12月、寒さをまとった東京の地で年内最後の取材を終えた。「奈央ちゃんのおかげで1年間頑張れた、ありがとう」。お世話になった担当部の主将からのありがたい言葉を思い出しながら、今年1年をぼんやりと振り返った。昨年と比べて取材数が格段に増え、西へ東へと色々な場所に訪れた2025年。その中でも特に印象に残った2試合について書こうと思う。
9月後半に行われた、柔道の全日本学生体重別選手権大会。柔道部の担当班長でもないし、関大から出る選手が多いわけでもない。正直その取材に行く必要がなかった私が赴いた理由は2つ。試合が日本武道館で行われることと、そこでの選手の勇姿を見届けたいと思ったことだ。小学校で剣道をやっていた私にとって、日本武道館は手の届かない憧れの舞台だった。小学6年の時の県予選では、あと1つ勝ち進めば全国大会に出場というところで負けたのを覚えている。競技が違っても、日本武道館に行ける機会ができたと心を踊らせた。そして、柔道に詳しくない私でも分かるくらい、見事な背負い投げを予選で見て衝撃を受けた。関大、そして関西の名を背負って出陣する選手の姿を見たいと思わないわけがなかった。

同じく剣道をやっていた兄の全国大会を見に来た以来にやってきた武道館。何年経っても変わらない荘厳さが、試合に出るわけでもない私を圧倒した。手に汗握る試合の結果は、全選手1回戦で敗退。全国の強敵が集う大会で勝つことの難しさを改めて実感した。『負けに不思議の負けなし』。ある選手が試合後に自身のSNSでそう記していた。勝ちは運や偶然に左右されることがあるが、負けには必ず原因があり、偶然に負けることはないという言葉だ。私にとっては立つだけで価値がある舞台なのに、言い訳もなく負けを真摯に受け止める姿に感銘を受けた。そして、そんな選手の思いに触れることができて、この試合の取材に来て本当によかったとも思えた試合だった。
12月中旬、バレーボール部女子の取材のため訪れた皇后杯ファイナルラウンド。各地域の予選を突破した高校生からプロまでが集う皇后杯の開催地は東京体育館。春の高校バレー(通称:春高。高校生バレーボーラーにとって最後の高校全国大会)が行われる場所だ。春高経験者が多い関大の選手たちにとっては、高校時代目指し続けた懐かしの会場での大会。毎年惜しくも予選で負け、今年こそはと5年ぶりに出場権をつかみ取った。本来はインカレが引退試合となるが、予選を勝ち抜き出場を決めた大学は、インカレの1週間後の皇后杯で引退となる。「春高ぶりの東京体育館!引退までの期間が伸びて、このチームで少しでも長くバレーができるのがうれしい」と喜ぶ主将の笑顔が印象的だった。
選手だけでなく、私も並々ならぬ思いを抱えていた。今年のほとんど全ての試合を追いかけ、勝ちも負けも一番近くで見てきたチームの引退。終わってほしくないと思うと同時に、最後の姿を写真に記事に、余すことなく記録しようと決意し会場に向かう。報道エリアへの扉を開けると、そこに広がっていたのは、横断幕が掲げられライトがキラキラと輝く東京体育館。こんな場所で引退試合の取材ができるんだと開始前から泣いてしまいそうだった。

格上のVリーグチームに1セットを奪うが、惜しくも敗れた皇后杯。それでも、このチームでやるバレーが本当に楽しいと全力で表現する姿が素敵だった。もうこのチームを取材することはないんだと寂しくなったが、最後を見届けることができた幸せな気持ちで、今年最後の取材を終えることができた。


2026年はいよいよカンスポラストイヤー。来年は今班長を務めている競技に加え、剣道部を担当することになった。小学校剣道で止まっていた私が、8年の時を経て大学剣道に関われるんだと楽しみな気持ちでいっぱいだ。来年はどんな舞台で、どんな景色が見られるだろうか。KAISERSが織り成すたくさんのすてきな瞬間が、私を待っていることだろう。【松嶋奈央】
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