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因縁の関関戦、試合巧者ぶり見せられ逆転負け

因縁の関関戦、試合巧者ぶり見せられ逆転負け

◇第47回総合関関戦前哨戦◇対関学大◇5月26日◇於・MKタクシーフィールドエキスポ

【第1Q】関大0-0関学大
【第2Q】関大6-0関学大
【第3Q】関大0-7関学大
【第4Q】関大9-10関学大
【試合終了】関大15-17関学大

アメフト界で大学日本一を目指す以上、避けて通れない相手、それが関学大だ。現在甲子園ボウル6連覇中の絶対王者。その試合巧者ぶりで関大にとっても宿敵であると同時に、追いかける背中でもあった。そんな相手に昨年は春、秋ともに逆転勝利。いつしか遠い存在ではなく、倒さなくてはならない相手になっていた。迎えた関関戦も先制し主導権を握ったのは関大。3本のフィールドゴール(FG)を集め、リードを奪う。しかし、徐々にミスから流れを奪われ、最終第4クオーター(Q)に逆転を許しそのまま敗戦。3季連続そして関関戦前哨戦としての勝利とはならなかった。

△プレー前の選手たち

第1Q、関学大のレシーブから試合は開始。相手のランプレーに対して、関大OLが奮闘し、ゲインを簡単に許さず得点は与えない。対する関大のファーストドライブは、開幕戦4タッチダウン(TD)を挙げたRB大野木陸人(人4)のランプレーでファーストダウンを奪うものの、思うような攻撃を展開できず。P金森陽太朗(社4)の好パントキックで陣地を回復した。その後両者は堅い守りでパスプレーを通させず。関大はLB東駿宏(人2)のタックルでロスを誘うなど、ディフェンス陣の踏ん張りが目立った。

第2Q、いよいよ試合が動く。関大はQB須田啓太主将(文4)からWR溝口駿斗(商4)、RB前川礼男(経2)へのパスで立て続けにファーストダウンを獲得。FG圏内まで攻め込むと、最後はK佐々木之太朗(商2)が38㍎のFGで先制点をもたらした。

△K佐々木

直後の関学大のドライブでも、DLが決死の踏ん張りで耐え抜くと、LB橋本幸樹(経2)のタックルも光り無失点。流れをつかむと、オフェンスではRB前川のギャンブルランも決まるなど着実にゲインする。最後は再びK佐々木がFGを沈め、6点のリードを奪った。

勝負の後半、第3Qに入っても、OL、DLの輝きは止まらない。ディフェンスではDL森本祥希(文4)のQBサック、オフェンスではOL乾優真(情2)のパスプロテクトが光り、関大を支える。しかし、終始関大ペースで進み、ダメ押し点を奪いたい中、次にスコアを動かしたのは関学大だった。陣地回復を果たせず、自陣15㍎からの攻撃を受ける。セカンドダウンまでなんとか止めたものの、最後は左サイドを抜けられTD。逆転を許す。

このままでは終われない関大。失いかけた流れを取り戻したのは4年生コンビだった。QB須田からWR岡本圭介(文4)へ2本のパスを通し、一気に相手陣内へ侵入。RB前川のランプレーも絡め、逆転の好機を伺う。TDとはならなかったものの、みたびK佐々木がFGを決め、9ー7とした。

△WR岡本

互いのプライドがぶつかり合う中、最終第4Q。関大はDL津田悠空(環都2)のQBサックが決まり、関学大オフェンスの流れを止める。しかしサードダウンを確実に仕留められ、4度ファーストダウンを更新されると、第4Q7分のところでFGによる失点。再び逆転を許すと、直後の関大のドライブではインターセプトにより攻撃権を失う。相手に再びTDを取られ、8点のリードを奪われた。

残された時間は1分少々。QB須田からWR岡本がロングパスを通し、なんとか首の皮一枚つなぐと、残り8秒のところでWR吉識立海(社3)がTD。2点差に迫ると、さらに2ポイントコンバージョンで同点を狙う。QB須田から再びターゲットはWR吉識。右サイドに流れながらキャッチを試みたが、ディフェンスに阻まれ万事休す。最後は時間を使われ試合終了のホイッスルが鳴り響いた。

△TD後喜ぶ選手たち

終始主導権を握りながらも、終盤に逆転を許し敗れた関大。そこに体格や技術の大きな差はなかった。1プレーに対する執念、精度の部分が宿敵との2点差に現れた。しかし、落胆する選手の姿はない。「秋、関学大に勝って日本一」。ぼんやりと描いていた理想が、本気で実現させるべき姿となった。一夏を超え、技術も精神的にも大きくなったKAISERSが今年、王者の座を奪いにかかる。【文:稲垣寛太/写真:早川莉央、藤原美鈴】

▼QB須田主将
「やるべきことをやり切れなかったです。関学大は取らないといけないところで取った。そういうところの差なのかなと感じていて、実際のプレー見ていても、スコアボードを見ても大きな差はないと思います。フィニッシュし切るであったり、勝負強さ、点を取り切る、守り切る。執念の違いなのかなと感じています。やらないといけないところでやれないのが今のチームの現場なので、なんとかして秋までに変えないといけないと思います。(個人のプレーを振り返って)もっと仲間を信じてプレーしなければいけなかった、一人相撲になってしまったと感じています。レシーバー、OLを信じてプレーしないといけなかった。主将でQBということはそれなりにチームに影響力を持っていると思う。そういう存在力の大きさは再確認できたので、もう誰にもなにも言わせない、自分自身にも言い訳せず、どれだけしんどい状況でも自分のプレーができるように準備、練習していかなければいけないなと感じました。(今季からはQBだけでなく、主将としてもチームを引っ張る)この代に生まれた時点で仕方がないこと。覚悟決めて最後までやり切ると決めたのでそこはもう割り切っています。(昨年日本一の関学大との2点の差について)ずっとキックでの得点で、どこかでTDを取れていればこういうことにはなっていなかったと思います。ゴールが近づいてきてからの気持ちの弱さが露呈したかなと思います。もちろん気持ちだけで勝てるのであればしんどいことはないですけど、気持ちで勝負し切らないといけない部分はあるのでそこで負けていたら話にならない。勝負にこだわって練習しないと、大舞台では勝てないなと感じました。(秋に向けて)チームが勝てれば、日本一になれば僕はなんでもいいので、そこに向けて残された時間を無駄にすることなく毎日を大切に過ごしたいと思います」

▼WR岡本
「色んな感情がありますけど、一番は悔しさもあるけど、それ以上に秋しか見えていないです。秋に関学大に2回勝ってやり返す。その気持ちが今本当に強い。悔しさもあるけど、秋に向けて4年生の中でも今本気で意識変えて動き出そうという気持ちが強いです。(攻守ともにラインが奮闘した)OLは特に下級生が多い中で、パスプロテクト、ランブロックも頑張ってくれて、ランも少ししか出ていないかもしれないですけど、パスプロテクトの部分は本当に副将としても褒めてあげないといけないと思います。(個人のパフォーマンスを振り返って)反省するプレーが山積みなので満足はなにもしていなくて、秋に向けてやってやろうという気持ちが強まりました。(秋に向けて)副将兼オフェンスリーダーらしく、本気でチームのトップになるべく人になって、僕の一言でオフェンスがいい方向に向く発言力をつけていかないといけない。秋は必ずやり返します」

QB須田

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