◇令和2年度関西学生秋季リーグ戦第2節◇対京大1回戦◇9月12日◇皇子山球場◇
関大 020 000 050=7
京大 031 000 000=4
(関)高野、香川、宮崎―久保田拓
(京)原、徳田、岩本―長野
1(中)安藤
2(三)久保田有
3(一)上神
4(遊)野口
5(捕)久保田拓
6(二)坂之下
7(右)吉川
8(左)小河
9(投)高野
見事な逆転劇で開幕白星をつかんだ。新型コロナウイルス感染症の影響で、吉川周佑主将(経4)体制になってから、最初で最後のリーグ戦となった今大会。初戦の京大との一戦は、エース・高野脩汰(商4)が序盤に4点を失うも、8回に一挙5得点の猛攻で試合をひっくり返し、初陣を飾った。

2回、先頭の野口智哉(人3)が四球で出塁すると、久保田拓真(社3)の打球が右翼手の頭上を越え、先制に成功。続く坂之下晴人(人3)も初球をセンターへ運び、追加点を奪う。


しかしその裏。先発の高野が4安打を浴びまさかの3失点で形成逆転。さらには3回にも1点を奪われ、ビハインドが2点に広がる。


4回を三者凡退に抑えた高野だったが、この回を最後に降板。エースから引き継がれた香川麗爾(れいじ=文3)は、出塁を許しながらもホームベースは守り、野手の応援を待った。

流れが変わったのは7回裏。次にマウンドに上がった左腕・宮崎隼輔(人2)が大学初登板ながら圧巻のピッチングを披露する。先頭打者から三振を奪うと、後続も抑え三者凡退。「自分がゼロで抑えることができれば、チャンスがあると思った」と、その予想通り、宮崎のテンポの良いピッチングが関大打線に火をつけた。

続く8回表。先頭の久保田有哉(情3)がピッチャー強襲の内野安打で反撃の狼煙(のろし)を上げると、上神雄三(法2)が四球で続き、無死一、二塁に。ここで先制タイムリーを放った久保田拓がまたも適時打を放ち、1点を返す。続く坂之下が内野ゴロに倒れ、2死二、三塁となる。ここで登場したベテラン長距離砲・西川将也(人4)が、インコースのカーブをレフトへはじき返した。これが走者一掃の逆転2点適時二塁打となり、リードを奪うことに成功。「自分の打席ではなく、チームを背負った打席だと思った」と、最上級生の意地がさく裂した結果となった。これだけにとどまらず、小河英一郎(商2)の三塁打、安藤大一郎(経3)の単打で2点を追加。この回一挙5点を獲得した。完全に流れをつかんだ関大は、宮崎が残り2回を5奪三振の好投で締め、大きな1勝をあげた。





底力を発揮し、白星発進となった。さらに、西川を含め代打で出場した3人が全員安打を放つなど、層の厚さも見せつけた初戦。翌日の2回戦への期待が高まる結果となった。今季は勝率で優勝が決まるため、これまで以上に一戦必勝が求められる。決して平たんではない道のりだが、総力戦でこの秋の頂点へと上り詰める。【文:中西愛/写真:中西愛、坂井瑠那】


▼早瀬万豊監督
「京大さんは粘り強い野球をするので簡単にはいかない思っていたが、前半競られ、高野がそれに付け込まれた。2点を先制したが、非常に厳しい戦いになった。(高野について)体の不安が全くない状態。上がってきている感じはしたが、点の取られ方がまずかった。次の登板に期待したい。継投は考えていて、香川と宮崎がしっかりと抑えてくれた。2人とも今の状態の良さをしっかり出してくれた。特に宮崎は初登板だったが、落ち着いた子なので期待していた。大事な場面だったが、見事にしっかりと抑えてくれた。代打も、目片にしろ西川にしろ、オープン戦のときからしぶとく打ってくれていた。期待通りのことをやってくれてうれしかった」
▼吉川主将
「いろいろイレギュラーな日程になり、オープン戦なども中止になった。その分、自分たちも戸惑い、大変だった時期もあった。それでも、この日が来ることは決まっていたので、徐々にチームの士気が上がってきた。今日は、試合前の雰囲気がとても良かった。ノックから良くて、これまでで1番良かった。前半で先取点取ったうえで、後半さらに突き放したかったが、そんな簡単にいくものではなく。それでも後半、粘り強く戦えたことは良かった。控えメンバーも準備して結果を残してくれたので、それも良かった。守備からリズムを作ろうと。とにかく粘り強くゼロで抑えようと声を掛けた。打線は1点ずつ繋いで、取って。(8回について)雰囲気が良かった。打順も有哉(久保田有哉)からだったので、取るならこの回だとみんなわかっていた。しかも、前の回に久しぶりに3人に抑えていたので、そのリズムに乗っていけたかなと。(代打の西川について)雰囲気的に交代だと思っていたが、案の定打ってくれた。あいつはオープン戦から調子が良く打っていたので、あいつならやってくれるだろうと。内容がどうであれ、勝てたことは本当に良かった。2戦だし、1敗は大きい。初戦1勝できたことはとても大きい。勝率だから、もう1回リセットして勝ちにこだわりたい。明日は後攻なので、守備からリズムを作りたい。序盤で先制して、後半さらに突き放すイメージで。前半と後半で分けて考えて戦っていきたい」
▼高野
「点は取られたが、所々自分の思うボールが投げれたので悪くはなかった。(2回について)打ち取った球で安心していたのに、運悪くポテンヒットになって焦った。練習試合ではボール続きなことが多くてフォアボールは避けようと思って投げたのが、逆に甘くいってしまった。(4イニングを投げて)だいぶ心残り。尻上がりな日が多いのに、4失点もしていたらチームのムードも悪くなる。今後は失点しないようにしたい。体は万全。あとは調子。これまで全国の舞台では全然いいピッチングができていない。今季は関西だけでなく、全国で活躍できるように頑張りたい。(課題は?)ストレートはいっていたので、変化球のキレを戻したい。あとは、点を取られないように要所を締めれるようにする」
▼西川
「レフトが足を止めていたので、アウトかなと思った。めちゃくちゃうれしかった。キャプテンの代わりだったので、自分の打席ではなく、チームを背負った打席だと思った。結果は残るかわからなかったが、やれることをやろうという気持ちで打席に入った。(打った球種は?)インコースのカーブ。オープン戦のときから変化球中心の配球で投げられることが多かったので、変化球がくるだろうと。いつ出るかわからないから緊張はするが、打席に立ったらストライクボールを振れるように頑張っている。(勝てたことに関して)今回は勝ち点制ではなく、1勝が重たくなるリーグ戦。最後に1点でも多く勝っていられるような試合がいっぱい取れたらいいなと。春のリーグ戦が中止になったことは、『なんのために頑張ってきたんや』と、チーム全体なっていた。それでも、『秋はできる、そういう気持ちでいけ』と監督さんやコーチから言われ、この日のために準備してきた。(自粛期間の過ごし方は?)素振りとランニング。バッターとしての役目が多くなると予想していた。いざというときに得点を取れるような選手で居続けるために大事だと思っていた。昨年のこのシーズン、神宮の決勝まで行っているので、今年は優勝できるように。そのためにこのチームは意識高く練習してきた。そこに向けて頑張りたい」
▼宮崎
「自分がゼロで抑えることができれば、チャンスがあると思った。後ろの守備陣が声を掛けてくれたので、緊張せず落ち着いて投げることができた。いつも通りを出せた。最後はカットボールが少し甘く入ってしまった。相手バッターも良かった。これを勝ち切れたのは大きい。明日もリリーフの可能性がある」
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