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サッカーにはいくつもの理想形が存在する。その1つが「ウノゼロ」。イタリアではリスクを背負い、複数得点を取りに行くよりも堅実に1ー0で試合を終えるのが美学であると称賛されてきた。ライバル国からは攻撃を最小限にとどめるこの戦法を弱者のサッカーとも言われた。それでも勝利することこそが美しく、その過程は重視しないという考え方からこの美学が生まれたのだろう。

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△試合後、記念撮影を行う

数ある球技のほとんどは点を取ってなんぼ。そんな中で私はこの美学に心を引かれ、サッカーに魅了されていった。これに限らず、勝敗よりも内容が大切と言われることがある。確かにそれは間違いではない。だが、私はやはり勝利を求める。他人にも自分にも負けるのは許せない。そんな負けず嫌いな自分にとって勝ちへの貪欲さを突きつめた「ウノゼロ」という考え方は合理的で共感できた。

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△サッカー部が関西制覇を決めたヤンマースタジアム長居

選択を迫られた時、選んだあとに納得いく結果がでないと自分に負けた気がしてならなかった。だからこそ、多くの場面でリスクが高い方を避けてきた。そんな自分がリスクを負ってまで入部を決めたのが関大スポーツ編集局(カンスポ)だ。休日返上での取材や新聞作成。想像以上に体力と根気が必要になる。「人生の夏休み」とも言われる大学4年間。その時間の多くを広報活動に割くなどリスクでしかない。何度もやめたいと思った。だが、物事を途中で投げ出したことがない自分にとって部を去ることは許せなかった。また負けず嫌いが邪魔をする。

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△リーダーズキャンプでの一場面

それでは、ここまで続けた選択は間違いだったのか。それは違う。カンスポの活動から大きな財産を得た。それはKAISERSの選手たちとの出会いだけではない。つまらない冗談にも対応してくれる優しい先輩、目に入れても痛くないほどにかわいい後輩、そして日々成長を続ける同期。どれもかけがえのないものだ。

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△阪神甲子園球場でカメラを構える

最近、よく考えることがある。「カンスポという唯一無二の存在に対して自分は何をもたらすことができるのか」。私は主人公のように周りを驚かせる個性的で派手な動きはできない。しかし、課題発見力や客観的な状況分析には自信はある。これは、スポットライトが当たるようなポジションではないのかもしれない。だが、光が当たらなくても弱いわけではない。点を取りにいかずに臆病者とばかにされても、スタイルをぶらさなかったイタリアは世界屈指の強豪国に登りつめた。かつてのイタリアのように、私は自分が信じる美学を追い求める。そしてカンスポという組織に必要不可欠な存在になりたい。【大森一毅】

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