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◇令和6年度関西学生野球春季リーグ戦第6節◇対関学大1回戦◇5月11日◇阪神甲子園球場◇

関 大  000 000 000 000=0
関学大  000 000 000 001x=1

(関)金丸、足立、荒谷、米沢ー越川、笠井
(学)飯田、溝口ー永谷

1(三)森内
2(二)佐藤
3(一)小谷
4(左)富山
5(遊)山田
6(中)河田
7(右)藤原太
8(捕)越川
9(投)金丸

首位・関学大と2位・関大。伝統の一戦は今後の優勝争いを占う大一番となった。その1回戦、両校投手陣が気迫の投球で相手に付け入る隙を与えない。手に汗握る1点勝負の激戦は延長12回までもつれた。0ー0で迎えた12回裏、1死二塁のピンチを招くと、最後は左前に運ばれサヨナラ負け。逆転優勝に向けて勝ち点奪取が絶対条件なだけに、崖っぷちに立たされた。

MG_0159-200x133 宿敵・関学大に延長12回の末、サヨナラ負け
△金丸夢斗(文4)

先制点がカギとなる中、先に塁上を賑わせたのは関大。2回、先頭の富山雄正(情4)が四球で出塁する。その後、併殺で2死となるものの、6番・河田流空(文2)がチーム初安打を放ち、簡単に流れは渡さない。得点とはならずとも、じわじわと相手投手にプレッシャーをかける。

一方、関大の先発マウンドには金丸。今季ここまでまだ1点も与えていない鉄腕は、この日も快投を見せる。1回を2つの三振を含む完璧な立ち上がりを見せると、3回には3つのアウト、全てを空振り三振で奪い、関学大打線に攻撃の糸口を見つけさせない。

中盤まで、両先発が互いに持ち味を発揮し、早いテンポで試合が進む中、関大にアクシデントが。5回の守備を迎える前、先発・金丸が体の違和感を訴え、緊急降板。エースの離脱にチーム内に緊張が走る。しかし、そんな重苦しい雰囲気を打破したのが後を受けた足立幸(人3)だ。先頭打者をフルカウントから見逃し三振に切って取ると、そこから勢いに乗る。140㌔を超える速球を武器に次々とアウトを重ね、5回の関学大の攻撃を封じた。「なにも考えずに、緊張もなくいつも通り投げられた」と足立。リーグ前、故障に泣いた3年生右腕がチームに再び活気を呼び込んだ。

MG_0278-200x133 宿敵・関学大に延長12回の末、サヨナラ負け
△足立

なんとか先制点を奪い、投手陣を助けたい打線。6回まで走者こそ出すものの、なかなかあと一本が出ない展開が続く。7回には2死から安打、四球を絡め、満塁の好機。ここで好救援の足立に代え、下井田悠人(経3)を送る。球場のボルテージが一層高まる中、ここでも相手投手に粘られ三者残塁。決定機を逃してしまう。

7回からは3番手・荒谷絋匡(法3)がマウンドへ。ここまで幾度となく関大を支えてきた中継ぎエースがこの日も躍動する。毎イニング出塁こそ許すものの、連打は許さない。「ここまで金丸さん頼りになっていたところはあった。今まで投げてもらった分、僕らが抑えないといけない思いはあった」と荒谷。粘りの投球で9回まで0を刻んだ。

MG_0523-200x133 宿敵・関学大に延長12回の末、サヨナラ負け
△荒谷

決死の継投策で守る投手に対して、攻撃では8回に鹿熊大誠(情3)が安打で、9回には山田悠平(商3)が失策で出塁する。しかし得点圏まで思うように進められず、両者無得点のまま試合は延長戦へと突入した。

10回表、関大が再び好機を作る。先頭の越川海翔(人4)が出塁すると、代走に大塚誠人(情3)を送った。犠打などで2死二塁と形を作り、迎えるは同大戦、勝利の立役者、佐藤慶志朗(経4)。捉えた打球は無情にも三塁手の正面へ飛び、本塁を踏むことができない。

試合時間は3時間を超えてもなお、両校大応援が声援を送る中、勝負は12回の攻防へ。先攻の関大は6番・河田がこの日2本目の安打で出塁すると、犠打、進塁打で2死三塁と3度目の先制の好機。荒谷の打席を迎えたところで代打・岸上夏樹斗(法4)を送る。部員127人と関大スタンドにいる全員の思いを背負い打席に立った岸上。5球目をたたいた打球はここでも野手の正面を突き、攻守交代。この時点で関大の勝利はなくなった。

MG_0074-200x133 宿敵・関学大に延長12回の末、サヨナラ負け
△河田

引き分けに持ち込むべく、4番手としてマウンドには米沢友翔(人2)を送る。なんとか0点に抑えたいところだったが、1死二塁のピンチを迎えると、続く打者が捉えた打球は無情にも左中間へ。二塁走者が生還し、サヨナラ負けを喫した。

