◇第69回全日本学生選手権大会◇12月1日◇於・大阪府立体育会館
【男子】
準優勝
【女子】
第3位
【技能賞】
内畑谷将(法2)
【敢闘賞】
岩木美朱主将(みあか=法2)
打倒明大を目標に挑んだ全日本学生選手権大会(全日)。しかし、明大の壁は高く、決勝戦で6-1で黒星。昨年に引き続き、準優勝となった。女子は、全国個人選手権大会1位、2位の実力を引っさげ臨んだ。優勝が期待されていたが、準決勝で宿敵・立命大に僅差で惜敗。3位決定戦で関学大と対戦し、3-0で圧勝し、第3位で全日を終える。個人では全試合で二本勝ちした内畑谷が技能賞、チームの要として活躍した岩木が敢闘賞に選出された。
試合は男子から始まった。関大は2回戦からの登場。相手は選抜大会と同じく青学大だ。全国大会初戦で調子に乗れない関大。今大会では2敗したものの、中堅・八木大輝(法4)が開始6秒で胴突き蹴りを決めると、試合の流れを関大に引き寄せる。その後の三将、副将で2年生らが2-0と圧倒的な強さで勝利。副将・後藤琉碧(るきあ=文2)は突きの撃ち合いとなった。しかし、速さで負けることはなく面突き2本を決め、4勝目を関大にもたらした。
3回戦では、東洋大と対戦。1年生の三好舜(文1)が先鋒で登場。自ら進んで技を繰り出し、2-0で圧勝すると、続く6人も全員が白星を関大にもたらす。特に中堅・藤井宏彰(文4)は、最後の引退試合ということもあり、相手に熱い拳をぶつける様子がうかがえた。連撃で一本を取ると、関大伝統の「攻めの拳法」で二本目も獲得し、準々決勝戦進出を決める。大将の長谷川元望主将(もとみ=法4)もわずか10秒で突き蹴り2本を決めた。東洋大に隙を与えず、全勝で次戦に駒を進める。
準々決勝戦、相手は慶大。今大会の慶大は、相手の意表をつく蹴り技や組み技で西日本の強豪・龍大を倒し、トーナメントを勝ち進んできた。警戒が必要な相手だが、関大はもろともせず。先鋒・岡田英努(文3)は、ソーナイン(慶大)の意表をつくアグレッシブな組み技に翻弄(ほんろう)されたが、着実に面突きを決め、関大に流れをもたらした。中堅まで白星を獲得し、あっさりと準決勝進出を決めた。慶大戦では内畑谷、藤井が「攻めの拳法」で場外警告2回で一本を取るシーンも。突きや蹴りではなく場外で一本を取れることは退かず前に出るという姿勢が功を奏した結果だと言える。
準決勝は大商大と対峙(たいじ)した。気を抜けばやられてしまうほどの実力がある。試合は大商大が主導権を握った。勢いのある迫撃に苦戦を強いられ、三鋒まで黒星を喫する。1試合も落とせない中、関大は焦る雰囲気がなかった。安心材料は中堅・八木。「八木はきっと勝ってくれる」そんなチームの想いが試合の流れを一気に変えた。面突きと胴突きを駆使し、わずか5秒で相手を瞬殺。続く三将・内畑谷、副将・後藤も相手に一本もとられることなく二本勝ちし、3-3まで持ち込み、大将・長谷川主将に望みを託す。関大の「仕事人」こと長谷川主将はこれまで幾度となく関大の窮地を救ってきた実績がある。開始直後から突きと蹴りを撃ち分け、相手を牽制。その作戦が効き、長谷川主将が有利な展開に。相手の攻撃の隙を狙った面突きが当たり先制する。その後、相手も攻撃を緩めず攻められる展開が続いたが、タイムアウト。1-0で勝利し、関大を決勝戦へ押し上げた。
迎えた決勝戦。またしても、明大との一騎打ち。彼らを超えなければ日本一にはなれない。全日本学生個人選手権で明大勢に阻まれたという不安要素が残る中臨んだ。結果は1勝6敗。試合内容は決して悪くなく、実力差を感じるものではなかった。しかし、戦い方や一本の取り方という面で課題が残った。三将で敗北が確定した中、八木と長谷川主将が最後の試合に臨んだ。八木は面蹴りで先制したものの、胴突きで巻き返され惜敗する。長谷川主将が蹲踞(そんきょ)すると関大からは「元望ファイト!」の声が響き渡る。相手は小さい頃から道場で拳を交えている森川(明大)だ。学生拳法最後の試合に自然と突きの掛け声にも力が入る。抑え込み面突き二本を献上し、黒星となった。しかし、後ろに退がることなく「攻めの拳法」で試合を終えた。
女子は、全日本個人で優勝、準優勝した実績を引っさげ、優勝を目標に臨んだ。2回戦から出場したは関大は大産大戦、大公大中百舌鳥戦ともに無失点。トーナメントを順当に勝ち進んだ。
