◇2025近畿フィギュアスケート選手権大会2日目◇10月4日◇木下アカデミー京都アイスアリーナ
[シニア男子SP]
2位 片伊勢 67.17
3位 木科 65.06
8位 樋口 47.89
棄権 朝賀
[シニア女子SP]
12位 鈴木 42.13
13位 田邊 41.07
17位 木下 38.81
[ジュニア男子FS]
2位 織田 106.41
[ジュニア男子総合]
2位 織田 162.89
近畿選手権大会(近畿)2日目は、シニア男女のショートプログラム(SP)とジュニア男子のフリースケーティング(FS)が行われた。シニア男子は朝賀俊太朗(文2)が棄権となったため、3名が出場。片伊勢武アミン(法4)と木科雄登(M2)がまとまった演技を見せ、表彰台圏内につける。ジュニア男子では、織田信義(情1)がFSでも転倒なしの好演で2位に。ジュニアラストシーズンで自身初となる表彰台入りを果たした。
シニア男子SPから始まった2日目。1番滑走で登場したのは木科だ。『Give Me Love』のメロディーと共に滑り始め、トリプルアクセルをきれいに着氷。流れに乗ると、そのまま3回転ルッツの着氷も決める。ジャンプの基礎点が1.1倍になる演技後半には、3回転ループ+3回転トーループを降りた。切なげなメロディーに合わせて情感あふれるスケーティングを披露。2つのスピンでレベル4を獲得し、演技後には笑顔の花が咲いた。

同じく第1グループに登場した片伊勢。冒頭のトリプルアクセルを軽やかに降り、GOE(出来栄え点)1.33の加点を得る。3回転ルッツは転倒してしまったものの、3回転フリップ+3回転トーループをきれいに降りた。ステップシークエンスでは『月の光』に合わせて優雅で美しい滑りを披露。「心残りがある」と悔しさをにじませたが、SP2位であすのFSへとつなげた。

第2グループに出場したのは樋口温之(安全1)。冒頭の3回転トーループ+2回転トーループのコンビネーションジャンプを決める。しかし、続く3回転ルッツは回転不足に。それでも、徐々にテンポが速くなる『黒い瞳』と共に調子を上げる。ダブルアクセルの着氷を決め、足替えコンビネーションスピンではレベル4を獲得。長い手足を生かした情熱的なステップシークエンスで、見る者を引き込んだ。
女子SP第1グループには、田邊理緒(人1)が登場する。最初のジャンプは、3回転サルコー+2回転トーループのコンビネーション。3回転サルコーが回転不足となってしまった。しかし、その後はダブルアクセルやフライングシットスピンを次々に成功させ、加点を重ねる。続く3回転ループは回転不足となるも、最後の2つのスピンでは高い完成度を見せた。終始弾むような仕草で、『Sparkling Diamonds』の快活な雰囲気を表現した田邊。演技後、はじけるような笑顔でリンクを後にした。
第4グループに登場したのは鈴木なつ(人4)。3回転ループや3回転サルコー+2回転トーループの着氷を決める。フライングシットスピンではレベル4を獲得。『A Thousand Years』に合わせて流れるようなスケーティングを見せた。

鈴木と入れ替わりで登場した木下咲良(文4)。『With You』の美しい音色とともに滑り始めた。3回転トーループ+2回転トーループやダブルアクセルを降着氷させる。2回転サルコーは無得点になってしまったが、優美な滑りで周りを魅了。情感豊かに滑り、演技後には拍手が響いた。
この日の最後に行われたのはジュニア男子のFS。関大からは織田が最終グループに登場した。冒頭の3回転ルッツ+2回転トーループを成功させ、続く3連続のコンビネーションジャンプも着氷させる。勢いに乗ると、そのまま全てのジャンプを降り立った。2つのスピンではレベル4を獲得。大勢のジュニア男子の選手が見守る中、指先までしなやかに『火の鳥』を演じた。

FS、総合共に2位に輝いた織田。ジュニアラストシーズン初の表彰台入りを果たし、キス・アンド・クライではガッツポーズを見せた。近畿最終日のあすは、シニア男女のFSが行われる予定。それぞれが今の全力を出し切り、目標への軌跡を描く。【文/写真:中吉由奈、川元咲季】
