◇第93回全日本フィギュアスケート選手権大会1日目◇12月20日◇東和薬品RACTABドーム
[男子SP結果]
10位 片伊勢 75.62
19位 朝賀 67.58
[女子SP結果]
18位 白岩 59.00
全日本選手権大会(全日本)がついに開幕。初日は男女ショートプログラム(SP)が行われた。関大からは朝賀俊太朗(文1)、片伊勢武アミン(法3)、白岩優奈(文4)の3名が出場。見事全員がフリースケーティング(FS)進出を決めた。
関大勢で最初に登場したのは、初めて全日本の舞台に立つ朝賀。冒頭のトリプルアクセルは惜しくもステップアウトに。しかし、続く3回転ルッツ+3回転トーループをきれいに着氷させる。3回転フリップも美しく降り、ステップシークエンスでは『The Fire Within』に合わせた情熱的なスケーティングを披露。演技後には笑顔を見せ、「自信を持って楽しくできた」と振り返る。初出場ながらFSへの進出を決めた。

続いて前回大会12位の片伊勢が登場。冒頭のトリプルアクセルでは軽やかに着氷を決め、GOE(出来栄え点)1.60の加点を引き出す。残る2つのジャンプもきれいに着氷。昨年から継続のプログラム『Adiós Nonino』の世界観を表現するように艶やかに滑る。ステップシークエンスとフライングシットスピンではレベル4を獲得。シーズンベストで10位に食い込み、FSへつなげた。

女子SPには最後の全日本となる白岩が登場。『Rose / My heart will go on』の優しいメロディーが流れると、ゆっくりと滑り始める。全日本に向けて強化してきたという3回転ルッツ+3回転トーループのコンビネーションジャンプを着氷。会場中に大きな拍手が鳴り響いた。続くダブルアクセルもきれいに決め、スピンでは全てレベル4を獲得。3回転ループでは転倒してしまったものの、シーズンベストをたたき出す。思いを込めたスケーティングで会場を魅了した。

