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J1・浦和と120分間の激戦繰り広げるも敗戦

J1・浦和と120分間の激戦繰り広げるも敗戦

◇天皇杯JFA第103回全日本選手権大会2回戦◇対浦和レッズ◇6月7日◇浦和駒場スタジアム◇

【前半終了】関大0-0浦和
【後半終了】関大0-0浦和
【延長前半終了】関大0-1浦和
【延長後半終了】関大0-0浦和
【試合終了】関大0-1浦和

GK 山田和
DF 川島、谷岡、木邨、吉本
MF 堤、吉永、三木、菊地
FW 西村真、百田

天皇杯JFA第103回全日本選手権大会(天皇杯)には、J1、J2のチームと全国47都道府県予選を勝ち抜いた代表チームが出場。下位カテゴリーやアマチュアのチームがJ1クラブから勝利を奪う下克上が毎年のように起こる。初戦を突破した関大は2022年アジアチャンピオンのJ1・浦和レッズと対戦。日本屈指のビッグクラブからの大金星を目指し、試合に臨んだ。劣勢が予想されたが、互角以上の戦いを繰り広げる。だが、両者譲らずに0-0で延長に突入。しかし、延長前半に自陣でのミスから1点を失うと、追い上げかなわず敗戦。ジャイアントキリング実現とはならなかったが、埼玉まで駆けつけた応援団と最後まで諦めずに走り続けた選手たちに日本中から賞賛の声が上がった。

前半から積極的にシュートを放つ関大。開始早々には、MF菊地孔明(人4)がシュートを打ったが、枠を捉えきれない。さらに、関西学生屈指の2TOPコンビ、FW百田真登(経4)とFW西村真祈(法4)も立て続けにシュートを放つがGKにセーブされる。

△MF菊地
△FW百田
△FW西村真

その後は攻め込まれる時間帯もあったが、GK山田和季(社2)を中心に集中した守りを見せる。中盤のMF三木仁太(政策2)、MF吉永陸人(商3)を軸にゲームを組み立て、プロ相手に一歩も引くことなく、前半を終えた。

△GK山田和
△MF三木
△MF吉永

両チーム選手交代はなく、後半へ。開始5分にペナルティーエリア内に侵入したMF堤奏一郎(社4)がシュートを打つが、相手DFのスライディングに引っかかりゴールに飛ばない。

△MF堤

流れを引き込みたい関大は、後半13分にMF真田蓮司(法1)、DF髙橋直也(商4)を同時投入。さらに、その3分後には負傷したMF吉本武(商4)に代えてDF吉村瑠晟(経2)が出場した。

△DF吉本
△DF吉村瑠

DF登録ながらボランチでの出場となったDF髙橋直。中盤で巧みなボールタッチを見せ、ゲームを落ち着かせる。再び流れをつかんだ関大はMF堤のシュートなどでさらに攻め込む。

△DF髙橋直
△MF真田

その直後に、FW大矢瑞樹(情2)とDF桑原航太(社1)がピッチへ。フレッシュな選手を続々と投入する。DF桑原の投入によりリーグ戦同様、DF川島を一列前のポジションへ。攻撃の活性化を図る。後半33分にFW大矢がフリーでパスを受け、シュート。だが、GK正面に飛び、先制とはならない。

△FW大矢
△DF桑原

さらに、後半終盤にこの日1番のビッグチャンスが訪れる。中盤で相手をつぶしたDF髙橋直のパスに抜け出したのはDF川島功奨(社3)。スライディングを切り返し、シュート。GKを越えたが、相手DFのゴールラインぎりぎりでの決死のクリア。こぼれ球にFW大矢が詰めるが、枠の上に外れ、ゴールとはならなかった。

△DF川島

このままスコアレスで90分間が終了。今季、TOPチームにとって初めての延長戦に突入した。選手の疲労は限界寸前。それでも、関大応援団の大声援がスタジアムに響き渡り、最後の力を振りしぼる。

延長に入り、攻勢を強める相手に対してDF木邨優人(政策3)、DF谷岡昌(社4)を中心に守備陣が体を張って守り切る。ポストの跳ね返りから決定機を作れられた場面でも、DF吉村瑠がかき出し、連続攻撃をしのいだ。

△DF木邨
△DF谷岡

また、延長前半11分にアクシデント。途中出場のMF真田が負傷し、プレー続行不可能となる。代わって直近のリーグ戦で得点を記録したMF前田龍大(人3)を投入した。

△MF前田龍

同点のまま、延長前半終了かと思われた15分。無情にもゲームは動いた。自陣でボールを奪われると、左サイドに展開。クロスからフリーでシュートを打たれる。これは、DF木邨が何とかブロックしたが、こぼれ球に詰められ、失点。ついに、均衡を破られた。