▼木科
「(演技を振り返って)すごく調子が良くて、朝6時のすごく早い時間の練習だったんですけど、その段階からアクセルも跳べて、あまり不安はないような状態で臨めました。結構自信はあったんですけど、やっぱり本番独特の緊張感によって少しジャンプの踏み切りが固くなって、回転不足がついて点数が伸びてこなかったかなと思います。クリーンでまとめれば70点を超えるような構成とプログラムだと思っていますし、今日の点数自体には全然満足していないので、西日本に向けてもっと緻密に練習していく必要があるなと思います。(プログラムは昨年から継続した)昨年作った時点で、2年かけて完成させたいプログラムだったので、継続しようと最初から決めていました。(ラストシーズンの実感は)実際はあまりなくて、今日も試合会場に向かっている時に初めてあと3回しかこのプログラムを滑れないのかという実感がやっと湧いてきたという感じです。(ラストシーズンの目標)やっぱり今まで長い時間スケートをしてきて、本当にここまで続けさせてくれた家族だったり、サポートしてくださるスポンサーさんに、感謝の気持ちを伝えたいなと思っています。少しでも自分の感情とか気持ちが伝わるようなスケートをして、その先にはいい点数とかいい順位が待っていると思うので、最後の全日本で会場中を沸かせて引退したいなというのが僕の今の目標です。(FSのプログラムについて)フリーは今回『Fix You』というちょっと引退っぽい曲なんですけど、ずっとやってみたいなと思っていた曲です。この前の試合でも泣きそうなくらいのいいプログラムになっていると思います。(FSに向けて)最後の近畿選手権で、本当に関大に入ってからずっと大阪府の連盟の方にもお世話になってきて、近畿ブロックが最初は慣れなかったんですけど、自分も近畿ブロックに何年も出させてもらって、やっと近畿の雰囲気に馴染めてきたかなというところもあります。最後にしっかりいい演技をして、関大の方もそうですし、大阪の方や応援してくださる全ての方に感謝の気持ちを込めて滑って、いい演技を届けたいなと思っています」
▼片伊勢
「(重点的に練習してきたこと)結構全部のエレメンツの練習と、プログラム全体の完成度を高めるということを意識はしてきました。でも本番ではあまり練習でしないような失敗が出てしまって。リカバリーはできたんですけど、なかなか自分のリズムで思うようにできなかったところが多いので、そこはちょっと心残りかなと思います。(大学4年の節目のシーズン)区切りをつけたいと思うこともないですし、まだ続けようと決めてるわけでもないです。とりあえず1年の一番の目標が全日本なので、そこまでを一生懸命頑張って、頑張った先に何か見えてきたら継続してやるかもしれないという感じで。でも今はあまりその後先のことは考えずに、全日本まで頑張ろうという一心でやっています。(FSに向けて)今日は心残りが結構たくさんあったので、明日も朝早くからなんですけど、体調を整えて環境に慣れて、元気な状態でまた違った自分を見せられるように頑張りたいです」
▼樋口
「(演技を振り返って)正直もうめちゃくちゃ自分としては納得いかない演技をしてしまって、悪い意味で練習通りという感じで。あまり正直この2カ月間調子が上がってこなかったので、悪いところが全部出てしまったかなという感じです。(初の近畿ブロック出場)中四国九州ブロックは割とにぎやかな感じで。この静かな試合が久しぶりだったので、そういう意味では結構緊張したんですけど、でもシニアに上がってから割と楽しく演技ができているかなとは思います。(FSに向けて)やっぱりショートでミスしてしまったところが結構あったので、もうジャンプは絶対決めることと、スピンのレベルをしっかりと取っていきたいなと思います」
▼田邊
