◇ 令和6年度関西学生選手権大会本戦9日目◇9月1日◇於・江坂テニスセンター
[男子シングルス決勝]
○井戸垣2(6-1,3-0RET)0岩本(関大)
[女子シングルス決勝]
○山口2(6-3,0-6,6-3)1石川(姫大)
[女子ダブルス決勝]
○中西・中川組2(6-3,6-4)0石川・上林(姫大)
夏関本戦最終日は、男女シングルス決勝、女子ダブルス決勝が行われた。男子シングルスは第2セット序盤で岩本晋之介(商3)が棄権し、井戸垣一志主将(人4)が関西規模大会初優勝。女子シングルスは、山口花音(経3)が石川(姫大)を相手に激闘を制し、見事夏関3連覇の偉業を達成した。女子タブルスは中西夢乃(経4)・中川桃(商4)組が第1シードの強敵をストレート勝ちで下し、初優勝。表彰台の上位を関大が独占する、リーグ戦に向けていい足がけとなった。
男子シングルス決勝では、岩本と井戸垣主将の上位シードかつ関大対決が実現。互いのプライドがぶつかり合う、激しい攻防が期待される。第1セットの主導権を握ったのは、井戸垣主将。岩本がサーブ権の第1ゲームをブレイクすると、第3ゲームもブレイクに成功する。ゲームカウント5-1となった第7ゲームでは、サーブを確実に返球しリズムを作った。試合の流れを引き寄せ、このゲームもブレイク。ゲームカウント6-1と余裕のあるスコアで、第1セットを井戸垣主将が先取した。
第2セットの第1ゲームを井戸垣主将がキープしたところで、岩本がメディカルタイムアウトを要求。試合が再開するも、岩本がサーブ前にしゃがみこむ様子が見られる。苦しい表情を見せつつなんとか試合を続けるも、試合は終始井戸垣主将のペース。第3ゲームを井戸垣主将がブレイクし、ゲームカウントは3-0に。ここで岩本が棄権し、試合が終了した。井戸垣主将は夏関初優勝。「関西学生は今回が最後なので、やっと優勝できてうれしいという気持ち」。4年目にしてつかんだタイトルに、笑顔が弾けた。
山口は、春関決勝で敗れた因縁の相手、石川(姫大)との対戦だ。序盤は互いのキープゲームが続く。試合が動いたのは、ゲームカウント2-1で迎えた第4ゲーム。山口の巧みな返球と相手のダブルフォルトもあり、ブレイクすることに成功した。この勢いのまま第1セットを先取したかったが、直後の第5ゲームはデュースまでもつれ込む接戦に。最後は相手の緩急ある返球に反応できず、ブレイクで返されてしまった。その後互いにキープで1ゲームずつ分け合い、ゲームカウントは4-3に。相手がサーブ権の第8ゲームでは、先制されるもののここから巻き返しを見せる。一気に3連続で得点し、最後は相手のネットでブレイクに成功した。ゲームカウントは5-3となり、正念場の第9ゲーム。キープし第1セットを奪いたい場面だが、相手も食らいついてくる。デュースとなってはアドバンテージを奪い合う激しい攻防。4度目のデュースで、相手がアウトしアドバンテージを獲得した。最後はコートの逆サイドを突く素晴らしい返球で、相手は動けず。ゲームカウント6-3で第1セットを先取した。
試合の主導権を握ったかと思われたが、第2セットは打って変わって相手のペースに。山口のファーストサーブが入らない場面も度々見られ、連続でブレイクを許す。第2セットをストレートで落とし、勝敗は運命のファイナルセットに委ねられた。
切り替えたいファイナルセットは、第1ゲームのブレイクから始まる幸先の良いスタート。しかし直後の第2ゲームをブレイクで返され、すぐさま振り出しに戻った。続く第3、第4ゲームも互いにブレイクし、拮抗(きっこう)した展開が続く。互角の状況を打破したのは、山口だった。ゲームカウント3-3で迎えた第7ゲーム。一気に3連続失点で、0-40まで追い込まれるも、ここから逆襲を見せる。強烈なフォアハンドを武器に3連続得点でデュースに持ち込むと、そのままアドバンテージも獲得。最後は前に出てドロップショットを放ち、相手のロブでアウトを誘う。ブレイクに成功し、ここから一気に流れをつかんだ。続く第8ゲームもしっかりキープし、ゲームカウント5-3で迎えた第9ゲーム。点の取り合いを制し、マッチポイントを獲得した。最後は相手のネットで山口に軍配が上がる。春関のリベンジを果たすと同時に、夏関連覇を達成した。
