◇ 第57回秋季関西男子学生リーグ戦 ◇対京産大、京大◇10月12日◇神戸学院大学第5グラウンド
[第4戦]
京産大 000 000 0=0
関 大 110 100 X=3
1(中)倉田
2(遊)金谷
3(二)榎
4(捕)小葉竹
5(左)福田
6(投)小松
7(右)田和
8(DP)井上勝
9(三)井上裕
FP(一)田中
優勝に向け、得失点差が鍵となる秋季リーグ戦終盤。第4戦は京産大と対峙(たいじ)した。この日も先発を任されたのは、小松琉晟(るいせい=法2)。初回は先頭に四球を許し、次打者には内野安打を浴びる。無死二、三塁と絶体絶命のピンチに。それでも相手3番を3球三振に取ると、4、5番からも三振を奪う。クリーンナップ相手に、圧巻の三者三振で先制点を許さなかった。後攻の関大は、先頭の倉田雄太(情3)が痛烈な打球を放つも三ゴロに。2番・金谷柊(情1)は、追い込まれながらも力強く振り抜く。打球は中堅方向に伸び、そのままフェンスオーバー。1年生の先制弾が飛び出し、ベンチも総立ちで喜んだ。

2回も小松は2個の三振を奪う。打線は小松が右失で出塁すると、田和直人(法1)の二邪飛の間に三塁へ。好機で8番・井上勝裕(情3)を迎える。「直球に合っていなかった中で、変化球を拾うことができた」と、泳ぎながらも左前へ。小松が生還し、2点目を獲得した。3回は先頭打者に出塁を許し、盗塁で得点圏に走者を背負う。それでも小松は、力強い投球で左打者の相手1番に引っ張らさせない。進塁打を阻止し、後続も断つ。無失点でこの回を切り抜けた。
4回は、先頭の小葉竹伸(安全3)が中越二塁打を放つ。次打者の福田一心(文2)も中越二塁打で続き、1点を追加。さらに好機が続いたものの、この回は1点止まりとなった。5回は1番からの好打順も、得点とはならない。6回には小松が一段とギアを上げ、今試合10個目の三振を奪う。その裏、小松が自ら安打を放つが、4点目が遠い。最終回も小松がマウンドへ。井上勝も投球練習を始め、準備を整える。小松は2者連続三振を奪い、早くも勝利まであと1死に。しかし、味方失策と不運な内野安打で、2死一、二塁のピンチを背負う。それでも、小松は気迫の投球で打ち取り完封。チームとしても4戦連続の無失点勝利を収めた。

[第5戦]
関 大 106 22=11
京 大 000 00=0
1(中)倉田
2(遊)金谷
3(二)榎
4(捕)小葉竹
5(左)福田
6(DP)小松
7(右)田和
8(投)井上勝
9(三)井上裕
FP(一)田中
京産大戦後に行われた試合の結果を受け、同率首位の昨春王者・同大と得失点差により順位が決まることが確定した。優勝には最終戦の勝利が必須。関西制覇に王手をかけた関大は、京大との最終戦に挑んだ。「心は燃やして、頭は冷静に」。榎上総主将(かずさ=経3)が試合前の円陣でチームの士気を高める。その言葉に呼応するように、仲間たちの声が大きく響き渡って試合は始まった。初回、倉田と金谷が四球で塁に出ると、福田の右前安打で先制点を獲得する。先発・井上勝は、テンポ良く投げ進めていき三者凡退に。幸先の良いスタートを切った。
2回は互いに無得点で終える。関大の打線が爆発したのは3回。先頭・金谷が四球を選び出塁すると、暴投の間に二塁へ。続く榎主将から執念の左前安打が飛び出し、追加点を挙げる。さらに、小松の豪快な中安打、田和の中越二塁打と、連打で2点を獲得。まだ勢いは止まらず、ゴロの間に三塁走者が生還しもう1点、倉田の鋭い適時二塁打と続いていく。集中打を浴びせ、この回一挙6点で大きく相手を突き放した。
4回からは代打も送り、打線に新たな風を吹き込む。早々に2死となったものの、3人では終わらせない。この粘り強さが関大ソフト部の魅力。福田の内野安打、小松の四球で一、二塁とすると、田和の強烈な適時三塁打で2点をもぎ取った。守備では、井上勝が好投を続け得点を許さず、攻守で相手を圧倒していく。

5回、倉田が四球で塁に立つと、ここで榎主将が渾身(こんしん)の一打を放つ。特大弾でゆっくりとダイヤモンドを周り、ダメ押しの2点を追加。「打った瞬間確信した。文句なしの一振りだった」。チームの勢いを象徴するかのような主将の本塁打に、部員たちの笑顔がはじけた。