「(演技を振り返って)自分にできることが8割9割くらいはできたので、結構満足というか。頑張ってきて良かったなと思える演技だったなと思います。(初の近畿ブロック出場)やっぱり知らない選手とか話したことのない選手が多くて、ちょっと空気感が違うなって思いました。シニアでもまだ2年目なので年上の選手が多いんですけど、関大の先輩方が声をかけてくださったりして、割とすんなり馴染めたかなと思います。(FSに向けて)シーズンに入ってから構成を変えてみたりしたので、そこがうまくはまればいいなと思います。体の動きは悪くないので、技術とかよりも気持ちかなと思うので、前向きなままフリーもできるように頑張ります」
▼鈴木
「(重点的に練習してきたこと)ジャンプはもう1からという感じで今やっていて、今日はまだそれが完成していなくて、そのまま来てしまった感じでした。あとはスピンのレベルが札幌カップの時は全然取れなかったので、そことかエレメンツを重点的にやってきました。(演技を振り返って)回転不足は絶対にあるし、全体的にマイナスな部分はたくさんあったんですけど、なんとかまとめることはできたので。とりあえずちょっとは安心しました。(振付のこだわりや意識しているポイントは)ダブルアクセルの後にそのままスパイラルからスピンに入るつなぎがすごく気に入っていて、でもアクセルを降りないとできない振付なので、アクセルを跳べたご褒美みたいな感じでお気に入りです(笑)(ラストシーズンへの思い)ブロック大会って今まで何回出たか分からないくらい出てきたんですけど、ブロックが最後ってやばいなみたいな(笑)試合に来て、やっと今最後かみたいな感じです。(拠点を仙台に変えた経緯)きっかけとしては、家庭の事情で地元に帰ることになって、本当に一番最初にスケートを始めた時から習っていた浪岡先生に教えてもらっていて。高校くらいの時に拠点を変えてしまったんですけど、すごく信頼している先生なので、最後にその先生で終われたらいいなっていう思いもあり、全体的にいろいろ考えたんですけど、9月からそれでやっています。(FSに向けて)今日は結構守りに入ってしまった演技だったので、全体的にスピードもあまりないかなと思ったので、明日はしっかり1歩ずつ滑りたいです。勢いを出していきたいプログラムので、そこを意識して最後まで集中してやりたいと思います」
▼木下
「(重点的に練習してきたこと)まずサマーカップが終わってからチームを移籍して、そこから1カ月新しい環境でやってきたんですけど、本当に全然練習内容とかも違って。でも1カ月すごく充実した練習ができて、久しぶりに今が一番うまいかもと思いながら毎日練習してこれました。その中での今日の演技だったので、それは悔しい部分がすごく大きいです。(ラストシーズンへの思い)本当に終わるんやという感じが強くて。寂しい気持ちの方が大きいけど、とにかくやり切ったなと思って終わりたいので、明日に向けてもう1回気を引き締めて、今までの自分を超えるような演技を目指して頑張りたいなと思います。(FSに向けて)プログラムは自分の中でも過去1しっくりきているし、みんなにも似合っていると言ってもらえるプログラムで、すごく自信があります。ジャンプを失敗したらだめだけど、ジャンプを失敗してもプログラムや自分の良さを見ている人に伝わる演技にしたいです」
▼織田
「(演技を振り返って)最低目標は達成できて、すごく満足のいく試合にはなりました。ジャンプも2、3個は自分のやろうとしたものよりは1つランクが下がってしまったところがあったんですけど、もう絶対にジャンプでこけないという目標で今回の試合に臨んだので、それを達成できてすごくうれしいです。(FSの選曲について)これは信成(織田信成=11年度卒)が持ってきたものです。火の鳥はいろいろな選手がやってきた中で、自分らしさとか個性がある演技をするから、他の人と違った火の鳥の演技をもみんなに見せようということでこの曲にしました。(振付のこだわりは)やっぱり羽ばたくように腕をしならせて動かす動きがいろいろなところに散りばめられているので、そういったところの柔らかさとかに注意しました。(自身初の近畿ジュニア表彰台)めちゃくちゃうれしいです。これまでずっと下の方で、西日本真ん中らへんでみたいなことが多かったので、ジュニアラストシーズンで初めて今回表彰台に乗れて、本当にうれしいです。(次戦に向けて)もうこのまま今シーズンノーミスで頑張ります」
コメントを送信