◇令和7年度関西学生春季リーグ戦第3節◇対同大2回戦◇4月29日◇GOSANDO南港野球場
同 大 100 100 000=2
関 大 000 001 011x=3
(同)本田、齋藤、安田—坂
(関)曽我部、羽藤、百合澤、山下陣、米沢、荒谷—笠井、大橋、小村
1(中)渡邊
2(三)宮本青
3(二)下井田
4(一)小谷
5(遊)山田
6(捕)笠井
7(左)中村莞
8(右)久保
9(投)曽我部
これ以上勝ち点を落とせない関大。1回戦に敗れ、後がない2回戦は総力戦となった。守りは6投手による継投で2失点に抑える。援護したい打線は終盤に得点を重ね、同点に。9回は相手暴投により決勝点を挙げ、サヨナラ勝利を収めた。
2回戦の先発マウンドを託されたのは、きょう誕生日を迎えた曽我部僚太郎(政策4)。1死から四球を許すと、盗塁を決められ2死二塁のピンチに。相手4番に右越適時二塁打を浴び、先制点を献上してしまう。すぐさま追いつきたい初回の攻撃。先頭の渡邊貫太(経3)が右安打で出塁する。2番・宮本青空(はる=経2)は強硬策に出るも、左飛に倒れた。それでも下井田悠人(はると=経4)の進塁打で得点圏に走者を置き、この日4番に座る小谷太誠主将(社4)へつなぐ。しかし空三振に倒れ無得点。2回は山田悠平(商4)が死球で、再び無死から出塁する。ここでも強硬策を取った関大ベンチだったが、裏目に出て併殺打に。
3回は早くも先発・曽我部の打順で代打・山路朝大(人1)を送る。名門・大阪桐蔭高出身のルーキーに期待が寄せられるも、空三振に倒れ1死。それでも渡邊がバントヒット、宮本青が右安打、下井田が四球で、報徳学園高出身トリオが塁上を埋める。1死満塁とし、再び小谷主将に好機で打席がまわるものの、見三振。続く山田も投ゴロに倒れ、1回戦に続いてホームが遠い。4回からは第1節で好投を見せた羽藤翼(商2)が登板。流れをもたらす投球が期待されたものの、2本の長打を浴び、2点目を献上してしまう。裏は羽藤に代えて代打・森内大奈(情3)を起用。左安打でチームを盛り上げたが、得点にはつながらない。
5回からは百合澤飛(たか=人2)がマウンドへ上がるが、制球に苦しむ。四球を許し、次打者にもカウントを悪くしたところで急きょ、4番手・山下陣平(人4)にスイッチ。山下陣はリーグ戦初登板となったが、「急に登板が告げられて、緊張する暇もなかった」と、堂々の投球を見せる。ストライク先行の投球で後続を断った。6回表も山下陣が相手打線を封じ込め、徐々に流れが関大に傾きかける。迎えた6回裏、2死から中村莞爾(安全3)が右安打で出塁。続く久保慶太郎(商2)の高々と上がった飛球を、相手左翼手が見失い二塁打に。この間に一塁走者・中村莞が生還し、1点を返した。

7回からは米沢友翔(人3)がマウンドへ。2個の三振を奪う快投で流れを渡さない。スタンドから『大空を越えて』が鳴り響く中、迎えた7回の攻撃。1番からの好打順だったものの、三者凡退で攻撃を終えた。苦しい状況が続く中でも、米沢が粘投を見せ、点差は広げない。このままでは終われない打線は、8回に1死から山田が四球で出塁。代走・余河航太(法3)を起用し、さらに代打・金森洸喜(法2)を送る。「ずっとベンチからタイミングを合わせていた。初球からいってやろうと思っていた」と金森。バットを折られながらも右前へ運び、一塁走者・余河は快足飛ばして三塁へ。金森のリーグ戦初安打で同点の好機を作る。スタンドからの応援も熱を増す中、続く中村莞の打球は投手正面へ。1-6-3の併殺打かと思われたが、幸運にも二塁への悪送球で同点に追いついた。


