◇令和7年度関西学生秋季リーグ戦第7節◇対関学大3回戦◇10月21日◇わかさスタジアム京都
関学大 000 002 210=5
関 大 100 000 000=1
(学)森津-塚野
(関)荒谷、米沢-小村
1(三)宮本青
2(中)山本峻
3(右)中村莞
4(二)下井田
5(一)小谷太
6(左)鹿熊
7(遊)山田
8(捕)小村
9(投)荒谷
1勝1敗で迎えた関関戦3回戦。勝ち点獲得が懸かるとともに、4年生にとっては最後の試合だ。その大事な1戦は、中村莞爾(安全3)の適時打で先制に成功する。その後は投手戦となり、両者1歩も譲らぬ展開に。だが、6回に失策絡みで逆転を許すと、7回にも2点を奪われる。8回にダメ押し点を献上し、最終戦は1-5で敗北。秋季リーグ戦は4勝8敗で5位終幕となった。
火曜日にも関わらず、スタンドには多くの応援団が駆けつける。「勝って『逍遥歌』を歌いたい」と米田晴香副団長(化生4)。4年生を中心に、勝利へ導くべく闘志を燃やす。グラウンドでも、「仁者必勝を体現しよう」と小谷太誠主将(社4)が声をかけ、気合十分。そんな中始まった最終戦の先発マウンドには、中2日でエース・荒谷紘匡(法4)が上がる。初回に味方失策でピンチを招くも、先制は許さない。その裏、1番・宮本青空(はる=経2)が右安打を放つ。いきなりの安打にスタンドは大盛り上がり。2番には、前日に2ホーマーを放った山本峻輔(人2)が座る。だが、ここは堅実に犠打で好機を演出。得点圏で中村莞を迎えると、逆方向にはじき返し左前に。さらに後逸の間に二塁走者・宮本青が生還。初回から先制し、『応援歌』が鳴り響いた。

援護をもらった直後の2回、荒谷は先頭打者に二塁打を浴びる。それでも、捕手・小村和大(文4)がけん制刺殺。女房役がピンチを刈り取った。3回には、2個の三振で2死までこぎつけると、最後は二塁手・下井田悠人(はると=経4)の好守で三者凡退。その裏、1死から宮本青が四球で出塁する。2死となるも、フルカウントから中村莞が左前に運び、一、三塁に。追加点の好機で4番・下井田を迎えたが、二ゴロに倒れた。4回は右翼手・中村莞の好補もありスコアボードに0を刻む。5回には先頭打者に安打を許し、犠打と内野安打で2死一、三塁のピンチに。この場面でも、荒谷はストライク先行でカウントを整えると、見三振に仕留めた。

1-0とロースコアで5回を終え、グラウンド整備を挟む。次の1点が重要となる緊迫した試合展開に。そんな中、6回にゲームが動いた。先頭を失策で出塁させると、福谷(関学大)に適時三塁打を打たれ、同点に追いつかれる。次打者を三振に斬ったものの、後続に適時打を浴び勝ち越し点を献上。試合をひっくり返されてしまった。反撃したい裏の攻撃は、2番からの好打順も三者凡退に倒れる。7回には、先頭の二ゴロを名手・下井田が失策。さらに次打者の犠打で、小村の野選と山田悠平(商4)の失策が絡み無死一、三塁に。この場面でスクイズを決められ2点差になると、中川(関学大)に適時三塁打を浴び、1-4と苦しい展開になる。

何とか1点を返しておきたい7回。先頭の小谷主将が右安打を放つ。チームの大将の1本に沸くベンチとスタンド。追い上げムードが高まる中だったが、後続が続かず、得点は奪えなかった。8回、100球を超えても荒谷はマウンドに立つ。疲れがたまる中、1死から四球と安打で一、三塁のピンチに。塚野(関学大)のスクイズを投飛に封じ込めるが、痛恨の三塁悪送球。あまりにも重い5点目を奪われてしまう。それでも切り替えて次打者と対峙(たいじ)し、リーグ最多の今季840球目で二ゴロに仕留めた。裏は、ここまでマウンドを守り抜いてきた荒谷に代打・森内大奈(情3)を起用。捉えた当たりを放つも、右飛に倒れる。続く宮本青と山本峻も凡退し9回へ。

最終回は2番手・米沢友翔(人3)が三者凡退に抑える。関大最後の攻撃は3番からの好打順。先頭の中村莞は、リーグ戦中盤まで首位打者争いに名を連ね、躍動してきた。関大が誇るクラッチヒッターとして何度も打線を引っ張ってきたが、二ゴロに倒れる。続く下井田は、今季自身のキャリアで最も苦しみながらも、1年春からスタメンとして君臨してきた経験でチームを支えてきた。そんなスラッガーの最後の打席は左飛に。2死となり、打順が巡ってきたのは、小谷主将。200人を超える部員を束ね、常にチームに献身的な姿勢を見せてきた。その姿から、いつしか『大将』と慕われた大黒柱が、2球目を力強く振り抜く。しかし、無情にも二ゴロとなり、ゲームセット。小谷世代の戦いが幕を閉じた。

