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両階級全国出場ならず野田主将引退

両階級全国出場ならず野田主将引退

◇令和2年度関西学生選手権大会◇10月10・11日◇新西宮ヨットハーバー◇

[スナイプ]
井堰威瑠(人3)・増田光(人1)/山岡千咲(人1)
田代彩子(商2)・三品裕里子(社1)
谷口健介(安全2)・児玉沙耶佳(商2)

1位 関学大71
2位 甲南大178
3位 阪大189
4位 関大204

[470級]
野田空(人4)・戸川屋陽生(環境1)
福田新之介(経2)・笹木竜斗(情1)
山田咲良(人1)・川本魁斗(情1)

1位 関学大62
2位 和歌山大210
3位 甲南大241
4位 近大268
5位 阪大314
6位 神大316
7位 関大330

台風14号の影響で中止も心配された今年のカンカレ。朝から強い雨が降っていたが、雨が止むのを待ち、11時30分から無事に開催されることとなった。とは言え台風の風はまだ残っており、波もいつも以上に高い。自然と向き合うヨットのレースはその影響を大きく受ける。チームの平均体重が軽い関大にとってかんばしくない環境だ。

今年はコロナウイルスの影響で合宿・春夏の大会などが続々中止になり、1年生は経験を積む場が十分になかった。関大は昨年、470級でカンカレ準優勝し、7年ぶりの全国入賞を果たした。ヨット初心者の多いチームを野田主将中心に両クラスでのインカレ出場を目指し練習してきた。

強風の中行われた1日目。難しいコンディションで多くの艇に横転などミスが出る波乱の幕開けとなった。関大もアクシデントやミスがあり、リーダー艇である井堰、主将・野田がそれぞれ奮起するも、まとまってゴールすることができない。そんな中、王者関学大が1度のミスもなく両階級を圧倒した。関大は470級7位、スナイプ級4位で1日目を終えた。

全国大会に出場できるのは470級が上位5チーム、スナイプ級が上位3チームで関大は枠外。しかし、その差は僅かでまだ可能性は大いにある。2日目は微風で関大が実力を発揮しやすい環境。「俺が(全国大会の)和歌山に連れていく」野田主将の頼もしい言葉でチームは出艇した。

スナイプ級は井堰が1本目から3位に入ると、昨日「悪循環から抜け出せなかった」と悔しさを滲ませた田代も8位にくい込み好スタートを切った。しかし、470級では野田をはじめ、個人戦で全国を決めた福田、ヨット経験者の1年生山田と実力者揃いだったが、「あとがないという焦りがあった」と野田が悔いるようになかなか真価を発揮できない。野田主将がチームを引っ張り、第4レースでは福田が7位に入るなど健闘するも、インカレ地元開催となる和歌山大の奮起もあり、順位を覆せなかった。

スナイプ級では井堰が全レース平均6位と活躍したが、「1人で走っても意味が無い」。田代、谷口の各艇も高順位に付ける場面があったが、3艇揃って上位を独占する場面は見られなかった。甲南大、阪大を抜くことがかなわず、両階級共に全国出場を逃す形となった。

全国に届かなかった試合後のミーティングは暗い雰囲気となった。悔しさに涙を滲ます選手もいる中、シャイで激しく感情を出すことはない野田主将は最後まで涙を見せなかった。「後輩たちを全国に連れていきたかった」難しい舵取りを任されたリーダーの秘めたる熱い思いがチームをひとつにしたことは間違いないだろう。【文:水上壮平/写真:小西菜夕・横関あかり・水上壮平】

▼野田主将

「初日2レースは強風でトラブルが多かった。2日目は気持ちを改めて挑んだが、切り替えきれなかったところがあった。難しいコンディションの中、一緒に乗った戸川屋含め1年生たちのがんばりを見て自分も奮起した。(コロナで満足に活動できない中7人の1年生が入部)自粛期間中、勧誘など何ができるかみんなで考えてやれるだけやってきた。それが新入生の入部に繋がったと思う。(キャプテンとして2日間通して好成績)2日目の風は正直自信のあるコンディションではあった。ある程度前を走っていたとはいえ、結果に納得はいってないし、他大の自分と同じ立場の人間と比べたらやっぱり足りてなかった。2日目は大きなトラブルがなかったけど、あとがない焦りはあった。その分判断が遅れた。崖っぷちのレースの中、切り替えれる選手が本当に強い選手。気持ちの切り替えに努めたが全部切り替えきれなかった。チームとして経験不足はなかったとは言えないが、1年生が多かったことを言い訳にはできない。自分はこれで現役を引退するが、ここからはOBとして、サポートに回るので、ここからの成長に期待したい。今振り返れば、470級は全国出場枠が5つある中で、気の緩みがあったかもしれないし、カンカレは何が起こるかわからないという怖さも感じた。ただ、1年生を多くメンバーにしてチームでここまでやれてきたのは良かった。ここまで着いてきてくれた後輩たちを全日本に連れていきたかった。その想いが自分の中で大きかったのでそこは本当に残念。チームには僕の足りない分をサポートしてくれて助けられた。この悔しさを糧に来年は全日本総合を狙ってもらいたい」

▼井堰

「(2日間通して好成績だったが)団体戦だから1人で走っても意味無い。スナイプ長として3艇をまとめて走るリーダというのが自分の役割。そのために情報の共有することを意識してきたがやりきれないところはあった。1年生主体のチームで経験不足があったかもしれないがそこは言い訳にできない。来年から選手としては自分1人なのでスナイプ全体の技術面の向上に努めたい。大学はやはりチーム戦。最年長としてチームをまとめるリーダーシップをとれるように頑張る」

▼谷口・児玉

「組んでまだ間もないが、その中である程度連携を取れていたと思う。1日目の強風でスタート前に転覆してしまったレースがあってお互い「ヤバいな」と思っていたが、口に出してしまうとそのレース自体に影響が出ると思ってお互い言わなかった。それもあってそのレースは転覆せずに乗り切れたと思う。2日間、個人的には手応えもあったが、やはりチームとして悔しい気持ちが大きい。2日間で強風と微風でコンディションは違ったが、チーム内でも話し合って風の対応はできていたつもりだった。操船技術がまだ足りてないと感じたのでチームの中心になる来年に向けて技術を磨いていきたい」

▼田代

「1日目に関して風が強くて得意なコンディションではなかったとはいえ、納得行かない内容だった。レースでは横転してしまい悪循環を感じる。2日目は風が落ちた分有利だったから戦えない環境ではなかったが、コース選択で詰めの甘さが出てしまった。最後のレースでは下マークで他大に入られて、そのまま抜かれてしまった。スナイプは関大が一定期間、団体で出てなかったので、全体として知識が足りてなかった。準備期間に合同練習も行って他大から吸収しようとしたが、間に合わなかった。スナイプを専門として乗る選手として自分が土台を築いていけるようにがんばります」

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