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◇関西学生リーグDiv.1 第5節◇対関学大◇10月13日◇たけびしスタジアム京都

[第1Q]関大0一7関学大
[第2Q]関大7-0関学大
[第3Q]関大0一0関学大
[第4Q]関大10-10関学大
[試合終了]関大17-17関学大

今年は両者全勝で迎えた関関戦。注目度は高く、両校のファンが京都の地へ大勢駆けつけた。春の関関戦では、1本もタッチダウン(TD)を取れず敗北を喫したKAISERS。この秋は、挑戦者として宿敵・関学大との大一番に挑んだ。

試合は相手のキックで始まる。先発QBを任されたのは土居翔和(文1)。前節の甲南大戦で、初のスタメン出場を果たしたばかりだ。大学1年目からビッグゲームのスタメンに大抜擢。ランやパスを巧みに用いて、ファーストダウン更新まであと2㍎に迫る。だが、最初の攻撃はパントで終わった。守備ではパスを通されダウンを許すも、ギャンブル不成功に追い込む。しかし、インターセプトされすぐさま攻守交代に。ランで残り10㍎まで追い詰められると、最後は中央からエンドゾーンにねじ込まれ、先制のTDを奪われた。それでも、QB土居からWR藤田晃成(文2)へのロングパスを通し前進。敵陣深くに侵入したところで試合は第2クオーター(Q)へ。

IMG_1153-200x133 【アメリカンフットボール】残り3秒で劇的TD!関関戦は引き分けに
△QB土居

第2Q開始54秒、エンドゾーンまでは残り13㍎。QB土居はターゲットを探すと、エンドゾーンに走り込んだWR藤田へ素早く投げる。待望のTDを奪い、ポイントアフタータッチダウン(PAT)も成功し同点に追いついた。ディフェンス陣も大奮闘を見せる。DL生悦住勝也(文4)が、後ろから襲いかかりQBサック。相手オフェンスに圧をかけていく。直後の攻撃では、RB山㟢紀之主将(経4)のランや、TE桃木大治郎(商3)のパスで着実にゲインを重ねた。フィールドゴール(FG)圏内まで侵入し、K/P中井慎之祐(法4)のキックに託す。しかし、ブロックされてしまいまさかの失敗に終わった。第2Q残り約1分、エンドゾーンまで10㍎まで進められたが、相手オフェンスのスナップミスが起こる。DB田代智理(商4)がリカバーしターンオーバー。同点で試合を折り返した。

IMG_2663-200x133 【アメリカンフットボール】残り3秒で劇的TD!関関戦は引き分けに
△DL生悦住

第3Qは、ディフェンス陣の鉄壁の守りが光る。自ら走った相手QBをDL生悦住がなぎ倒し、またもファンブルさせた。落ちたボールをリカバーしたのは、今試合でけがからの復帰を果たしたDB河村龍(法4)。高らかにボールを掲げ、喜びを爆発させた。だが、その直後のプレーでQB土居が投じたボールをインターセプトされてしまう。TDを狙うパスを投げ込まれたが、DB谷中勝貴(文1)がエンドゾーンでインターセプト。互いに決定機をつかみ切れず、一進一退の攻防が続いた。その後は、DB石井慶汰(経4)、DL生悦住のQBサックで圧をかけていく。第3Qは両者無得点に終わった。

IMG_1107-1-200x133 【アメリカンフットボール】残り3秒で劇的TD!関関戦は引き分けに
△DB河村

運命の最終Q。開始早々にTDを決められ、7点を追う展開に。それでも、一枚岩となった攻撃陣が、着実にフィールドを押し上げていく。K/P中井が42㍎のFGを冷静に沈め、3点を獲得した。DB吉田優太(文3)のパスカット、LB橋本幸樹(経3)のタックルなどで相手オフェンスを封じ込め、FGに追い込む。ゴールポストから逸れて失敗するも、関大が反則を取られこのキックはやり直しに。2度目のキックは成功となり、またも7点差をつけられた。この時点で試合時間は残り2分。だが、ここからKAISERSの反撃が始まった。

QB土居が4連続でパスを通し、ファーストダウン更新を重ねていく。だが負傷によりフィールド外へ。そしてQB高井法平(人3)が投入された。WR堀川丈太郎(文2)へのパスを通すと、ここで勝負を仕掛ける。4th&1でWR堀川へ短いパスを投げ込みギャンブル成功。しかしその後肩を痛めてしまい、もう一度QB土居が戻ることに。WR堀川がうまくボールをキャッチし、残された時間はわずか3秒。だが、決して誰も諦めていなかった。最後のタイムアウトを使い、一度呼吸を整える。エンドゾーンまでは残り17㍎。最後の攻撃チャンス、会場のボルテージは最高潮に。QB土居がパスターゲットをWR藤田に絞る。思いを乗せたボールは、サイドラインギリギリで両手を伸ばしたWR藤田の手の中に。審判の両手が挙がり、起死回生のTD。関大サイドは歓喜の渦に包まれた。PATは1点のキックを選択。「全国大会に進むために、引き分けを視野に入れていた」と和久憲三監督。絶対に決めなければならない、重圧のかかる大場面を任されたのはK/P中井。誰もが息を呑み、ボールの行方を見守る。ボールはゴールポストの間に吸い込まれ、見事成功。試合終了のホイッスルと同時に、関大の『応援歌』が鳴り響く。17-17の衝撃ドローで、今季の関関戦は幕を閉じた。