延長後半に入り、ラストの15分間で同点ゴールを狙う。しかし、先制点を取られた焦りと105分間走った疲れで精度を欠く場面が続く。結局、ゴールは最後まで生まれずに0-1で惜しくも敗戦となった。

J1クラブを相手に延長戦までもつれ込む激戦を繰り広げた関大。それでも、選手たちは満足していない。「この経験を今後の試合につなげ、総理大臣杯やインカレでリベンジしたい」とMF堤。プロ相手でも関大サッカーが通用するということを証明するためにも勝利が欲しかった。だが、総理大臣杯、インカレと日本一のチャンスはまだ残されている。さらに、リーグ戦も今週末に行われる関関戦に勝利すれば、首位まで勝ち点は1試合差以内だ。まずは、命運を分ける首位・関学大との一戦。激闘の120分から中3日という過密スケジュールだが、全員サッカーで必ず勝ち点をつかみ取る。【文/写真:大森一毅】

▼前田雅文監督
「前半の立ち上がりから失点してしまうとどうしても苦しい展開になってしまう。去年のC大阪戦と同じようにならないようにできるだけ0点で抑えたい、失点しても1失点までに抑えようという中でうまく折り返せた。前半、後半チャンスを作ったものの決めきれずに勝てなかったという印象。数少ないチャンスを決め切らなければ今日の試合は難しいと思っていたので、しっかり決めることが大切だった。浦和の方はクオリティの高いシュートもあったが、うちのGKとDF陣が何とか防いでいる場面があった。(攻撃的なサッカーを貫いたが)自陣で多くの人数をかけて相手のシュートをブロックするシーンを作れば、勝つ確率は上がったかもしれないが、普段学生リーグでしていることをチャレンジできる場だと思っていた。その場を削ってまで勝つ確率を上げるよりも自分たちがどれだけ通用するかという中で勝機を見出そうと思っていた」

▼GK山田和
「自分個人としては今までにないぐらい良かったと思う。最初の方はピッチやボールになれずミスはありましたが、しっかり修正してビルドアップやシュートストップができた。(J1チームと戦ってみて)1番違うのは会場の雰囲気。学生や予選ならあんなブーイングはないし、ここまでの人が見に来ることはなかった。あと、単純に個々のレベルが高かった。(収穫は)フィールド全員が走って体を張って戦ってくれたし、自分自身も楽しんで自信持ってプレーできたのが良かった。自分としてもシュートストップやビルドアップの部分で通用するところが見つかった。(課題点は)あの大観衆の中でどのように守備の声かけをするか、味方に伝わりやすいように言葉を届けるという点ではまだまだだった。(今後に向けて)自分のおかげで勝てたと言われるようなキーパーになります」

▼DF木邨
「とてもハードな試合展開になり、学生相手では感じることのない強度やスピードを感じた。(J1チームと戦ってみて)パススピードやディフェンスの強度、トラップの質などの部分で違いを感じた。(良かった点)J1のチーム相手にもしっかりとビルドアップをしてサイドからのクロスや前線からのプレスができた点は、とても収穫であった。(課題点は)最後の決め切る力や攻められても無失点に抑える部分などはこれからの改善点として残った。(今後に向けて)4回生と天皇杯を戦うことはできなくなってしまったが、リーグ戦、総理大臣杯、インカレとタイトルを取るチャンスは残っている。全部のタイトルを獲得します」

▼DF桑原
「とにかく感動した。J1チームと戦ってみて、パワーやスピード、技術力の高さに驚いた。(良かった点は)J1相手にも自分たちがやっているスタイルは通用することに気づいた点。(課題点は)質の部分が相手と圧倒的に違かったので、上げていきたい。(今後に向けて)全力でプレーして、インカレに向けていい準備をしたい」

▼DF谷岡
「プラン通りに進められて、勝機があった中で勝ち切れなかったことが悔しい。(J1チームと戦ってみて)サポーターの応援の圧力が圧倒的に違った。サッカーに関しては、そこまで手が打てないほどの差を感じなかった。(良かった点は)チーム全体でハードワークし続けることができれば、トップレベルの相手でも追い込むことができるということ、あれだけの力を持っていたことを知れたこと。(課題点は)ゴールまでどのようにして運んでいくか、フィニッシュでいかに余裕を持ってできるか、間延びする時間を減らすこと。(今後に向けて)チームが勝つ為には、必ず個人のレベルアップが必要不可欠になる。まずはもう一度個人の所を見つめ直して頑張っていきます」

