◇第68回全日本学生選手権大会◇11月26日◇於・大阪府立体育会館
【男子】
準優勝
【女子】
第4位
【技能賞】
後藤琉碧(るきあ=文1)
夏の選抜大会で男子が優勝し、春秋連覇を目標に試合に臨んだ関大。決勝戦で明大に無念の敗北を喫し、準優勝となった。一方の女子は、準決勝で今夏勝利をあげていた関学大に敗北。3位決定戦に回るも、京産大に黒星、第4位となった。個人では、1年生ながら男子団体決勝で唯一関大に勝利をもたらした後藤が技能賞に選ばれた。
男子は初戦で立正大が棄権したため、不戦勝。2回戦からのスタートとなった。相手は近大、先鋒・寄川虎太郎(法2)は序盤から、前拳で相手を牽制。開始30秒で一本を取ると、2本目では得意の胴突きで二本先取。関大に勢いをもたらす。中堅で登場した瀧澤諒(商4)は開始直後に鋭い胴突き蹴りで1本を取ったものの、組みを得意とする相手に惜敗した。関大勝利の要、副将・長谷川元望(もとみ=法3)の初戦は不調であった。蹴り技を中心に試合を展開するも、確実な一本が取れず引き分けに。続く籠谷郁吹(経4)も勝利はしたものの、自ら攻める普段通りの動きができなかった。近大戦は5ー1で勝利し、次戦に駒を進めた。
準々決勝では立命大と対峙。先鋒・籠谷は、1本目から撃ち合いが続き、難戦が予想されたが、残り30秒で自身の決め技である面突きがヒットし、勝利する。次鋒・内畑谷は大きな体格を生かし相手を場外へ押し出すなど相手を圧倒。最後は、足払いで相手を倒し、抑え込み胴突きで二本先取し、関大がリードする展開が続く。三峰では、怪我で苦しんでいた八木大輝(法3)が1年ぶりに公式戦復帰。圧倒的な速さの突きで相手を翻弄(ほんろう)する。開始20秒で二本先取し、早くも関大が準決勝進出に王手をかける。続く中堅・坂本一蔵(商4)は組み試合となった。序盤に、抑え込み面突きで一本を奪われるも、二本目では意地を見せ組み技で相手に対抗。抑え込み胴突きで試合を振り出しに戻す。しかし、相手が坂本の不意をつく胴突き蹴りで二本先取され、黒星となった。引き分け以上で勝利が確定する三将では後藤が立命大・穴生と熾烈(しれつ)な撃ち合いを繰り広げる。相手の攻撃の隙を狙う、後の先で面突き一本を先取するも、一本を取り返される。至近距離での攻防が続き、苦しい戦いとなったが引き分けに持ち込み関大の勝利が確定した。その後、登場した副将・長谷川は一本目、相手の投げ技を逆手に取り、あっさりと勝利。二本目でも相手に猛攻を仕掛け、抑え込み胴突きで二本先取。次戦に向け帳尻を合わせる戦いを見せた。準決勝に向け5勝はしておきたい中、大将で登場したのは主将・川内宝(商4)。今夏も怪我で苦しんだ川内、自身の引退試合ということもあり気合は十二分だ。川内らしい、パワーと勢いのある拳法で相手を圧倒(あっとう)し、勝利。応援する仲間たちからは「ナイス!」と歓喜の声が溢れた。
準決勝で相対したのは関学大だ。「生半可な気持ちで戦うと負ける相手です」と内畑谷。チームにも決勝戦に徐々に近づいているという緊張感が漂う。先鋒・籠谷は後ろに引き下がらないタイプの選手と対戦。場外線際に何度も追いやられたものの、少年時代から磨き上げた面突きを駆使し勝利。接戦に勝利した籠谷からは満面の笑みが溢れていた。次鋒・内畑谷は積極的に組み技を仕掛け、順調に試合を進めた。しかし、肩を痛めてしまうハプニング。本領を発揮できなかったものの、なんとか引き分けに持ち込み次に繋げた。続く寄川、後藤らルーキーたちが勝利を積み重ね、3勝1敗で迎えた副将・長谷川。相手は長谷川と同じく組み技を得意とする関学大・松田だ。序盤に長谷川が面突きで一本を奪いリードする展開に。ラスト1秒で投げ技を受け、一本を取られたものの、勝ちを与えず。関大の決勝行きが決定した。勝利が確定し、落ち着いた表情で登場した大将・川内のパフォーマンスは絶好調。開始直後に抑え込み胴突きと面突きであっという間に二本先取。最終的に5勝1敗で勝利し、いよいよ決勝戦へ。「勝っても負けても3分だけです。勝ってきます」と籠谷。覚悟を決め、決勝の舞台に臨む。
