◇ 第89回全日本フィギュアスケート選手権大会 ◇12月25日◇ ビックハット ◇
[女子ショートプログラム(SP)結果]
6位 宮原知子(文4)66.48
10位 白岩優奈(文1)63.96
29位 滝野莉子(人1)43.69
男子SPに引き続き行われた女子SP。1年生のルーキー2人と、今シーズン初試合の宮原が出場した。
第1グループの最後に登場した滝野。笑顔で滑り始めた。1つ1つのジャンプが大きな得点源となるSP。しかし、最初の3回転サルコー+3回転トーループのセカンドジャンプで体勢を崩し、2回転になってしまう。続けて跳んだ3回転ループでも途中で回転がほどけダウングレードの判定を受けた。それでも、軸がぶれないレイバックスピンや、表現豊かなステップシークエンスで華やかな演技を披露。演技後のインタビューでは「調子が悪いまま演技に出てしまった」と涙ぐんだ。



最終グループ1番目の滑走は白岩。「テーマは調和」という六角形がデザインされた衣装を身にまといスタート位置へ着いた。スピンから始まった演技は、流れよくジャンプの体勢へ。3回転ルッツ+3回転トーループを見事に決めると、その後のジャンプも次々と成功させていく。体を大きく使ったステップなど、最後まで力を出し切りノーミスの演技を達成。ガッツポーズの後、ほっとしたような表情を見せた。



「試合形式でやる練習をたくさんした」という宮原。出場予定の試合が軒並み中止となり、今大会がこのシーズン初試合となった。落ち着いた様子で滑り始め、最初のコンビネーションジャンプを着氷する。ダブルアクセルも完璧に決め、流れに乗ったように見えたが、3つ目のループジャンプで回転が抜けて2回転に。しかし、丁寧なステップや表現力、安定感抜群のスピンは健在。観客を引き付けた。SPの順位は6位だが、「初めて見せるフリーを自分も楽しめるように滑りたい」と前向きな姿勢を見せた。



今試合の結果により、宮原と白岩がフリー進出を決めた。女子フリーの競技は、2日後の27日に行われる。点数が拮抗している女子。フリーの演技にも目が離せない。【文:森本明日香/写真:アフロ/JSF】
▼滝野
「全日本に来るまで本当に調子が悪くて、今までスケートをしてきた中で一番と言っていいくらい何も出来ない状態でここに来てしまって、本当に不安のある中演技をしたんですけど、やっぱり調子が悪いまま演技に出てしまったなと思います。西日本で、全日本の切符を自分で勝ち取ることができて、本当にたくさんの観客の方々が見守ってくださっている中で演技をできたということは本当にうれしいことですし、感謝の気持ちでいっぱいです」
▼白岩
「最初から最後まで気持ち良く滑ることができたので、シンプルにうれしい気持ちとほっとした気持ちがありました。2年ぶりの全日本選手権で、先週くらいからずっと緊張していて、やっぱり全日本は特別な舞台ですし、いい思い出も悪い思い出もたくさんある試合なので、この試合に向けて自分の納得のいく演技がしたいと思って、高い壁があったり苦しいことも少しはあったけど、しっかりそれも乗り越えて、ここでこうやって演技をすることができたのですごくうれしい気持ちです。緊張した中でもしっかりとジャンプを降りることができたし、意識の中でも軸が安定している感覚があったので、取り組んできたことが試合で出せたのではないかなと思います。(フリーに向けて)SPの良かったところはしっかりフリーにそのまま持っていきたいと思っていますし、今回SPで悪かった点も改善してフリーに挑みたいと思います。(SPの課題は)スピンの部分で若干ふらつきがあったのかなと思うので、そこが点数の伸びなかった部分なのかなと思います。(フリーで見てほしいところ)この曲は元々映画の音楽なんですけどすごく重いテーマで、衣装もお腹から血が出ているようなデザインになっているけど、実際そういう風に作ったわけではなく、情熱を赤い色で表現したくてあのような衣装を作っていただいたので、しっかり力強さと情熱を最後まで演じ切れたらいいかなと思います。(SPの衣装について)この衣装のテーマは調和となっています。すごく技術と精神面での調和がしっかりできるようにと願いが込められています。この衣装は全て手縫いなのですごく凝っていて、六角形が調和をテーマにした形になっていて、髪飾りもしっかりそういうデザインにしてくださっています。去年までは練習できていること、ジャンプが跳べることも当たり前だったし、時間制限なく滑ることも当たり前で、とても恵まれた環境の中で練習させてもらっていたけど、今年はすごくイレギュラーな試合のスケジュールだったり、リンク閉鎖があって、スケートの滑る楽しさがわかったので今は練習できることが一番楽しいです」
▼宮原
「楽しく滑ろうということを目標に、今回はどうなっても全てを受け入れようと思ったので、悔しいけどスピンやステップ、最初のジャンプとかは練習通りには出来たのかなと思っているので結果を受け止めたいと思います。(公式練習はどのような気持ちで挑んだか)試合をイメージして6分間練習をして、少し時間をあけて曲かけ練習をするということをたくさんしてきて、それで経験してきた自分の気持ちをなるべく思い出しながら滑っていました。(良かった点)演技自体は全然満足できていないですけど、気持ちの面では去年のSPよりも思い切って滑ることができましたし、こういう状況で、本番で演技ができたことはすごく前向きに捉えられると思います。順位よりも、SP(のプログラム)はエキシビションで近いものはやっていたんですけど、フリーは完全に初めて本番でやるプログラムなので、初めて見せるフリーを自分も楽しめるように滑りたいです。『トスカ』というすごく大きなテーマのあるオペラの曲なので、壮大な世界観をしっかり滑り切れるようにしたいです。普段の練習では試合のシュミレーションのようにして、6分間練習とその日によって滑走順をランダムに決めて試合形式でやる練習をたくさんしました。日本に帰ってきてからは調子も悪くなかったので、あとは楽しんで、もちろんみんな緊張するし大きな大会でもあるので、緊張してもそれは普通だから落ち着いていつも通りやることに集中してと(リー・バーケルコーチに)言われて練習していました。(帰国後について)12月3日くらいに帰国して千葉県の船橋の新しいリンクで練習していたんですけど、どこかを変えるとかではなくて、プログラム全体を集中的に通す練習をしたり、少し不安な部分を分けて練習したりしていました」
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