◇2024年度関西学生女子春季リーグ入れ替え戦◇対びわこ大◇7月27日◇於・大阪体育大学
【前半】関大1-0びわこ大
【後半】関大0-1びわこ大
【延長前半】関大0-0びわこ大
【延長後半】関大0-0びわこ大
【PK戦】関大3-4びわこ大
【試合終了】関大1(3-4)1びわこ大
スターティングメンバー
GK 勢古
DF 山田志、徳弘、岩川、瀧沢
MF 前田柊、冨田、𠮷尾、藤田、福田
FW 木田
1部昇格をかけた、びわこ大との入れ替え戦。前半に先制するが、後半に失点を喫し、試合は振り出しに戻る。延長でも決着はつかず、勝敗は運命のPK戦へ。拮抗(きっこう)するもあと一歩及ばず、悔しい敗北。2部残留という結果になった。
17時にもかかわらず、真昼のような日差しが照りつけている。1部昇格をかけた運命の一戦は、関大ボールのキックオフで幕を開けた。開始早々、コーナーキック(CK)を献上。一度は難を逃れるも、セカンドボールを回収できない。今試合初のシュートを打たせてしまうが、枠上に外れた。
その後は相手のプレッシャーに押され、自陣ゴール前でのパス回しを余儀なくされる。ボールを保持するものの、前線へとつなげることができない。攻撃のタイミングを見計らっていた前半15分、DF瀧沢美冬(人3)のロングパスがMF前田柊(政策1)へ渡る。中で待っていたのはMF冨田歩花(政策4)。ラストパスが通りペナルティエリアまで持ち込むも、シュートまでつなげることはできなかった。その後は、徐々に試合の流れをつかみ始める。MF前田柊が右サイドを駆け上がり、相手DFを交わしチャンスを演出。クロスを供給するが、前へ出てきた相手GKにキャッチされてしまった。
クーリングブレイクを挟み、DF徳弘海羽(人3)のゴールキックから試合が再開。そして、転機は訪れた。FW木田陽花(経1)が右サイドを突破し1対1に。これを冷静に決め、待望の先制点をもたらした。駆けつけた応援からも、大歓声が沸く。関大なでしこの今季得点女王が、大舞台でまたしてもその底力を見せた。
1点をリードし勢いに乗る。追加点を狙い、何度も相手ゴールへと接近。カウンターの場面でも、MF藤田祐穂(法1)のプレスバック、DF岩川雛(政策1)の献身的な守備で、すぐさまマイボールに。そして着々と時間が経過し、前半が終了。先制後から、ボールポゼッション率は相手を大きく上回る。攻撃と守備が光る好内容で、試合を折り返した。
メンバー交代なしで迎えた後半。守りには入らず、まだまだ積極的な攻めを見せる関大なでしこ。開始直後には、MF𠮷尾香音主将(社4)がセンターライン付近から豪快(ごうかい)に右足を振り切る。スーパーロングシュートは緩やかな放物線を描き、相手ゴールの方角へ。入るかと思われたが、惜しくもポストに直撃した。チームを支える主将が、先陣を切って相手にプレッシャーを与えていく。
同10分には、MF福田紗良(経1)に代えてFW山口紗弥(人3)を、同18分には、FW木田に代えてMF花田凛音(人1)を投入。クーリングブレイクを終え、試合はいよいよ終盤へ。後がない相手は、積極的にボールを奪いにくる。同32分には、真ん中の良い位置でフリーキック(FK)を献上。一度はGK勢古亜実(人3)が弾くも、こぼれ球からシュートを打たれる。ここはポストに救われた。しかし、最大のピンチをしのいだかと思われた直後の同35分。今度は少し離れた位置でFKを献上。高く上がったクロスにタイミング良く合わせられ、関大のゴールネットが揺れる。「後半に失点してしまうことが多い、自分たちの弱い部分が出た」(MF𠮷尾)。白星が目の前に迫っていた試合は、無情にも振り出しに戻った。
残り時間はあと10分。終盤は、相手の猛攻に耐える時間帯に。終了間際には、失点時同様の場所でFKを与える。応援が固唾を飲んで見守る中、MF𠮷尾がしっかりとクリアした。そしてまもなく後半終了のホイッスルが。勝敗をつけるため、延長戦へと突入する。