1回戦を落とし、いよいよあとがなくなった関大。勝ち点2で4校が並ぶ混戦なだけに、もう取りこぼしは許されない。追い込まれた重圧の中での戦いで、真価が問われる。しかしそう悲観することはない。試合に出場する選手、ベンチで己の役割を全うする選手。それをサポートする選手、マネージャー、そして大応援団が一つとなって、これまでの幾多もの壁を乗り越えてきた。まだ日本一への最初の挑戦を終わらせるわけにはいかない。一人一人のつなぐ姿勢で勝機を呼び込み、必ず3回戦につないでみせる。【文:稲垣寛太/写真:島田采奈】

MG_0705-200x133 宿敵・関学大に延長12回の末、サヨナラ負け
△岸上(左)と小田洋一監督

▼藤原主将

「攻撃自体は悪くなくて、見えないミスというか、そこからあと一本までの流れを掴めきれなかったです。相手も好機はあったんですけど、関大が粘って均衡しているところで、最後に相手が一本出たので、どちらが先に一本出すかというところで、そこの差が全てだったかなと思います。(試合を通して感じたこと)投手陣が本当に頑張ってくれて、ただミーティングでもあったんですけど、走者二塁で一塁が空いている中で、投げる球の選択というのは2年生バッテリーの中で一つ勉強だと思います。関大は開幕からこういう試合を繰り返して、1試合1試合成長してきているので、米沢もすぐ切り替えて、長いリーグ戦次も絶対投げる機会あると思うので、また1試合1球投げるたびに成長してほしいですし、頑張ってほしいと思います。(あすに向けて)負けられない試合というのに変わりはないです。チームも確実に成長はしていると思うので、しっかり切り替えて明日の試合にどう勝つかというところを考えてやっていきたいと思います」

▼金丸

「この前の同大3回戦が終わってからすぐ、関関戦1戦目、自分から行くと。小田さんもそんな感じだったので、予定通りの先発でした。(1年ぶりの甲子園のマウンド。どんな思いでマウンドへ上がったか)一昨年、昨年と甲子園でいい投球ができていなかったので、今年こそ0で抑えて勝とうという思いでマウンドに上がりました。(甲子園のマウンドについて)本当にいい球場で、たくさんの人に見てもらってしっかり投げられました。サムライジャパンの時にああいう大舞台で投げるという経験ができたので、そこまで緊張することなく投げることができました。(積極的に仕掛ける相手打線にゾーン勝負)真っすぐの調子も良かったので、アバウトに押して押してっていう感じで、変化球も使いながらいい投球ができました。(降板後、3年生の荒谷、足立が粘りを見せた)思ったより早く継投してしまったんですけど、いい投手が後ろにもたくさんいるので、安心して見れたというか、頑張ってくれました。(悔しい思いをした米沢には自ら声をかけに行った)まだ2年生というところもあって、ああいったロースコアの場面で当番というのは彼自身も本当に緊張したと思うので、そこは自分が4回で降りたというのが責任だと思っているので、米沢には「切り替えて、お前は悪くない」。というのは伝えました。(あす以降に向けて)勝ち点取れば優勝の望みは続くので、勝ち点しっかり取って2連勝して最終節につなぎたいと思います」

▼足立
「アクシデントがあっての登板だったんですけど、なにも考えずに緊張もあまりしていなかったですし、ふわふわするというか甲子園に圧倒されるような感じはなかったです。平常運転で投げることができました。先頭打者を三振で打ち取れて安心できました。(チームを救う投球を見せ、いいアピールになった)今季いっぱいはリリーフ起用になると思うので、今回のように与えられた役割をしっかり0でまとめられるように頑張りたいです。(絶対的エース・金丸の思いを受けてのマウンド)試合が緊迫した状況で、安打もお互いあまり出ていない中で自分が3人で打ち取ることで、打者にいい流れを持っていけると思っていたので、そこだけ意識して投げました。(あすに向けて)今季はこれからも2イニング、3イニングと短いイニングになると思うんですけど、しっかり0で抑えて打者陣にいい流れを持ってこれるように頑張ります」

▼荒谷
「金丸さんが代わった時点で残ってる自分たちがやらないといけないことも分かっていましたし、今まで金丸さん頼みになっていたので、マウンドに上がったら今まで投げてくださった分、僕らが0に抑えて楽にしたいという思いで投げました。(甲子園ということもあり、今まで以上に気持ちも入っていた)1点もやれない状況だったので、1人1人抑えるという気持ちで行って、結果的にランナーも出したんですけど無失点で抑えられたのでそれは良かったかなと思います。(緊迫した展開で好投を続けられる要因は)リーグ戦始まる前から自分で中継ぎをすると言っているので、その分プレッシャーだったり緊張感もありますけど、マウンド行くからには自分のルーティンではないですけど、気持ちの余裕を作るようにはしているので、落ち着いて投げられているかなと思います。(9回終了後には小田監督と話し込む場面も)お前しかいないと言ってくださったので、延長入っても僕がいけるところまでいこうと思っていたので、11回まででしたけど、そこまで無失点で投げられて良かったです。(試合後には悔しい思いをした後輩、米沢に声をかける場面もあった)1点取られたら終わりという場面で僕も足立も1つ下の米沢に託してしまった。本来なら僕とか足立がいかないといけない場面なんですけど、任せてしまってそこに申し訳ない気持ちもあります。結果打たれてしまいましたけど、切り替えろと言いました。(あすに向けて)ここから2連勝して関学大から勝ち点取れるようにやっていきます」

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