▼DF吉村瑠
「高いレベルでプレーできた事はこれからの自分にとって良い経験となった。フィジカルの部分や身体能力、各個人としての個の能力で違いを感じた。(良かった点は)ゴール前まで迫れたこと、90分を無失点で戦えたこと。収穫としては、自分でもプロ相手に戦える部分があるという自信がついた。(課題点は)チームとしては決定力、決め切るところで決めていたらまた違った試合になっていたと思う。個人としてはコンビネーションや攻撃参加での質が課題になった。(今後に向けて)応援してくれるチームの仲間のためにもプレーと結果で恩返ししたい」

▼DF吉本
「思っていたよりも自分たちにもチャンスがある中で決めきることができなかった。そこが今回の敗因だと感じた。個人的には、60分という短い時間で足をつってしまい、チームに迷惑をかけてしまった。不甲斐なく、とても悔しい結果となってしまった。(J1チームと戦ってみて)ボールタッチの質やキックの質特にミートの質が違うと感じた。あとは、球際の強さや身体の強さが目立った。(良かった点)自分たちの崩しや守備でうまくハメルことはJ1相手でも通じていた。(課題点は)ゴール前の質や奪った後の質。自分はもっと、フィジカルの向上と持久力を上げていきたい。(今後に向けて)この負けをしっかりとかみ締め、忘れずに直向きに練習に励んでいく。リーグ戦、総理大臣杯、インカレは本気で優勝を狙っていく。プロになります」

▼MF堤
「思っていた以上に通用する部分が多く、楽しくプレーできた。(J1チームと戦ってみて)フィジカルや強度は別格だと感じた。また、シュートに対してゴールカバーに入る意識が高いと感じた。(良かった点は)立ち上がりからアグレッシブにプレーできたことで押し込む時間帯を作れたこと。特に、奪った後に素早く縦パスが入り、攻撃できたことは良かった。(課題点は)シュート、ラストパス、クロス、トラップなどのゴール前の質。(今後に向けて)この経験を今後の試合に繋げ、総理大臣杯やインカレでリベンジします」

▼MF三木
「とにかく悔しい思いが強い。本気で勝ちにいき、相手を追い詰めることはできたが、勝ちきれないのが差だと実感した。(J1チームと戦ってみて)フィジカル面はかなり違いを感じた。競り合いや一瞬のスピードは、大学生相手とは大きく違う部分でもっと強くなっていかないといけない。(良かった点は)全員で連動できればボールも奪えたし、個人の駆け引きでも勝てるところはあった。ゴール前でも体を張るができ、90分だけで見ると無失点に抑えることができたことはプラスだと思う。(課題点は)守備ではいつもより球際で負けてしまうことが多かった。失点シーンでは自分の足が止まってしまい、その隙をつかれた。プロ相手に一瞬の隙も許してはいけないと感じた。攻撃ではもっとチャンスメイクし、ゴール前に入っていければ良かった。(今後に向けて)悔しい思いをしたが、プロの基準を知ることができた。これからの自分のサッカー人生に生かしていかないといけない。この悔しさは総理大臣杯やインカレで晴らすしかないのでもっとレベルアップしていきたい」

▼FW大矢
「試合全体を振り返って、自分含めて前戦の選手が決め切る所で決め切っておけば勝てた試合だったなと感じた。(J1チームと戦ってみて)守備の寄せる部分は確実に浦和レッズの選手の方が速く、強かった。また普段では僕らが守備をしている時にハマっている場面であっても簡単にワンタッチ、ツータッチの質の高いプレーで外してくるところも普段感じない部分だったと思う。(良かった点は)前半、ベンチから見ていて前線で時間が作れている時や守備から攻撃に変わる、いわゆるポジティブトランジションの所では特に攻撃の厚みが出ていた印象。後半の僕のビッグチャンスの場面でも直也くん(=DF髙橋直)がいい守備から攻撃につながっていたので後はあの場面で決めることができるかだと思う。(課題点は)最後のゴール前の質の所は僕自身改善が必要。シュート1つにしてもJの選手に比べたらまだまだスピードもパワーもない。日々の練習の一つ一つのシュートを大事にしていきたい。(今後に向けて)浦和レッズ戦では素晴らしい応援ありがとうございました。今回の試合で得たものはとても多くあり、いい学びがたくさんあった。今回出た課題を日々の練習からしっかりと落とし込み、努力していきたい。次はみなさんに悔し涙じゃなくて満面の笑顔をお見せできるように頑張ります」

▼FW百田
「点を取れなかったことが負けにつながったと思う。めちゃくちゃ悔しかったけど、めちゃくちゃ楽しかった。(J1チームとは)ボールを蹴る質のところは違うなと感じた。(良かった点は)各個人が通用すると感じた面が多くあって自信になったところ。(課題点は)クオリティの部分はもっと上げていかないと上にはいけないと感じた。(今後に向けて)得点を取り続ける」

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