◇第51回西日本フィギュアスケート選手権大会2日目◇11月2日◇木下カンセーアイスアリーナ
[シニア女子FS]
7位 鈴木 94.54
[シニア女子総合]
12位 鈴木 140.78
西日本選手権大会(西日本)2日目は、シニア女子のフリースケーティング(FS)が行われた。関大からは、ラストイヤーの鈴木なつ(人4)が出場。冒頭の3回転ループで着氷を耐えると、そのまま全てのジャンプを決め切る。惜しくも逆転での全日本出場には届かなかったが、真っすぐで力強い『Les Miserables』を披露。演技後には、会場中から大きく温かい拍手が送られた。
これまで2度全日本に出場した鈴木。ラストシーズンには『全日本出場』を目標に掲げる。8位以内で全日本出場権が得られる中、前日のショートプログラムでは15位に。それでも逆転での全日本出場を目指し、FSに挑んだ。

浪岡秀コーチと言葉を交わし、笑顔でリンクイン。力強い音とともに滑り始めた。冒頭の3回転ループで着氷を耐え、続く3回転サルコー+2回転トーループをきれいに降りる。芯の通った前半のパートでは、スピード感あふれるスケーティングを披露。一転して柔らかい音色になると、指先まで美しくしなやかに氷上を舞う。さらにダブルアクセル+シングルオイラー+2回転サルコーやダブルアクセルを十分な回転で着氷。最後のダブルルッツを降り立つと、大きな拍手が鳴り響いた。プログラムの山場では細やかなリズムに乗り、一つ一つ丁寧にステップを刻む。「手拍子がすごく後押しになった」。応援を力に変えて滑り、スピンでは3つ全てでレベル4を獲得。最後は両手を広げて『Les Miserables』を締めくくった。

「自分が思い描いていた演技ができた」。演技後には思いがこみ上げ、会場からは温かい拍手と歓声が沸き起こる。仙台に拠点を戻して迎えた本格的なシーズン。近畿ブロックではうまくジャンプがハマらず、一時的に西日本進出ライン外になったことも。それでも諦めずに挑戦を重ね、この大舞台で磨いてきた実力を余すことなく出し切った鈴木。全日本出場には約5点及ばなかったが、万感の思いがこもった演技を届けた。

いよいよあすは大会最終日。シニア男子とジュニア男子のFSが行われる。それぞれが自分自身と向き合い、目指してきた日本最高峰の舞台へ。1年間積み重ねてきた努力を今、結実させる。【文:中吉由奈/写真:川元咲季】
▼鈴木
「(演技前の心境)昨日はジャンプで2つミスをしたんですけど、そんなにだめだったとは思わなくて。先生(=浪岡コーチ)にも全体的にめっちゃ滑っていたよと言われたし、ただやっぱりジャンプが本番ハマればという感じではあったので。昨日が出遅れた分きょうは結構リラックスして、本当にやることだけに集中して、全日本を考えすぎなかったのが集中につながったのかなと思います。(演技を振り返って)何回かこういうパッと見ノーミスみたいなフリーは練習ではできていて。それがショートではできなかったので、できて良かった。もう練習でやっていたことが出せて良かったと思います。(手拍子やスタンディングオベーションを受けた)本当にフリーの最後のステップってきついんですよね(笑)でも全部の音にステップがハマっていて遅れたらダメだから、みんなの手拍子がすごく後押しになって、最後は滑り切れた感じでした。昨年からスタンディングオベーションできるような出来のプログラムはなかったので、とりあえずジャンプを全部降りられて、自分が思い描いていた演技というか、スタンディングオベーションまで含めて自分の理想ができたと言えるかなと思うので、すごくうれしかったです。(演技後には思いがこみ上げた)やっとできたという安心もあったし、本当に今シーズンに入ってからも自分の中では結構つらいこともあったから、きょう出さなくていつ出すという感じで。だからそれができて良かったなと思って、ちょっとぴえんって感じです(笑)(浪岡コーチからかけてもらった言葉は)『良かったよ』って言ってもらえて。(拠点を)戻したから浪岡先生の前でいい演技したいという気持ちがすごく強かったのもあったし、先生に良かったよと言ってもらうためにやっているみたいなところもちょっとはあるというか。昨日はいい演技ができなかったから、きょうできて良かったなと思います。(今年が最後の西日本となった)やっと近畿ブロックと西日本のブロックに慣れてきたなと思ったところで。1年に1回しかないから3回出て今年4年目で、やっと慣れてきたなと思ったんですけど、終わっちゃうから寂しいですね。その前までは東日本ブロックでやっていたんですけど、雰囲気がまたちょっと違って、でもみんなすごく優しいし、知り合いも増えてきて。アウェー感もなくなっていって、今からがもっと楽しいはずなのに寂しいです。(残りのシーズンに向けて)西日本までは予選だったから、あまり最後というのは意識したくなかったんですけど、予選がだんだん終わっていって、次のインカレとかは本当に最後の試合で。練習してきたことを試合で出し切ることがどれだけ大変かというのは、これまでやってきて分かっているので、練習は精一杯やって、本番はその雰囲気を楽しめるように。やり切ったと思える練習を1日ずつやっていって、スッキリ終われたらなと思います」
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