日はいよいよ傾き、サッカー場の照明が点灯した。相手ボールのキックオフで開始した延長前半は、終始相手を圧倒する。しかし決定機を生み出すことはできず、時間が経過。あっという間に延長前半が終わってしまった。この勢いのまま決勝ゴールを奪いたいところだったが、後半は打って変わって相手のペースに。長丁場の戦いゆえに、両者の足が次第に止まってくる。しかし最後まで集中力を切らさず守備を徹底。いよいよ延長後半も終了し、勝敗は最後のPK戦へ委ねられた。
独特な緊張感が、フィールドに漂う。先攻の関大、トップバッターを務めたのは、DF徳弘だ。開始の合図から少し間を置いてから、落ち着いてシュートを決める。副主将が正念場で本領を発揮し、幸先の良いスタートを切った。直後の相手の攻撃。GK勢古がシュートの方向を読むものの惜しくも届かず、止め切ることはできなかった。2本目のキッカーはMF𠮷尾。冷静に決めきるが直後に返され、スコアは2ー2となる。緊張が高まる場面で、3本目を務めたのはMF藤田。いい流れに乗りたかったが、動きを読まれ相手GKに止められてしまう。落胆するMF藤田に、声を掛けるメンバーたち。続く4本目のDF瀧沢がきっちり決め、望みをつないだ。3−4となり、最終回りの5本目に突入した。キッカーはFW山口紗。のしかかるプレッシャーから守るように、応援からエールが飛ぶ。しかし、1部の壁は厚かった。FW山口紗が右側に放ったシュートは、相手GKに弾かれる。この瞬間、敗北とともに2部残留が決まった。あふれ出る悔し涙に、放心とする選手たちの表情。1部昇格を目前に、あと一歩、手が届かなかった。
2季連続入れ替え戦での敗北を喫し、2部残留という結果に。しかし、フィールドを懸命に駆ける選手の姿は、見る者に勇気と感動を与えた。秋季リーグでは、さらに強くなった姿を。日本一の関大なでしこの勇姿を見せる。【文:合田七虹/写真:上田峻輔】
▼MF𠮷尾主将
「(2部残留という結果を受けての気持ち)本当にあと一歩のところまで来ていたからこそ悔しすぎる結果だし、勝ってこのチームで1部に行きたかった。インカレを目指して入部から今までやってきてその土俵にさえ立てないのかと悔しい気持ちでいっぱい。(試合を振り返って)先制点を取ったものの追加点が中々取れず、押し込まれる苦しい展開が続いてしまい、その中で相手の得意であるプレーで失点を許してしまった。ここ最近の練習試合でも、前半が良くても後半に失点してしまうことが多かった。自分たちの弱い部分が出たし、サッカーの難しさを感じる試合だった。(チームとしての収穫と課題)90分と延長戦そしてPK戦までと、一番長く戦い、試合を通しての戦い方であったり、大一番に勝つことの難しさや、今まで経験できない貴重な試合だったと思う。後半に隙が出て失点してしまったことや、チャンスを物にできない決定力の部分や、最後まで走り切る、自分の力を出し切るという部分が相手の方が勝っていたし私たちには足りてない部分だと実感した。(夏に強化していきたい部分)試合終盤でも質の高いプレーをするための体力や筋力の部分、しっかりチャンスを物にするための決定力。そして自分たちの得意とする複数人で関わりつないで崩して行くサッカーに必要不可欠な技術の部分などを強化していきたい。(秋季リーグの意気込み)もう2部で戦うことは決まったので、4年生の私にできることはラストシーズン優勝して終わり、後輩たちに1部でバトンをつなぐことだと思っている。このメンバーで戦える最後のリーグ戦、楽しむことを忘れずに、圧倒できるよう、チームとしても個人としても、もっとレベルアップしたい」
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