【アメリカンフットボール】執念の追い上げ見せるもあと一歩届かず、須田世代終幕
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◇全日本大学選手権 準々決勝◇対早大◇11月23日◇於・味の素スタジアム
【第1Q】関大0-7早大
【第2Q】関大7-17早大
【第3Q】関大7-7早大
【第4Q】関大14-0早大
【試合終了】関大28-31早大
今年も日本一の壁は高かった。関西学生リーグを3位で通過し、全日本トーナメントに駒を進めた関大。関東2位の早大と激突したが、試合は序盤から早大ペースとなった。ラン、パス共にゲインを出され、前半だけで2タッチダウン(TD)を許す。対する関大は5度目のオフェンスシリーズで最初のTDと苦戦。17点差で試合を折り返す。それでも後半、QB須田啓太主将(文4)からWR溝口駿斗(商4)へのパスを通し続け、追撃。3点差まで追い上げたがあと1歩及ばず。日本一への挑戦はここで幕を閉じた。
後半のレシーブを選択した関大。K中井慎之祐(法3)のキックで試合が幕を開ける。相手のファーストプレーはスクリーン。縦に抜けられ独走を許すと、そのままエンドゾーンまで運ばれる。取り返したい関大のファーストシリーズはファーストダウンを1度の更新に留められ、試合の流れは相手がつかんだ。
その後互いに1度ずつ攻撃権を無得点で終え、スコアは0ー7。関大はQB須田主将を中心としたパスオフェンスがつながらず、DB寺田了(文4)らDB陣のタックルでなんとか凌ぎ切る第1クオーター(Q)となった。
第2Q早々、攻撃権を更新し続けた相手にフィールドゴールを決められ、追加点を許す。続く相手のオフェンスシリーズでもロングパスを決められると、そのまま走り切られTD。ランプレーでもゲインを許し3つ目のTDを決められ、24点差をつけられる。前半から苦しい展開となった。
なんとか逆転の射程圏内まで入りたい関大は第2Q残り2分から、この日5度目のオフェンスシリーズ。QB須田主将からWR溝口、WR岡本圭介(文4)へ立て続けにパスを通す。相手陣内に入ると、最後はフィールド右サイドから一気に中央へ切り返したWR溝口へのTDパスが決まり得点。息を吹き返した。
第3Q、関大は前半のパスオフェンスから一転、ランプレーを中心に攻撃を組み立てる。RB阪下航哉(社4)、RB山嵜紀之(経3)、RB大野木陸人(人4)がファーストダウンを更新。ゴール前1㍎まで攻め込むと、最後はTE凪亮佑(経4)が地面スレスレでパスをキャッチする。7分30秒かけてのシリーズだった。
徐々に追い上げムードが漂い、勢いを取り戻した関大。しかし直後の相手オフェンスで再び独走TDを許し、またもや突き放される。17点差で最終Qへ。
第4Q、攻撃権は関大だ。3rd&2をWR溝口へのパスプレーできっちり決め、最後は再びTE凪がパスをキャッチ。2人のディフェンスに囲まれながらもボールは離さなかった。K中井のキックも決まり10点差。関大スタンドからの逆転を期待する声が徐々に大きくなる。
直後のリターンキックに対してもRB大野木が相手のリターナーにナイスタックル。ファーストダウンを一度も更新させず、シャットアウトに成功する。試合時間は残り7分27秒。自陣からQB須田主将のランも光り、着実に前進する。相手の反則も重なりデッドゾーンに入ると、QB須田主将から投げ込まれたパスターゲットはWR溝口。後ろ向きのボールをキャッチすると、そのままTDを決める。脅威の追い上げでいよいよ3点差まで迫った。決死のディフェンスで相手の攻撃を0点に抑え、関大の最後の攻撃権。残り1分5秒にすべては託された。QB須田主将からWR溝口、WR岡本へパスプレーでゲイン。残されたタイムアウトはなく、時計の針は刻一刻と進む。「4、3、2、1」。QB須田主将が学生アメフト最後に投げたパスは、7年間同じKAISERSのユニフォームを着たWR岡本の手に届かず。日本一への挑戦はここで幕を閉じた。
日本一を掲げ、険しき道を進み、幾多の壁を乗り越えてきたKAISERS。シーズン序盤、思うようにまとまらなかった過去。近大に敗れ挫折を味わった過去。苦しんだ経験をすべて成長の糧にしてきた。勝ち負けを越え、必死に体をぶつけ合い、プライドをかけて戦った勇姿。須田世代が全国の舞台で見せた最後の集大成は、関わったすべての人の心に刻み込まれた。【文/写真:稲垣寛太】
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