「後悔のない時間を過ごせた。やりきった」。中学・高校と6年間やった吹奏楽。どちらも引退を迎えた3年生の時に、このような清々しい思いで引退することができなかった。周りの友達は、「やりきった。後悔はない」。ほとんどがそう話していたため、若干の居心地の悪さを感じていた。
中学2年時、練習のし過ぎで顎関節症を発症。痛みに悩まされ、思うように練習ができなくなった。「あの時休んでおけば…」。何度考えたのか分からない。中学3年の時にはコロナ禍に入り、最後のコンクールがなくなった。引退は10月であったため、練習は続く。だが、目標を奪われ、何を目標に練習に取り組めば良いのか分からない。病気で、周りよりもはるかに練習できる時間が少ない。もやもやとした気持ちを抱えたまま、引退までの日々を過ごした。そして迎えた引退の日、私の胸の中には『後悔』。この言葉しかなかった。
高校生になり、「もう吹奏楽はしない」。そう思っていたのに、中学3年に不完全燃焼で終わった夏を取り戻したい気持ちが強くなり、またしても吹奏楽部に入部した。楽しく充実した日々を送っていた矢先、顎関節症が再発。高校2年の秋だった。騙し騙し練習を続けるも、高校3年の春には症状が進行。「この状態が続くなら、最悪の場合手術をすることになる。吹奏楽は、もう辞めた方がいい」。医者にこのようなことを言われた。だが、諦めが悪い私は「この夏まではやりたい。夏が終わったら辞めるから、それまで持たせることはできないか」。必死で話した。その甲斐あってか、絶対に無理はしないという条件付きで練習に参加する事に。こうして夏のコンクールに出る事はできたものの、その代わり(と言っては言い過ぎかもしれないが)、長時間楽器を吹くことができない体になってしまった。私の心の中には「春で終わりにしていたら、大学でも吹奏楽を続けられたのかな」。こんな思いでいっぱいだった。そうして中学3年の時と同じく、『後悔』したまま引退を迎えた。
そして、関大に入学。「もう、部活動はいいかな」。こう思い、サークルのブースで話を聞くも、いまいちピンとくるものがない。そんな中、何気なく立ち寄った関大スポーツ編集局(カンスポ)のブース。ここで話を聞いたことが、私の大学生活を大きく変えた。説明会、体験取材と参加し、「面白そう」。気がついたら、「部活動はいい」なんて思っていたことも忘れて入部していた。
そこから、あっという間に1年が過ぎた。知らなかった多くの競技を知り、知っていた競技でも、大学スポーツならではの魅力を発見。カンスポに入らなかったら出会わなかったであろう人たちとの出会いも経験した。今は『後悔』なんて1つもない。
カンスポの活動期間は、他の部活動とは違って4年ではなく3年。奇しくも中学・高校と同じ期間だ。だからこそ、「後悔のない時間を過ごせた。やりきった」。2年後、笑顔でそう言えるように。全力でKAISERSに、カンスポに向き合っていきたい。【市場薫】
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