決勝戦の相手は永遠のライバル明大。先鋒には八木が登場。勢いを作りたかったが二本負けを喫し、試合の流れは明大に。次鋒・内畑谷は肩の怪我が響き、なんとか引き分けに持ち込んだ。その後も、明大に勝ちを許し、後がなくなった関大。登場したのは、選抜大会でも関大の危機を救った三将・後藤。場外戦のきわに追いやられ、窮地に立たされるも相手の懐に入る胴突きで一本を先取。二本目では相手のバランスを崩し、抑え込み胴膝蹴りで二本先取。後に待つ副将・長谷川に望みを託した。しかし、長谷川は明大・森川の組み技に苦戦し惜敗。関大は準優勝となった。黒星が確定した中、大将・川内は学生拳法生活最後の試合に臨んだ。相手は長年のライバル明大・野村だ。果敢に攻めの姿勢を貫いたが、相手に胴突蹴りで一本を取られる。着々と試合時間が経過する中、川内の膝の怪我が再発する。試合は中断、周囲が心配の眼差しで見守る中、川内は「いけます。」と痛みを我慢し、試合を続行。最後の試合を全力で戦い抜いた。結果は勝利とならなかったものの、関大の主将として、大将として自らの手で学生拳法生活に終止符を打った。
女子団体では、岩木美朱(法1)、丸谷友美(経3)、土井萌々果(化3)の3名で出場。選抜大会に続く、表彰台入りを目指した。
初戦は、慶應大。先鋒・土井は開始直後に得意の面蹴りで一本を獲得。しかし、相手はバリエーション豊かな先鋒で土井を翻弄(ほんろう)する。組み技に持ち込まれ、先鋒戦は引き分けに。中堅は勝利の要、岩木だ。いつも通り、軽快な動きで二本を先取。勝利の行方は丸谷に委ねられた。しかし、相手の猛攻を受け、丸谷は一本を取れず敗北。1勝1敗で引き分けとなり、代表戦に岩木が出場。相手を場外戦に追い込むと、胴横蹴りで一本を獲得する。勢いそのままに組み技で相手を倒し、2回戦に進出。
2回戦は早大と対戦。先鋒で丸谷が黒星となったものの、中堅・土井が得意の胴蹴りで二本先取し、窮地(きゅうち)を救う。大将・岩木は終始相手とのにらみあいが続き、引きわけとなりそのまま代表戦にもつれ込んだ。相手との距離感をはかる中で、相手の戦い方を理解した岩木は攻撃の隙を狙い、面突きで一本を獲得。終盤には胴横蹴りで勝利し、関大は準決勝に進出する。
準決勝の相手は、格上関学大だ。先鋒・土井は攻めの姿勢で蹴りを繰り出すも相手はもろともせず。二本を先取されてしまう。中堅・岩木が序盤に一本を取り、丸谷に望みを託したものの、相手との実力差を埋めることができず敗北。選手たちからは悔し涙が。岩木は「次勝ちましょう!」とチームを鼓舞し、3位決定戦に臨む。
3位決定戦は京産大と相対した。岩木が一勝を勝ち取ったものの、やはり昨年3位の強豪相手に苦戦を強いられ、結果は4位。表彰台は来年に持ち越しとなった。
男女ともに無念の敗北を喫した関大。男子は川内主将ら4年生が引退し、長谷川新主将を中心とした新世代が更なる高みに向けて、部をけん引する。女子は丸谷主将が引き続き全国優勝を目標に掲げ、メンバーと共に練習を積み重ねる。来年度の拳法部に注目だ。【文:丸山由雅/写真:西村果凜】
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