中西・中川組と石川・上林(姫大)の女子ダブルス決勝は、小雨が降る中試合がスタート。中西がサーブ権の第1ゲームをしっかりキープし、第2ゲームはデュースまで追い詰める。しかし相手のサーブにうまく対応し切ることができず、ブレイクすることはできなかった。続く第3ゲームは、相手が勢いに乗り得点を重ねる苦しい展開に。30-40とされると、逆サイドを鋭く突かれ反応できず。ブレイクされ、1歩遅れを取ってしまった。続く第4ゲームもキープされた場面で、雨が激しくなってきたため試合を一時中断。次第に雨も緩やかになり、約30分後に試合が再開した。「雨の中断をプラスに捉えて、切り替えて取り組めた」(中川)。その言葉通り、第5ゲームをキープ後、第6ゲームをブレイクしたことを皮切りに勢いに乗る。第8ゲームもブレイクし、ゲームカウントは5-3に。中西がサーブ権の第9ゲームをストレートでキープし、第1セットをゲームカウント6-3で先取した。
続く第2セットは、ゲームカウント2-2まで互いのキープゲームが続く。試合が動いたのは第5ゲーム。中川のネットギリギリを攻めるスライスや、中西のスマッシュなどで得点を量産する。このゲームをストレートでブレイクすると、中西・中川組に追い風が吹いた。続く第6ゲームをキープ、さらに第7ゲームをブレイクし、優勝に王手をかける。ゲームカウント5-2となった第8ゲームで勝負を決めたいところ。しかし相手も懸命に食らいついてくる。中川のサーブをナイスリータンで返され、反応することができず。なんとか1点を返すも、ミスが重なりこのゲームのブレイクを許した。第9ゲームをキープされ、ゲームカウントは5-4に。暗くなってきた会場を照らす照明が点灯し、試合はいよいよ終盤に差し掛かった。ここで勝負を仕掛けたのは、中西・中川組。長いラリー戦も、互いに声を掛け合いながら確実に返球していく。40-30となり、優勝が目前に迫った。中西の鋭いサーブにより、相手のリターンが浮き球に。そこを中川がすかさず渾身(こんしん)のスマッシュを決め、これが決勝点。2人でつかんだ初の夏関タイトルに、駆けつけた応援からの盛大な拍手が送られた。
表彰台の上位を関大が独占する、好成績で終えた夏関。約1週間後にはリーグ戦が始まる。各々の力はもう十分に見せつけた。王座を視野に、まずは関西一の大学となるべく、団体戦での「関大テニス部」の力を証明する時だ。【文:合田七虹/写真:森奈津子】
▼井戸垣主将
「(優勝しての気持ち)関西学生は今回が最後なので、なんとしても1年目から優勝したいと思ってやってきたので、やっと優勝できてうれしいという気持ちです。(どのような意識をして決勝戦に臨んだか)去年の夏関でも岩本と当たっていて、今年の春関でも負けているんですけど、どちらの試合も前半で離されてしまって、相手に余裕を持たせてプレーをさせてしまっていました。今日は出だしでしっかり食らいついていこうと思っていたので、それが今日できたかなと思います。(決勝戦を振り返って)向こうも体調など万全なコンディションではなかったんですけど、自分は1ポイント1ポイント持ち味であるファイトと泥臭さを存分に発揮できたかなと思います。(今大会で得れた収穫や改善点)サービスゲームでブレイクされずに1回戦から決勝戦までプレーできたのは良かったかなと思います。元々すごくサーブが弱点で今でも得意ではないんですけど、色々と練習を重ねてきて少しずつ自信もついてきて、今回結構余裕を持ちながらサービスゲームをキープできたのは良かったかなと思います。課題は、ネットプレーという意味では、自分は粘り強いテニスが持ち味ではありますが、攻撃面では他の選手に劣るものがあるかなと思うので、もっとネットに出て圧をかけていくテニスをしていきたいなと思います。(リーグ戦と王座に向けての意気込み)いよいよリーグ戦が始まるなという気持ちなんですけど、おととしチームとして悔しい思いをして、去年は僅差で優勝できて、今年は全勝で連覇したいなという思いがあります。去年以上に過酷なリーグ戦になるというのはみんな覚悟してますし、厳しい戦いなるのは間違いないので、まずは1戦目の大体大戦からしっかり気合いを入れて、1戦1戦しっかり勝星を付けて、それが優勝つな繋げられたらなと思っています。王座に出て優勝したいというのが今の気持ちです」
