◇ 第53回明治神宮大会関西地区第2代表決定戦 ◇天理大◇11月2日◇南港中央野球場◇
天理大000 000 000=0
関 大000 000 001x=1x
(天)藤居-小林
(関)鷲尾昂-越川
1(中)中井颯
2(右)三杉
3(左)岑
4(一)上神
5(遊)髙田幸
6(三)下井田
7(捕)越川
8(二)佐藤
9(投)鷲尾昂
第1代表決定戦ではサヨナラ負けを喫し、第2代表決定戦にまわった関大。勝てば3年ぶりの神宮、負ければ4年生の引退という大一番は緊迫の投手戦となった。先発・鷲尾昂哉(経4)は7回まで相手打線を無安打に抑える気迫の投球を披露。均衡がやぶれたのは9回、先頭の三杉彪真(人3)の出塁をきっかけにチャンスを作ると、1死一、二塁から髙田幸汰(商3)が中堅手の頭上を越える打球を放ち、劇的なサヨナラ勝利。3年ぶりに神宮への切符をつかんだ。


大事な試合の先発を任されたのは鷲尾昂。初回いきなり先頭打者にストレートの四球を与え、得点圏に走者を背負うが、後続をしっかりと抑え無失点で切り抜ける。その裏、先制点をあげたい関大は1番・中井颯良(政策3)が安打で出塁。続く三杉の内野ゴロの間に二塁まで進みチャンスを迎えるが、相手投手の前に二者連続三振。先制点とはならない。



2回以降、鷲尾昂は安定感抜群の投球を見せる。2、3回とそれぞれ2つの三振を奪い相手打線を寄せつけない。6回までに8つの三振を奪う好投で打線の援護を待つ。その打線は5回、下井田悠人(経1)が強烈な打球を放ちチャンスメーク。しかし後続が犠打、エンドランを決めきることができず、ホームベースを踏むことができない。7回まで毎回走者を出すが併殺を3つ完成させられるなど、簡単に進塁を許してもらえなかった。


すると7回表、鷲尾昂は1死から4番打者にこの試合初めての安打を許してしまう。それでも後の2人を三振に斬り相手にチャンスを作らせない。8回も互いに三者凡退で攻撃を終え、緊迫した雰囲気のまま最終回を迎える。


9回、先に点を入れられるわけにはいかない鷲尾昂は先頭打者を4球で仕留めると、続く打者も投ゴロに抑えリズム良く2死を奪う。しかし次の打者に右安打を許すと、盗塁も決められ得点圏に走者を背負う。この試合最大のピンチに迎える打者は前の打席で安打を放たれている4番打者。2球で追い込み、ボール、ファールを挟んで5球目。右翼線へと飛んだ打球は右翼手・三杉のグラブに収まり、ピンチを逃れた。


9回裏の攻撃前、スタンドからは「頼むぞお前たち」という声が飛ぶ。託された想いを胸に打席に入ったのは2番・三杉。2ストライクで迎えた3球目、三振かと思われたが振り逃げという形で出塁しチームに勢いをもたらす。代走には森田聖士(社3)を迷いなく起用。続く岑幸之祐(社3)がきっちりと犠打を決め流れを作る。上神雄三主将(法4)が四球でつなぐと打席には5番・髙田幸。2ストライクからの3球目。捉えた打球は中堅手の頭上を越え、二塁走者・森田が生還。サヨナラ勝利となり神宮への切符を手にした。




3年前に神宮大会出場を果たしたのは現4年生が1年生の時。接戦を制し決勝まで勝ち上がったものの準優勝という結果に終わり、あと一歩のところで涙を呑んだ。昨年はリーグを圧倒的な力で優勝しながらも、代表決定戦でまさかの敗退。悔し涙を流した。それから1年、数々の激闘を繰り広げ、成長を続けてきた上神主将率いる関大野球部が再び神宮の土を踏む。3年前、あと一歩のところで成し遂げることができなかった全国制覇。今年こそ頂点からの景色を見るために。さらなる成長を遂げ、日本一への階段を駆け上がる。【文:稲垣寛太/写真:上田紫央里、石井咲羽、稲垣寛太】


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