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カンスポ3年間の原動力

カンスポ3年間の原動力

12月下旬、私は関大スポーツ編集局(カンスポ)での集大成をぶつけてきた。3年間に終止符を打つ。最後の取材は、全日本フィギュアスケート選手権大会(全日本)だった。国際大会の選考も兼ねる国内最高峰の試合で、周りはプロの記者ばかり。最後にして最大級の仕事だった。

KAISRSへのリスペクト

この3年間、私はずっと間近でKAISERSの「本気」を見てきた。

△ノーミスの演技を目指すアイススケート部・木科雄登(安全4)
△インカレにて、第2延長の末、逆転勝利を収めたハンドボール部男子
△15年ぶりに関西準優勝を果たした柔道部

KAISERSは、目の前の1試合、1勝のために「本気」で戦っている。体験取材で初めて見た時から、その姿に尊敬の念を抱いたし、憧れた。裏腹に、取材を重ねれば重ねるほど、疑念が深くなっていく。私は「本気」でカンスポと向き合えているだろうか。「本気」じゃない人が「本気」の人の記事を書くのは失礼ではないだろうか。何だかリスペクトに欠けると思った。「ただ能動的に活動するだけでは、この人たちの「本気」と釣り合わないし、肩を並べられない」。私が選手にリスペクトを示す最良の方法は「本気」で取材することだと思った。

「本気」を求めて

とにかく何でも追求してみた。競技を理解すること、カメラを練習すること、読みやすい記事を書くこと。特に、インタビューにこだわった。真剣に取り組んでいる選手に「今日の試合どうでしたか」。この丸投げは違うと思う。なるべく自分なりに試合を分析し、具体的に聞こう。(これがまあ難しい。試合内容をちゃんと理解して、記事の方向性をあらかじめ決めないとできない)そのために、フィギュアスケート、ハンドボール、柔道、合気道。これまでの人生でほぼ触れたことのない担当競技の動画やプロの解説、雑誌を見たり、手探りでとにかく行動してみた。

そう意気込みはするものの、やる気が0になる時もあった。シーズン中は土日祝を問わず、全国各地を駆け回る。平日には記事やプレイバックを作成。休みが全くない。辞めたいと何度か思った。しかし、試合を見に行けば、行くたびに選手たちの「本気」に触れる。その熱い思いに、また突き動かされる。私も頑張ろう。そんなこんなで、気づけば3年間が経っていた。

私の集大成をぶつける

最後の取材となったフィギュアスケートの全日本。取材の全工程に、3年間のこだわりを詰め込む。かなり細かくなるが、選手が振り返る前からシャッターを切る。ジャンプは見てすぐにメモを取る。曲調と楽器を捉える。演技後もカメラを構える。得点発表時は選手を観察する。記事の視点に合った質問をする。無駄な質問はしない。具体的に聞く。相づちを打つ。記事は短文で。修飾語は修飾する語の前に置く。(本当はもっとある)3年間の取材回数は約155回。その集大成を出し切って、最高に「本気」の取材をしてきた。

△最後の取材となった全日本の様子

「本気」を貫いた先は

実は、今大会は1年生の時から行っており、今年で3年目だ。プロの記者に囲まれながらの囲み取材。1、2年の時は度胸がない上、内容が浮かばず、インタビューで一切質問できなかった。しかし、今年は全選手に質問できた。おかげで、内容の濃い記事が書けたと感じる。そして、記事を読んだファンの方が、Xにお礼を記してくれた。「いつも記事ありがとうございます」。「めちゃくちゃいい記事」。最初はKAISERSへの憧れで頑張ってきたけど、私の活動が誰かの喜びにつながったことが、すごくうれしかった。

私は、尊敬するKAISERSと、肩を並べられる存在になれただろうか。「本気」で競技に向き合う彼らに、少しでも近づくことができただろうか。分からないが、自分なりに「本気」で向き合えたと思う。後悔はあるが、やり切ったと思えるからだ。いつも気迫のプレーで力をくれた選手たち、熱心に活動するカンスポの部員たち、他大学の新聞部、そして、記事をご愛読くださる皆さま。カンスポを通して出会ったすべての方々へ感謝の気持ちでいっぱいです。全員が私の原動力でした。3年間ありがとうございました。【松尾有咲】

△記者席の三塁側から、カメラを構える私

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