度は相手ボールとなるものの、FB和田主将が意地でカットしサークル内へパスを送る。混戦となったゴール前で、こぼれ球がFW眞田へ。すぐさま拾ってシュートを放つも、枠を捉え切れず。思わずスティックをたたきつけ、悔しさをあらわにした。このまま試合終了かと思われたが、残り53秒に再び好機が訪れる。FW眞田がドリブルから決死のプレーでPCを獲得。ラストチャンスを手繰り寄せた。命運は、ストッパーのMF中川樹とシューターのFB和田主将に託される。MF中川樹がパッサーのボールをしっかりと止めると、FB和田主将がシュート。ゴール右枠内を捉えたが、相手GKが片手1本でスーパーセーブを見せる。最後を決め切ることができず、試合終了のホーンが鳴り響いた。その瞬間、膝から崩れ落ちる選手たち。FB和田主将は涙のあまり、最後の整列に加わることができなかった。


「全て僕の責任。PCを取ろうという気持ちを全員が持ってくれたのに対して、応えられなかった」。試合後、そう振り返ったFB和田主将。ラストイヤーにかける思いが強かった分、悔し涙が止まることはなかった。それでも、ここまで圧倒的な実力でチームを引っ張ってきたのは、紛れもなくFB和田主将。FB和田主将率いる現チームで戦うのも、リーグ最終戦のみ。インカレでの悔しさを強敵・朝日大にぶつけ、秋季リーグ3位へ。最後は笑顔で有終の美を飾る。【文:櫻田真宙/写真:井原郷志、櫻田真宙】
▼FB和田主将
「(試合を終えて今の心境は)今回の試合に関しては、全て僕の責任かなと実感していて。得意のPCも入る雰囲気がなかったですし、『決めないと決めないと』という気持ちが強くて、力が入ってしまっていました。正常な気持ちじゃなかったというか、自分の弱いところが出て、それがチームを引っ張ってしまったことによって負けてしまったと思います。(終盤は全員がPCを取ろうと奮闘した)自分たちの一番得点を奪えるパターンがPCです。PCを取ろうという気持ちを全員が持ってくれた分、その気持ちに応えられなかったことが申し訳ないです。(次戦はこのチームで迎える最終戦)最後はいい結果、いい内容で終われるように頑張りたいです」
▼FW眞田
「(自身にとって初のインカレの舞台。どんな心境で臨んだか)早大の動画をグループ内でたくさん送っていただいたんですけど、自分は戦略とかをあまり見ませんでした。そのままの早大戦を楽しもうと思って、関東のチームに合わせすぎずに挑みました。(ドリブルを中心にFW陣をけん引した)たくさんボールをもらったのに、自分的には攻め切れなかったです。今は、マイナス面しか考えられなくて、もっとできたし、もっと打てたなと思います。今は4年生に対してとても申し訳ない気持ちです。(次戦は4年生とプレーする最後の試合)朝日大戦は、この早大に負けた悔しさをぶつけたいです。1点でも多く取って、朝日大に食らいつけるように改善して、戦略的に戦いたいと思います」
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