それぞれが全力を尽くし、見事FS進出を決めた。男子は21日、女子は22日にFSが行われる予定。国内最高峰の舞台でこれまでの努力を出し切り、まばゆい輝きを放つ。【文/写真:中吉由奈】
▼朝賀
「(演技を振り返って)アクセルがステップアウトだったんですけど、全体の出来としてはそんなに悪くないと思うので、気持ち的にはほっとしています。(アクセルの後も体の動きは良かった)始まる前は本当に緊張で結構心拍数も上がっていたんですけど、曲が鳴った途端にいつもの自分に変わって。アクセルのミスはあったんですけど、それは練習でも何度かやってはいたので。練習通りのことが今回はできたのかなと思います。(最後にはパフォーマンスもあった)大阪なので何かやりたくて(笑)何かないかなと思ったらあれが思いつきました(笑)(コーチからはどんな言葉をかけられたか)先生からは始まる前に『楽しんで』ということと、『自信を持って』ということをずっと言われていたので、自信を持ってて楽しんでできたんじゃないかなと思います。(今年はどんな成長があった)ルッツとフリップの安定感が増したかなというのがあって、トリプルアクセルを練習し始める前はそこらへんのミスが重なって点数が伸びないというのがあって。 今シーズンはアクセルをやりつつもルッツとフリップの安定感が増して、よりアクセルに力を注ぐことができたと思います。(初めての全日本の雰囲気は)やっぱりお客さんが入るとさらに広く見えますし、拍手も一つ一つ大きくて本当に滑りながら楽しむことができたし、来れて良かったです。(今日までの調子は)全日本ジュニアにやっぱりピークを持っていっていて、そこで調子が一気に上がったのでそこから落とさないようにというのはずっと考えて練習をしてきました。それが落ちることなくここまでできたので、それは良かったです。やっぱりFSのトリプルアクセル2本を全日本ジュニアが終わって入れないとと思ったので、 そこはこの1カ月間徹底的に練習してきました。(自身の性格について)人を笑顔にというか、場を盛り上げるのがとても好きで。 それは日頃から友達といてもずっとそうなので、演技にもそれが出ているのかなとは思います。明るくというのがスケートにも出したいとずっと思っています。(表現への影響は)最初は大雑把すぎて手先まで注意がいっていなかったんですけど、バレエを習い始めてからそこにも注意がいくようになったので、今は自分の性格とバレエでいい調和が取れていると思います」
▼片伊勢
「(演技を振り返って)まとまりのある演技ができたかなと思うんですけど、スピンでの取りこぼしだったり、ジャンプでこらえる場面がありました。ベストとは言いにくいような演技だったので、そこは悔しさが残るという感じでした。(全日本への戦略は)難しいジャンプをたくさんやる構成よりかは、プログラムの流れだったり、完成度の部分で自分の持っている世界観を表現したいという思いを持って全日本に挑みました。でも今日は少し固くなってしまった部分もあったので、FSはもう少しのびのびと優雅に踊れたらいいなと思います。(目標の点数は)あまり点数のことは考えずに挑もうと思っていたんですけど、自分が今できるベストな演技を出せていたら大体80点くらいかなと思って目標にしていました。それに少し及ばない形になってしまったので、それはやっぱり悔しいなと思います。(髪型はイメージチェンジした)もともとすごくくせ毛で手入れとかがすごく大変でした。1度美容院でお願いしたらすごくまとまりやすくなったので、それにはまってしまったというのが一番です。(衣装も変わった)プログラムが2シーズン目なので、衣装も同じだと見ている方的にもちょっとどうなんだろう思って。FSも変わって、水色っぽい白い感じの衣装なので、それと対比的な衣装にしたくて赤と黒の衣装を選びました。(少し硬くなってしまった部分の理由)グループの1番滑走で思っていたより出番が早くて、ちょっと準備し切れないままスタートしてしまったところがあったので、FSももしかしたら同じ順番になるかもしれないので、もう少しアップの時からきちんと心を備えておこうかなと思います。(1番滑走の経験は少ないのか)自分でも覚えていないくらい前なので。でもこういう経験をしておいて良かったなと思います。(自分のジャンプへの信頼感は)自分の中ではまだ不安定で、特に最後のジャンプはいつも練習でも失敗が多いところなので、執念じゃないですけれども、最後は頑張って転ばないようにしようと思ってなんとか立った感じです」
▼白岩
「(演技を振り返って)3回転ルッツ+3回転トーループをとにかく強化してきたので、 やっとこの全日本という大きな舞台で落ち着いて楽しみながら目標にしていた3回転+3回転を決めることができて、そこが一番うれしいです。(ループは惜しかった)最近の練習で同じような左に外れてしまうというミスが続いていました。練習では耐えられていたとしても、やっぱり試合になるとなかなか耐えられなくて、修正し切れなかったところがあるかなと思っています。(試合前の心境)もうとにかく全日本で滑れるということがうれしくて。 1週間前とかはちょっとドキドキというか、ルッツのコンビネーションばかり練習してきたので、どうしても決めたいという思いがありました。でも昨日とか今日は、この大きな会場で滑れるということが、 自分が目標にしてきた舞台でしたので本当にうれしいですし、 緊張もあまりすることなく楽しみに試合を迎えられたかなと思います。(スケート人生の年月について思うこと)楽しいこともしんどいこともいろいろありましたし、一つ一つの思い出とか試合を振り返ったら長かったなとも思うんですけど、やっぱりその時その時すごく一生懸命スケートに向き合って今までやってきたので、そう考えるとあっという間だったかなと思います。(落ち込んでも立ち上がる強さはどこから)もともとシャイな方ではあるんですけど、負けん気が強くて。その負けん気の強さというのは兄がいるというところで、気の強さみたいなのが培われてきたのかなとも思います。元々の性格上、諦めてしまうというのがすごく悔しいですし、自分ももうちょっとできるはずという思いがどこかにあるので、そういう気持ちで立ち上がってこれたのかなと思います。(最後の試合への気負いは)あんまり最後というふうに思ってはいなくて。逆に後輩たちに『最後の試合頑張ってください』って声をかけてもらってから『たしかに最後やな』みたいな感じでした(笑)もちろんいい演技はしたいんですけど、あんまり最後の試合だからとか自分にプレッシャーをかけるようなことはなく、ただただこの全日本という舞台を楽しみにしていました。(スケートで学んだこと)目標をどこに置くかというところと、目標から逆算していくところだと思います。どういうふうにスケジュールや計画を立てて目標に向かって進んでいくかというところは、やっぱりスケートを通して培われてきたことだと思います。特に大学に入ってからは自分で練習していく、自分の弱さと向き合うみたいなところが一番身についたかなと思います。(スケートの魅力)リンクを1人で滑れるので、見に来てくださっている観客の方とかジャッジの皆さんとか、自分1人のことを見てもらえる時間というのはなかなか普通に生活をしていてあまり経験がないので、そういう自分1人を見てもらう、 自分のものを全て出すみたいなところはやっぱりスケートの面白さだなと思います。(コーチから演技後どんな言葉をもらったか)『なんでループが』と悔しそうな感じでした。でも今大会が一番動きが良くて、3回転+3回転もきれいに入って良かったと言っていただきました。(FSでどんな演技を見せたいか)一つ一つ落ち着いてエレメンツを実施して、会場の雰囲気を楽しみながらスケートが楽しいという気持ちを表現したいです」
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