◇第39回全日本学生個人選手権大会◇10月27日◇名古屋市天白スポーツセンター
[女子]
岩木美朱(みあか=法2) 優勝
前田望結(文1) 準優勝
中井天鈴(てんり=法1) ベスト8
倉田音香(法1) 2回戦敗退
[男子]
八木大輝(法4) ベスト16
長谷川元望(もとみ=法4) ベスト16
内畑谷将(法2) ベスト16
岡田英努(ひでと=文3) 3回戦敗退
神田アレクサンダー蒼輔(法2) 3回戦敗退
藤井俊彰(文4) 2回戦敗退
寄川虎太郎(法3) 2回戦敗退
後藤琉碧(るきあ=文2) 2回戦敗退
丸石大翔(ひろか=法4) 1回戦敗退
上田一騎(シス理4) 1回戦敗退
竹川敬治(法3) 1回戦敗退
年に1度の学生個人王者を決める全日本学生個人選手権大会が開催された。男女ともに実力は十二分の関大。女子の部では岩木が同校対決を制し優勝、前田が準優勝と圧倒的な実力で表彰台に登った。一方の男子は、多くの選手がトーナメント上位に進出したものの、明大勢に敗北を喫し表彰台を逃す。
試合は女子の部から開始。前田、中井、倉田の3人は、初出場だが各々が実力を発揮した。初めに満を持して登場したのは前田。リーチの長さを生かし、胴突きと面突きをうまく使い分け、2回戦まで難なく突破する。3回戦では東日本最強の井上(早大)と対峙(たいじ)。面突きで先制されたが、面胴を積極的に攻撃し、陣地を優位に。相手を場外に出すと、面突きで試合を振り出しに戻す。最後は組み技に持ち込み、抑え込み面突きで勝利し、4回戦に準々決勝に進出。ライバル・立命大の大川との対戦に臨んだ。組み技を得意とする相手に苦戦を強いられたが、残り50秒で面突きを決め、1ー0の時間切れで3位以上が確定した。
今年の総合選手権3位の岩木は圧倒的な実力でトーナメントを勝ち進んだ。昨年、入賞を逃したこともあり、リベンジに燃える。「足もしっかり動いて、いい動きができたと思います。」とコンディションも良好だった。3回戦では夏の選抜大会で関大を阻んだ藤原(京産大)を沈めた箕野(関学大)と対決。高校時代から幾度となく対戦した相手に短時間でけりをつけ準決勝に進出する。
迎えた準決勝。岩木は高校からのライバル野村(立命大)と相対した。岩木は互いに譲らない展開が続く。3分を使い、1分間一本勝負の延長戦に。組み技にもつれ込んだ試合を制したのは岩木。互いに倒れたが、岩木がいち早く起き上がり、抑え込み面膝蹴りを決め、決勝に進出した。
前田は東京選抜で勝利できなかった中村(愛学大)と拳を交えた。得意とする立技で試合を優位に進める。胴突きで一本を先取すると、相手の組み技を利用し、胴膝蹴りを決め勝利。夏の雪辱を果たした。
日本一が決まる決勝戦は岩木、前田の同校対決となった。試合は、10分を超える長丁場となった。チームから「関大ファイト!」の声が届く中、試合を決めたのは岩木。前田が踏み出す瞬間に胴横蹴りを決め、旗が上がった。会場からは両者の健闘を讃える大きな拍手が沸き起こった。
中井は2回戦から登場。ベスト8まで駒を進めた。初戦から足技を駆使し、相手を牽制する。格下の胴突き蹴りで中井が先制すると、相手も不意をつく面蹴りで同点に。しかし、中井の足技がさく裂。胴横蹴りが命中し、2ー1で勝利、次戦に駒を進めた。3回戦、序盤に面蹴りをくらい、窮地に立たされたが、相手の蹴りを逆手に取る股蹴りで一本を取り返す。その勢いで面突きで二本先取、4回戦に進出した。勝てば3位以上が確定する中、長身の中村(愛学大)と対戦。組み技を得意とする相手に苦戦を強いられる。それでも、積極的に胴への迫撃を繰り返す。0−0でタイムアウトとなり、勝敗は判定に委ねられた。結果は組まれるシーンが多かったこともあり黒星。来年にリベンジを誓った。
夏に入部した倉田は高校での拳法経験を持つニューフェイス。大学デビュー戦となる今大会では2回戦まで進出した。1回戦では立技、組み技を駆使し、2−0で勝利し、華麗なデビュー戦を飾る。しかし、2回戦では、杉山(関学大)に二本負けを喫した。
一方の男子は八木、長谷川、内畑谷の3人がベスト16まで駒を進めたが、入賞は叶わなかった。期待の星、後藤も初戦でまさかの判定負け。秋季は苦しいシーズンを強いられそうだ。一方で拳法初心者の神田が3回戦まで進出するなど、喜ばしい事もあった。
足の怪我から復帰した八木は今大会が個人戦の引退試合。持ち前の俊敏な立技で順当にトーナメントを勝ち進んだ。しかし、準々決勝で昨年王者の森川(明大)に敗北する。
長谷川は初戦こそ判定がちだが、2戦目以降は組み技を中心に一本を積み重ねた。2、3回戦と相手に一本も奪われる事なく準々決勝へ。だが、長谷川も同じく明大勢に阻まれてしまった。相対した山田(明大)は士気旺盛な雰囲気をまとい長谷川に攻撃を仕掛ける。試合開始直後に決定的な胴横蹴りを決められた長谷川。負けじと、蹴りを逆手に取るまた蹴りで一本を取り返した。しかし、勢いのある相手を押さえ込むことができず面突きをとられ、惜敗。