8回の攻撃で米沢に代打を起用した関大。同点に追いついた9回のマウンドを委ねられたのは、エース・荒谷紘匡(法4)だ。先頭の相手代打に内野安打を許し、犠打で得点圏に走者を背負う。「ここで打たれたら優勝がなくなる」。これまで悔しい思いをしてきた荒谷。ギアを上げ、同大打線に立ち向かう。3死目を奪うと、普段はクールな荒谷がガッツポーズを見せ、吠えた。9回裏の攻撃は1番からと、サヨナラに向け絶好の打順を迎える。1死から宮本青が四球で出塁すると、下井田も四球で続き、一、二塁に。続く鹿熊大誠(情4)の進塁打で、2死ながらサヨナラの走者を三塁に置く。途中出場の小村和大(文4)に対する4球目がワンバウンドとなり、相手捕手のはじいたボールは一塁側へ。この間に三塁走者・宮本青が迷いなくスタートを切る。クロスプレーとなったが、主審のコールはセーフ。サヨナラ勝ちで3回戦へ望みをつないだ。


登録メンバー25人のうち、23人を起用する総力戦となった今試合。今日を落とせば事実上優勝の可能性が消える中、全員が一丸となって戦った。苦しい状況でも、打線の援護を信じて守り抜いた投手陣。レギュラーメンバーだけでなく途中出場選手が数多く躍動した野手陣と、それぞれが役割を果たした。しかし、3回戦で勝利を収めなければ、優勝戦線に戻ることはできない。必ずあすの試合で勝利をつかみ、『仁者必勝』を体現する。【文/写真:櫻田真宙】
▼山下陣
「(リーグ初登板だったが、マウンドへ向かう時の心境は)急に登板が告げられて。緊張する暇もあまりなかったです。(走者を置いての場面で登板した)無死一塁やったから、ランナーをためるのだけは良くないと思って、ストライクゾーンにどんどん投げていこうと意識しました。(サヨナラ勝利を収めたが、ベンチから見ていてどうだったか)9回裏の雰囲気的に、絶対に点を取ってくれると思っていたから結構楽しんで見ていました」
▼米沢
「(元々登板の予定はあったか)投手のところで代打が出たら次に投げると言われていました。(2イニング無失点3奪三振の投球を振り返って)久しぶりのリーグ戦の登板やったので少し緊張したんですけど、楽しもうと思って投げました。(9回は荒谷にマウンドを託したが、何か声をかけたか)『あとは頼みます』と声をかけました。(ベンチからサヨナラ勝利を見ていてどうだったか)本当にチームでつかみ取った勝利だったのですごくうれしかったですし、あすも頑張りたいなと思います」
▼荒谷
「(きょうは登板の予定はあったか)同点に追いつくか、逆転したら行くぞと言われていました。初回から自分が終盤を投げるつもりでいたので、ずっと気持ちの準備をして備えていました。(9回を抑えた時は珍しくガッツポーズを見せた)あそこで打たれてしまったら優勝もなくなりますし、なんとかあすにつなぐために抑えたかったので、そういった部分でほっとしてという感じで出ました。(あすに向けて)あす勝たないと意味がないので、今日の勝ちを無駄にしないように。勝ち点を取って、優勝争いに食い込んでいけるようにやっていきたいなと思います」
▼金森
「(代打で登場し、初球を迷いなく振り抜いたが、狙っていたか)あの場面は自分が代打で行くと思っていました。ずっとベンチからタイミングを合わせていたので、初球からいってやろうと思っていました。(安打を放った時の心境は)後ろの中村莞爾さんが当たっていたので、とにかくつなごうと思っていました。一、三塁という最高の形でつなぐことができたので、自分の仕事ができたなと思います。(サヨナラ勝利を振り返って)本当にチームとして打てていなくて、得点を取れていなかった中、今日はサヨナラ勝ちができたので、このままあすにいい形で入りたいなと思います」
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