IMG_1115-200x133 【アメリカンフットボール】残り3秒で劇的TD!関関戦は引き分けに
△WR藤田
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△K/P中井

試合後、関大スタンドからは、KAISERSへ惜しみない拍手が送られた。涙を流して喜ぶ選手の姿も。だが、2週間後には昨秋の全国王者・立命大との戦いが待っている。次なるビッグゲームへ、燃える闘争心は止まらない。【文:早川莉央/写真:市場薫、櫻田真宙、水井陽菜】

▼QB土居
「(残り3秒のラストプレー)最後は信じて投げました。ファーストターゲットは考えていなくて、良いゾーンに行ってくれた人に投げ込もうと思っていました。最後、藤田さんがディフェンスの裏に行ってくれたので、そこに投げるしかないというタイミングに投げて決めることができました。今までで一番痺れるシーンでした。こんなに叫んだ日はないです。最後の方に膝を少しひねってしまい、一旦外れました。その後、高井さんも負傷してしまって、僕がラストプレーの1つ前からもう一度出ました。その時はあまり準備をしていなかったけれど、自分の試合だと思っていて、最後は自分で決め切りたいと思っていました。(スタメン出場を知った時は)昨日の練習後に言われました。最初は自分でいいのかと思ったけれど、夜にいろいろと考えて、選ばれたからにはやり切るしかないという気持ちになりました。(1年生でスタメンを任された心境は)正直、こんなに出れるとは思っていなくて。出れていることにまず感謝しなければいけないのと、慢心してはいけないという気持ちがあります。近くにライバルの高井さんがいて、年上ですがライバルと認識しています。勝たなければいけない存在だと思っています。(次節、立命大戦への意気込み)次の立命大は格上の相手だと思っています。チャレンジャーとして立命大を食って、甲子園ボウルに行けたらと思います」

▼WR藤田
「(残り3秒のラストプレー)正直、あまり覚えていないです。ゾーンに入っていました。ディフェンスがたくさん下がっていて、エンドゾーンにいるというのは確認していました。自分が無理やり空いているところにいって、そこでQBの土居くんと目が合いました。ボールしか見えていませんでした。親やチームメートに恩返しをしたいという気持ちがずっとありました。特に、チームメートはずっと一緒に過ごしてきて、OLもQBも共に頑張ってきた存在なので、TDを決められて良かったです。(第2Qにも、最初のTDを決めた)そのシリーズ自体、自分が持っていって、最後TDにつなげられました。それも全部翔和(=QB土居)にナイスボールを投げてもらって、役割を果たすことができました。OLもすごくパスプロテクションが良くて、安心感がありました。みんなでオフェンスができているという感触がありました。(自身のけがについて)秋シーズンに入る前にけがをしました。秋に備えて合宿などを本気でやってきただけあって、かなり悔しかったです。試合に出られないと言われた時は泣きました。ビッグゲームの関学大戦からギアを上げたいなと思っていた中で、思うような結果を出せたので良かったです。今日は万全のコンディションで出ることができました。(試合全体を振り返って)『勝ちたかったけれど勝てなかった』という気持ちが強いです。OLが守って、QBが思いっきり投げて、そのルートにたまたま僕が入っていただけだと思っています。チームとしては、ギリギリ同点で後半を迎えて、先に一皮剥けた方が勝つと思っていました。でも、後半の先制TDを取られてしまい、自分のTDは試合終了間際だったので遅かったと思います。その前に最後までやり切れていない部分もあったので、そこで流れを変えられていたら勝てたのかなと思うと悔しいです。(1年生QB・土居について)『自分がやったる』という気持ちが強い選手です。発言はまだ1年生なので可愛らしいけれど、プレーでは『そこいくか』というのが普段の練習からあります。周りが良く見えていて、レシーバーの作戦を汲み取ってくれるQBです。最後のあの場面で投げられるというのは相当メンタルが強いと思うので、本当に尊敬しかないです。(今後へ向けて)昨年経験できていない分、遅れはあるかなと思います。そのブランクをこの秋で埋めて、もっと試合慣れしているプレーがしたいです」

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