実質的な決勝戦とも言われた宿敵・立命大との準決勝。先鋒・前田望結(文1)は手の内を探り合う瞬間が多かった。足を持たれ、窮地に立たされたが耐え抜き、引き分けに。中堅・中井天鈴(てんり=法1)は組みを得意とする大川(立命大)に苦戦を強いられた。抑え込み面突きで一本を取られると、カウンターで面を喰らい、二本負けを喫する。あとがない大将・岩木主将は3分間のうちに確実な一本を取ることを念頭に試合を進めた。中盤に相手の隙をつく胴突きを決めると、1-0で勝利。試合は代表戦までもつれ込む。代表戦は岩木主将が高校時代の同級生野村(立命大)と対決した。試合は3分間のうちに確実な一本が出ず、無制限の一本勝負に。試合は立ち技、組み技で熾烈な戦いが繰り広げられた。10分以上の試合を制したのは野村(立命大)だった。足をつかまれ倒された後、股蹴りで一本を奪われた。
準決勝で敗北し悔しさが残る中、関学大との3位決定戦に臨んだ関大。先鋒で登場した岩木主将は先ほどの試合と変わり肩の力が抜け、余裕を感じる瞬間が多くなった。あっさりと面突きで一本を取ると、最後は組み技で相手に足をかけ抑え込み面膝蹴りで二本勝ち。続く中堅・中井も胴横蹴りや面突きを駆使し、優位な展開を作る。残り20秒で相手の攻撃に意表をつく面蹴りで一本を取った。猛攻を受けたが、時間切れで1-0で勝利し関大の3位が決定。大将・前田も1-0で勝利し、3-0という圧倒的な差を見せつける試合内容となった。
男女ともに優勝を逃した関大。特に女子は個人戦入賞者を擁しながら、準決勝で立命大に惜敗。酸いも甘いも知る1年に。しかし、関学大との3位決定戦では悠々とした試合を見せ、来年への大きな可能性を感じさせた。来年も引き続き岩木主将が全国優勝に向け、チームをけん引する。男子は、長谷川主将に変わり岡田新主将が新体制で王座奪還を目指す。来年こそ、2009年以来のアベック優勝を成し遂げることができるのか。拳法部の活躍がこれからも楽しみだ。【文:丸山由雅/写真:春田史帆・上田峻輔】
▼長谷川主将
(試合を終えて)やりきった達成感でいっぱいです。八木と1年間大切にしてきた楽しむ拳法をやってきた結果として楽しかったという感情がいちばん大きいです。不安なことだらけで本当に最後までやって勝てるのかわからなかったけど後悔したくない、楽しかったと思って終われるチームにしたいと思って1年間やってきました。(試合前の心境)大会前数週間ずっと不安でいっぱいで負けたらどうしようとネガティブになっていましたがいざ会場に行くと意地でも勝ってやろうと思い挑みました。(全試合を通しての総括)初戦こそ危ない試合でしたが、次からはみんな気持ちが前に出ていて練習の成果も出ていたかなと思いました。大事なところでは勝つということができていたのと今年一年で成長した人たちも多くいてそれが試合で見れたことが良かったと思いました。(明大の森川との試合について)去年も負けているので絶対に勝つという思いで行きました。しかし、やっぱり強かったです。自分の最後の学生拳法なので悔いなく戦いたいと思っていきましたがそこの一戦だけは少し悔いが残ったかなと思います。(後輩に向けて)今の後輩たちは少しバラバラやけど皆気持ちが強いから絶対に勝てるチームになると思うので頑張って欲しいです。ここからはOBとして全力でサポートしていこうと思うので絶対に優勝してほしい。とりあえずはありがとうといっぱい伝えてあげたいです。
▼岡田新主将
(試合を振り返って)今回の試合ではこの1年練習したことは出来たが、所々で勝ち切れなかったことが非常に悔しいです。(来年はどんな1年にしたいか)来年度は苦しい時もしんどい時も楽しい時も一緒に乗り越えていける最高のチームを目指して、主将として悔いのない1年にしてきます。
▼岩木主将
(立命大との一戦を振り返って)引き分け、負け、で回ってきて私が勝たなければならないとこで勝つことができてよかったが、代表戦で勝ち切ることができなかったのは悔しい。(今年1年、多くの功績をのこしている中で印象に残っていること)
全日本個人で優勝したこと。入学時からの目標を達成できたことはとてもうれしかった。(来年はどんな1年にしたいか)全国優勝狙えるメンバーであるが、今年1年は全国団体で優勝できなかったので、来年こそ優勝する。優勝するためには一人一人の足らないところをしっかり理解し、練習を積み重ねることが大事。それぞれがレベルアップできるように頑張ります!
コメントを送信