『仁者必勝』を掲げ、悲願達成へ挑んだ110期。思い描いた結果とはならなかったものの、スローガンを胸に死力を尽くした。金丸夢斗(24年度卒・中日ドラゴンズ)の抜けた穴を埋めるべく奮闘した投手陣。エース・荒谷は無尽蔵のスタミナと抜群の制球力で、リーグ屈指の投手に。山下健信(政策4)は投手責任者として、圧倒的なリーダーシップを誇り、足立幸(ゆきと=人4)はけがに悩まされながらも懸命に腕を振り続けた。曽我部僚太郎(政策4)は野手からの投手転向で可能性を示唆。髙岡太征(社4)、山下陣平(人4)はラストイヤーにリーグ戦初登板を果たしてブルペンを活性化させた。

打撃不振解消を目指した野手陣。経験豊富な小谷主将や神宮を知る下井田は1年時からリーグ戦の舞台で戦ってきた。3年春からショートで打線の中心と、重圧の中戦い続けた山田。小村はラストシーズンに覚醒し、スタメンマスクの座をつかみ取った。鹿熊大誠(情4)は内野も外野もこなし、4年秋に3割1本塁打の活躍。大塚誠人(情4)は代走のスペシャリストとして、終盤にダイヤモンドを駆け回った。

チームを作り上げたのは選手だけではない。大量の業務をこなしチームを支え続けた松井一朗主務(社4)。村上永剛(のりたけ=政策4) は、110期最初の学生コーチとして尽力した。外野ノックを終えるとスタンドへ上がり、誰よりも大きな声で声援を送った岩月克介学生コーチ(社4)。そして、どんな時でも力を与え続けてきたのが応援団をはじめとする関大スタンドだ。ベンチ入りメンバー、スタンドメンバー関係なく同じ方向を向き、歩みを進めてきた110期。そのバトンは次の世代へ渡された。来年こそは、仁者となった先にある勝利へ。聖地への道筋を作り出し、切り開け、新たな時代を。【文:櫻田真宙/写真:水井陽菜、櫻田真宙】

▼小谷主将
「(4年間を振り返って)1、2年生の時は、2年連続で優勝も経験し、1年生の頃には神宮にも出ていい思いをして、『関大強いな』と思っていたけれど、上級生になるにつれて勝てなくなったことはすごく悔しかったです。だけど、こんなにいいチームで、仲間と野球をできて本当に4年間楽しかったです。(主将として率いてきたラストイヤーを振り返って)どうすれば勝てるかを、みんなが一生懸命考えてやってくれて、意見をぶつけてくれる子も、しっかりとついてきてくれる子も多くて。結果は残らなかったけれど、これからの関大野球部が続いていく中で、キーポイントになる年だったと思います。これからの関大野球部のために何か残してこれたかなと思います。(スタンドメンバー、応援団を中心とした大応援の中でプレーをした)あんな応援の中で野球ができることはなかなかないと思うし、他の大学も関大の応援を羨ましがるくらいです。そんな中で野球ができることがずっと幸せでしたし、最後の関関戦は、特に応援をかみ締めながらプレーしていました。(後輩に向けて)これまでの慣習にとらわれずにやってほしいなと思います。神宮を経験している子が誰もいないし、自分たちの色や形で勝負してほしいなと思います」
▼荒谷
「(4年間を振り返って)下級生から投げ始めて、いい思いも悔しい思いもたくさんしました。そして最後のラストイヤーで、やっぱり金丸さんのすごさを改めて感じて、良くも悪くも充実した4年間でした。(ラストイヤーはエースとして躍動)やっぱり自分が第1先発をすると決めて、その中で全然勝てなくて。やっぱり勝つことの難しさを感じましたし、夢斗さん(=金丸)が昨年、おととしとやってきたことのしんどさや難しさを改めて感じました。それでも、こういう経験ができたことはすごく貴重でしたし、次のステップで生かせるなと思います。(次のステージに向けて)この4年間で勝つ負けるに関係なく、たくさんのいい経験をさせてもらいました。この4年間があったからこそ社会人野球にもつながったので、そういった意味ではしっかりとやることは変わらずに頑張りたいと思います。(後輩投手陣に向けて)やっぱり百合澤(飛=人2)、米沢が核になってもらわないと勝てないと思うので、そこはしっかりと自覚を持ってやってほしいです。自分みたいにならず、しっかりと勝って、優勝に貢献してほしいなと思います」
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