◇令和6年度関西学生秋季リーグ戦第6節◇対関学大4回戦◇10月22日◇わかさスタジアム京都
関 大 000 120 100=4
関学大 100 005 00X=6
(関)岩井、荒谷、坂本、金丸ー越川、笠井
(学)古川、岡、吉田慎、森田、溝口ー木村公、住本
1(二)森内
2(右)藤原太
3(三)下井田
4(一)久保田
5(遊)山田
6(左)富山
7(捕)越川
8(中)渡邊
9(投)岩井
藤原太郎主将(法4)率いる関大野球部が今年最後の公式戦に挑んだ。相手は前日に春秋連覇を決めている関学大。長年宿敵として君臨してきた相手との今年最後の一戦は、点の取り合いとなった。関学大に先制こそ許すものの、着実に得点を重ね5回には一時勝ち越す。しかし6回、四死球が絡み一挙5失点。追い上げを試みるも、力及ばず。7勝6敗、勝ち点2の4位で今シーズンを締めくくった。
先攻の関大は1回。先頭の森内大奈(情2)が二塁打で出塁する。藤原主将も安打を放つが、思うように進められず、先制点とはならない。
その裏、関大先発は岩井将吾(商4)。いきなり3連打を浴び満塁のピンチを招くと、犠飛で失点を許した。それでも後続を併殺打に切り、最小失点にとどめる。

早めに追いつきたい関大は4回に反撃する。先頭の3番・下井田悠人(経3)が右中間を破る二塁打を放つと、2死三塁とし打席には富山雄正(情4)。食らいついた打球は三遊間をしぶとく破り、下井田が生還した。同点に追いつくと、続く5回には渡邊貫太(経2)の安打を機に再び得点圏に走者を置く。1死三塁とし、1番・森内。左翼へ引っ張った打球は飛距離十分の犠飛に。勝ち越しに成功すると、藤原主将の安打から再び好機を作り、今度は下井田が右前へ運びこの回2点目。理想的な攻撃で試合の流れをつかむ。

2点リードで迎えた後半。初回以降好投を続けていた岩井が突如崩れる。先頭から3者連続で出塁を許したところで荒谷絋匡(法3)へスイッチ。荒谷は見三振を奪うなど2死までこじつけたが、その後連打を浴び4点を失う、苦しいマウンドとなった。
これまでのリーグ戦はリードを奪われると、流れを取り戻せなかった関大。それでもこの日は違った。藤原主将が四球をもぎ取ると、山田悠平(商3)も安打で続き、2死ながら一、二塁の好機を迎える。打席に立ったのは6番・富山。けがに苦しんだ悩めるスラッガーだったが、緊迫した場面で捉えた打球は中前に弾む。2点差に詰め寄ったベンチ、スタンドは大歓声に包まれた。

7回は坂本雅治(人4)、8回にはプロ注目左腕・金丸夢斗(文4)が相手打線を封じ、味方の反撃を持つ。
しかし、8回こそ2本の安打に四球を集め、1死満塁の好機を迎えたものの、併殺打に打ち取られる。最終回も3人で攻撃を終え試合終了。今年最後のリーグ戦を勝利で締めくくることはできなかった。

試合後には晴々とした表情でベンチに引き下がった選手たち。それでもその後行われた最後のミーティングでは、4年生が涙を浮かべる姿も。「このチームの主将で良かった」と藤原主将も涙ながらに思いを綴った。春は開幕節となった京大相手に2連敗。甲子園にて行われた関学大戦も連敗を喫するなど、悔しさしか残らなかった。確かな手応えを感じ自信を取り戻した夏。しかし、秋も2節続けて勝ち点を落とし、チームはどん底だった。それでも、破竹の4連勝で最後まで優勝戦線に残るチームにまで成長。意地を見せた。
世間からは金丸夢斗ばかりにスポットが当たるチーム。ただ、このチームの真骨頂は金丸1人ではない。雨の日でも酷暑の日でも駆けつける応援団。大量リードを許しても、攻守交代でナインが帰ってくる際には出迎える控え選手。その中心には必ず4年生の姿があった。結果こそ満足できないものだったかもしれない。それでも関大野球部としての誇り、プライド、あるべき姿は継承した。最後まで消えることのなかった『士魂』。先輩たちが示した背中を見続けた後輩たちが来年、新たな時代を築く。【文:稲垣寛太/写真:櫻田真宙】

▼藤原主将
「(4年間で最後の試合となったきょうを振り返って)楽しかったです。関学大の2回戦、3回戦もそうでしたけど、いつ最後になるか分からないので、勝ちにいくことは前提で後悔のないようにやることを意識していました。みんな楽しくやってくれて、1打席1打席後悔のないようにしてくれて、投手との真剣勝負に臨んでいたと思います。結果負けてしまいましたけど、1打席1打席後悔のないものにできたと思います。(自身の3安打を含め、同じ4年生の活躍が目立った)苦しんでいた佐藤(慶志朗=経4)も打って、けがから明けた富山も打って、岩井が先発して金丸も投げて。試合に出れていない4年生もいますけど、それぞれの立場でそれぞれの役割を果たしてくれたので、主将としてそれを見るのが本当に楽しかったしうれしかったです。(応援団の存在について)背中を押してくれる存在、それに尽きると思っています。負けが続いていても、スタンドでは一緒に応援してくれて、メンバーの選手も応援団のために勝って、応援団を神宮に連れて行くというのは言葉にしていました。それくらい応援団は大きい存在でしたし、特に4年生は一番前で声出して、暑い日も自分たちより日焼けして、皮がめくれても応援してくれていたのは届いていました。本当に1年間通して、応援団がいなければどうなっていたか分からない。本当にこの応援団がいてくれる関大野球部で良かったなと思います。(試合後、『太郎のもとで野球ができて良かった』という声が挙がった)本当にシーズン中は、主将としてチームに貢献できない悔しさ、情けなさがあって、すごく申し訳ない気持ちがありました。ミーティングでも話したんですけど、主将だからできる思いもあって、勝ち点取ったら人一倍うれしいですし、負けたら責任も感じますし、人一倍悔しい。そういう思いができているのは4年生をはじめ野球部のみんながいてくれるからだと思うので、僕自身も『ありがとう』という気持ちと、『このチームの主将で良かった』という気持ちが大きいです。(後輩たちに向けて)1年間本当に短かったので、あしたから後悔のない日々を送って、結果はそのあとに付いてくると思います。その過程で準備して、悔いのないように頑張ってほしいです」
コメントを送信