シードで2回戦から登場した内畑谷。恵まれた体格を生かした拳法で4回戦まで一本も落とさずトーナメントを勝ち進んだ。内畑谷も八木らと同じく明大に行く手を阻まれた。井上(明大)との試合は拮抗(きっこう)状態が続いたが、体幹がしっかりとした相手に苦戦。面の連撃を受けてしまい1−0で惜敗した。
女子は1位2位を独占した一方、男子は表彰台を明大に独占されてしまった。全日まであと1ヶ月。アベック優勝を目標にしてきた関大。明大との差を埋めるべく残り1ヶ月稽古に奔走する。【文:丸山由雅/写真:早川莉央】
▼岩木
「(どんな気持ちで臨んだのか)去年は入賞することもできなかったので今年は入賞することを目標にしていました。(準決勝までのトーナメントを上がるうえで印象に残った試合)3試合目です。何回か対戦したことがあったので、3分間試合時間を使うのではなく、短い時間で決めようと思っていました。足もしっかり動いて、いい動きができたと思います。(準決勝はライバルとの戦いでしたが、勝因があれば教えてください)3分間では決まらず1分間の延長で、判定も想定して、先に攻撃し自分のペースに持っていけたと感じました。組みでも投げられないように耐え、相手を投げることができたことが勝因です。(西日本に引き続き同校対決となりましたが試合中の心境を教えてください)日頃練習している相手なので技が出しにくかったですが、負けられないという気持ちだけで戦っていました。(決勝戦後の感想)大学入学時からの目標を今回の試合で達成することができて、まずはほっとしました。多くの人が応援してくれていたので優勝を届けれてよかったです!(次戦の団体戦に向けて)東京選抜では自分が勝たなければいけないところで勝つことができず、チームも負けてしまったので全日本では全試合勝ち、チームが優勝できるように貢献します」
▼前田
「(どんな気持ちで臨んだのか)初めての大学全国個人戦で何も分からず不安でした。しかし、絶対勝つと言う気持ちで一戦一戦全力で試合に臨みました。(準決勝までのトーナメントを上がるうえで印象に残った試合)なかなか調子が上がらず3回戦、4回戦はとても苦戦しました。3回戦では先に1本を取られなかなか取り返すことができなく焦りました。しかしここでは負けれないと思い気持ちで取り返しました。4回戦は高校からのライバルで何度か危ない場面があったが、粘ることができました。(準決勝はライバル・中村選手との戦いでしたが、勝因があれば教えてください)今まで色々な技を試してきたがなかなかポイントを取ることができなかったので相手が左を伸ばしてきたところにカウンターの胴付きを突くことを狙っていました。しっかりと決まった瞬間はとてもうれしかったです。(西日本に引き継ぎ同校対決となりましたが試合中の心境を教えてください) 前回の西日本個人の勝敗もあり、絶対に勝ちたいという気持ちで臨みました。試合中は相手の隙を狙っていましたがなかなか隙がなく攻撃することができませんでした。改めて美朱さんの強さを思い知らされました。(決勝戦後の感想)負けはしたけど自分の出せる全力を出せたのでよかったです。西日本に続きとても長い試合になった。長い試合をする経験がなかったのでとても疲れました。
(次戦の団体戦に向けて)試合の課題をしっかりと修正し一人一人がさらにレベルアップしてチーム一丸となって優勝したいと思います」
▼長谷川
「(試合前のチームの雰囲気と気持ち)みんな団体戦とは違い個人的な戦いだったのでそれぞれの得意な戦い方の戦術を立てて試合に挑んでいました。しかし、団体戦とは違いほぼ全員が出場だったので思ったほど緊張もなく落ち着いた感じでした。(試合全体の結果を振り返って)女子は完璧でしたが男子はつめの甘さが出てしまったかなと思いました。初心者の子が勝ったり、一本を取れたりといい部分もありました。(準々決勝で明大勢に阻まれたことをどう捉えているか)今のままじゃ明治をライバルと呼べる状態でもないなと思いました。今は正直、目標でありかなり差があると感じたのであと1ヶ月でどこまで差を埋めれるかが日本一にかかってくるかなと思います。(個人の試合の良かった点、改善点等)前に出る意識はすごくあって個人戦ならではの判定では負ける気はしなかったので良かったです。しかし、明大相手になると練習量が劣っていると感じ始めて、細かいところが負けていたので後はそこを詰めるしかないと思いました。(次戦は最後の試合になるが、準備していること、意気込み等)最後はもう集大成なのでこれといった秘策はないですが、思いっきり楽しんで日本一絶対取りに行きます。関大拳法部はやっぱり仲の良さがすごいので活かして最後練習頑張っていきます」
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