▼山口
「(優勝しての気持ち)ほっとした気持ちとうれしい気持ちです。(どのような気持ちで決勝戦に臨んだか)春関負けていた相手だったので、リベンジしたい気持ちで挑みました。(第1セットを振り返って)結構風があってやりにくかったですが、その中でもしっかり自分なりに考えて風を使いながら展開できてたので良かったと思います。(第2セットを振り返って)相手が結構攻めてきて、自分が引いてしまって0−3と離されてしまったので、そこで切り換えてファイナル頑張ろうという気持ちになったので、自分の体力を温存しながらやりました。(ファイナルセットを振り返って)1ポイント1ポイントちゃんと集中して、最初から攻めるプレーも入れていって、ネットプレーに出ていくことで相手のミスを誘いました。ネットプレーも積極的に意識しました。(今大会の収穫や見つかった課題)春関で負けていたので、そのリベンジになったのはリーグ前で結構大きいことかなと思います。リーグは連戦なので、競った試合をしていたら体力も保たなくなってくると思うので、しっかり2セットで勝ち切れるように頑張りたいと思います。(リーグ戦と王座の意気込み)リーグでは全勝してチームに貢献できるように頑張って、リーグ優勝目指して頑張ります。王座では全国優勝目指して頑張りたいと思います」
▼中西・中川組
「(優勝しての心境)うれしいですが優勝した実感がないです。最後の個人戦でつかみ取りたいと2人でずっと言っていて、失敗を積み重ねてそれでもペアを変えずに組んできた中西だったので、最後に優勝を飾れて良かったと思います(中川)。まだ実感はないんですけど、一番にはいつもサポートしてくだってるコーチだったり、親とか色々な方が応援に来てくれていたのでここで勝つことができてすごくほっととしています(中西)。(逆転した第1セットを振り返って)雨の関係で中断になったことをプラスに変えました。準決勝も中断して次の日になってから一気にギアを上げて最後勝ち切ることができたので、同じように決勝でもその間に2人で話し合って作戦を考えて、そこから一気に攻めていけたので良かったかなと思います(中川)。(サーブについて)セカンドはしっかり振って入れることができていたので、サーブでどうしようとかは考えずに、思い切って1球目からどんどん打つことを意識していました。(中西)(第2セットを振り返って)ブレイクできてリードできたというのはありますが、試合というのはどうなるか分からないですし、自分たちも結構リードされてから逆転勝ちするパターンが多いので、相手もしてくる可能性がありました。焦らず落ち着いて引かないというのを意識して、いつ逆転されてもおかしくないというのを頭に入れながらしっかりと積み重ねていけたので取りきれたかなと思います(中川)。おとといの試合でリードしていた場面で、相手の1本1本に対して決めきれなかった課題が2人の中でありましたが、今日の試合は集中してできたかなと思います(中西)。(リーグ戦に向けて)リーグ戦はチーム一丸となって1試合1試合勝利を上げていくだけだと思うので、全員でファイトして頑張りたいと思います(中西)。感謝の気持ちを大切に支えて頂いてるからこそ私たちはテニスをできていると思うので、その感謝の気持ちとチームの仲間にも感謝の気持ちを持ちながら、みんなで一つになって最後まで戦い抜きたいと思います(中川)」
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