ついに迎えた5回裏。ここを抑えればコールド勝利、そして秋季リーグ優勝が決まる。先頭を二ゴロに打ち取ると、続く打者も一塁手・田中元氣(シス理1)の堅守でアウトに。優勝まであと1つ。井上勝が2ストライクで打者を追い込んだ。ベンチの仲間はマウンドに集まる準備を始め、固唾(かたず)をのんで見守る。最後は空振り三振で仕留め試合終了。5回完封の磐石の守備で締めくくった。マウンドでは井上勝・小葉竹の同期バッテリーが抱き合う。野手やベンチの仲間もマウンドへ駆け寄り、優勝の瞬間を迎えた。

4勝1分で3年ぶりのリーグ制覇を成し遂げた。小松、井上勝の2投手が全5試合を無失点に抑え、圧巻の投球でチームをけん引。「安心して見られた。2人は練習も1番頑張っていたから、それが報われてうれしい」と榎主将は2人を称えた。投手陣を筆頭に、少人数ながらチーム一丸となってつかんだ栄冠。チームの次なる目標は、春季リーグ戦での『完全制覇』だ。全勝優勝を目指し、この冬さらにパワーアップする関大ソフト部から目が離せない。【文/写真:早川莉央、櫻田真宙】

▼榎主将
「(最終戦を振り返って)4-0以上で抑えれば優勝が決まるという状況だったので、プレッシャーがかかるし、気合が空回りする可能性もありました。だから、試合前のミーティングでは『心は燃やして、頭は冷静にいこう』と話しました。1点ずつ積み重ねて優勝しようと言っていたので、自分自身も大きい一打を狙わずにいこうと心がけて臨みました。(それでも5回には本塁打を放った)打った瞬間に確信したのでゆっくり歩きました(笑)公式戦の本塁打の中では1番飛んだかなと思います。文句なしの一振りでした。(3年ぶりの優勝を果たした)9月のインカレが終わってから新チームが始まりました。副将の小葉竹とは毎日1時間くらい電話するなど、とにかく2人で話し合ってここまでやって来ました。その甲斐もあって、僕たちが入部してから初の優勝をつかめたのかなと思います。新チームということで、脆い部分もあったけれど、琉晟(=小松)と勝裕(=井上勝)が頑張って抑えてくれました。課題も浮き彫りになったので、春リーグまでに100点に持っていけるようにしたいです。まだまだ上を目指せるチームだと思います。油断せずに冬の練習を頑張りたいです。(投手陣に関して)安心して見られたところが多いです。あの2人は練習も1番頑張っていたから、それが報われて本当にうれしいです。エラーが出たこともあったけれど、雰囲気をしっかりと切り替えて一丸となってやっていけました。それである程度は背中を押せていたかなと思うけれど、2人の負担が大きい場面もありました。2人のこれまでの準備や、試合に対する思いが強かったからこその結果だと思っています。(来春への意気込み)今回は、同大に引き分けて優勝だったので自力優勝ではありませんでした。次は、自分たちの実力だけで完全制覇したいです。他大学は、『打倒関大』という思いで練習してくると思います。研究されて弱点を突かれてしまうと思うので、弱点をなくせるように練習していきたいです。『関西といえば関大』と言えるくらいまで、この冬で仕上げたいと思います」
▼小葉竹
「(リーグ全体を振り返って)とにかく投手陣が頑張ってくれました。投手の2人だけでなく、野手たちも含め全員で無失点に守り抜けたかなと思います。エラーをしてしまっても引きずらないようにと、自分やキャプテンが常に言っていました。エラーが出た時は、絶対にタイムをかけて間合いを取るようにしました。それもあって、引きずることなく守備ができたかなと思います。(今季は4番として打席に立った)3番の榎、5番の福田がとても良い打者なので、どうにかつなげようという思いでやっていました。でも、プレッシャーはそこまで感じていなかったです。(来春への意気込み)得点力が特に課題かなと思います。守備では、ミスの内容を次に生かせるような良い内容にしていたいです。投手陣もより良い投球ができるように、僕も含め全員で頑張っていきたいです」
▼小松
「(どんな思いで挑んだか)インカレでベスト16と悔しい結果を残したので、この秋季リーグ戦はみんな気合が入っていました。その中で、投手から無失点に抑えて良い流れを作ることができたかなと思います。(リーグ全体を振り返って)チームがピンチな時にも、自分が三振を取って助けようと心がけていました。内野陣も、春季リーグに比べてエラーが少なく、投げやすい環境を作ってくれました。(来春に向けて意気込み)次の大きな目標は春季リーグ全勝優勝です。それまでに冬の練習で投げ込んでより良い投球ができるようにしていきたいです」
▼井上勝
「(リーグ全体を振り返って)インカレが終わって、4年生が引退したのでレギュラーが一気に6人抜けました。新チームに対して少し不安はあったけれど、小松を筆頭に良い投球ができていたと思います。打者も、しっかりつないでやっていけたので良かったと思います。(小松の投球について)あまり緊張せずに投げている印象です。高校時代からずっと投げているので場慣れしています。満塁の時でも緊張していないです。むしろ楽しんで投げていると思います。(来春に向けて意気込み)小松などと一緒に投球のスキルを上げていけるようにトレーニングしていきたいです。春は全勝できるように頑張りたいと思います」
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