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86年ぶりの快挙、松田がインカレV

86年ぶりの快挙、松田がインカレV

◇2022年全日本学生選手権大会◇本戦7日目◇8月21日◇四日市テニスセンター

【男子シングルス決勝】

○松田2(6-0,6-4)0藤原(慶大)

【男子ダブルス決勝】

●松田・大植0(5-7,4-6)2田口・河野(近大)

大会6日目はシングルス、ダブルスの決勝が行われた。

先に行われたのはシングルス。松田康希主将(商4)は昨年準決勝で惜しくも敗れた藤原(慶大)と対峙(たいじ)した。第1セットはダブルフォルトなどで2ポイントを先制されるがその後は落ち着いたプレーでキープ。第2ゲームはデュースに持ち込み、力強いストロークでアウトになる球を誘い早々にブレイクに成功する。その後も武器のサーブで相手を寄せ付けず、ポイントを量産し第1セットを6-0で手にする。しかし、第2セットからは相手が調子を取り戻してきた。ゲームカウント2-1で迎えた第4ゲーム。相手のセカンドサーブに対して松田が前に出て強いレシーブを返しブレイクに成功。しかし、昨年王者はそう簡単には優勝させてくれない。直後にブレイクバックを許す。勝利まであと1ゲームとなった第10ゲーム。デュースの中、何度もマッチポイントを握るが最後の1ポイントが遠い。そして熾烈なラリー戦の末に相手がボールをネットに。優勝を決め、松田が雄叫びをあげた。「優勝だけを狙ってこの1年取り組んできた」。進化を見せたラストイヤー。有言実行を果たし86年ぶりとなる快挙を達成した。

△松田

準決勝で第1シードの藤原・下村組(慶大)を撃破した松田・大植駿(文4)組は関西でしのぎを削る近大の田口・河野組と対戦。ファイナルの場で関西勢同士が相まみえる組み合わせとなった。第1セットはキープしあう展開が続くが第7ゲームに臆することなく打ち込んでくる相手に屈しブレイクを許す。しかし、ゲームカウント4―5と追い込まれた第10ゲームにブレイクに成功し簡単には終わらせない。だが直後にブレイクバックされてしまいファーストセットを落とした。第2セットでもほとんどのゲームでデュースに入りどちらに転ぶか分からない展開に。要所でお互いに好サーブを打ち込みキープを続ける。ゲームカウント3-3で迎えた第7ゲームに均衡が破れる。ゲームカウント4-5と追い詰められた第10ゲーム。ここで反撃して次につなげたいところだが、スマッシュを打ち込まれ惜しくも敗戦。1年生の頃からペアを組む松田と目指した全国の頂点は目前で届かず。大植は悔し涙を見せた。しかし、昨年のベスト4を超える準優勝に輝いた。

△大植
△松田
△松田・大植組

松田のシングルス優勝、松田・大植組のダブルス準優勝に加えて多くの選手が躍進を見せた関大。9月上旬のリーグ戦、10月の王座に向けても期待大だ。【文/写真:荒川拓輝・合田七虹】

▼松田(シングルス)
「(どんな気持ちですか)ほっとしています。去年は準決勝で負けてしまって、悔しい思いをして今年は優勝だけを狙ってこの大会に挑みました。結果優勝することができたので率直にうれしいです。(決勝の相手は去年敗れた相手ですが)そこまで気にすることなく自分のプレーをすることだけを心がけていました。最近の試合でも何回か当たっているのですがそこでも勝っているのでいいイメージを持って挑めました。(第1セットは何もさせずというところでしたが)自分が考えてた戦術もしっかりハマった結果6-0で取れました。いけそうな感じはなんとなくしていて変な自信がありました。本当に取れたという感じでした。自分の状態も上がってきていてこの感覚はたまにあります。自信を持って臨めました。(第2セットについては)簡単に終わることはないと思っていました。2セット目が始まる前に切り替えました。何回も対戦している相手ですのでどこかでくらいついてくるという心の準備ができていました。相手が粘り強くなったからといって焦ることはなく自分のプレーができたと思います。(山本統括コーチはサービスが良くなったと話しているが)去年までもサービスは自分の中で自信のあるショットで武器でありましたが、そこに磨きがかかって自分でも自信を持って、取られないと思いながら入れているのでそれがリターンゲームにいい影響を及ぼしておると思います。(サービスの良さがディフェンスの良さにつながっているか)精神的に疲れることがなくなりました。ラリーをしているとメンタル的にもキツくなってくるのでそれがないだけでも楽に試合を運べるのが大きいです。(優勝を決めた瞬間の気持ちは)今までにない感情でした。もちろんうれしいのもありますが、自分が立てた目標をちゃんとクリアできたことにほっとしたことが込み上げてきました。(目標は優勝と以前から語っていたが)自分でも今大会が始まる前に試合が始まったらどういう感情になるかという思いでした。試合が始まったら楽しく1回戦から最後までできました。優勝を狙って優勝をすることが1番大変だと自分自身経験していて、そういう難しさを分かった上で優勝したいとあえて言ってそこで優勝するのには大きな価値があると思います。(シングルスの試合を振り返って)優勝する大前提として試合時間をどれだけ短くできるかが1番だと考えていました。4回戦まで試合時間を短く済ませて、体の負担を軽減しながら試合を行えたのが良かったです。準々決勝はドローが出た時から1番の山場だと思いながら準備していて、本当にここが1番の山場だったと思います。そこを乗り越えたことは自分でもちょっとは成長したかなと思います。(シングルスは86年ぶりの快挙ですが)何十年ぶりというのは中々ないと思うので、こうして記録を更新した1人になれたのはうれしいと思います。(今後に向けて)達成したい目標ではありましたが、これがゴールではないので、これを弾みにしてステップアップして次の目標に向けてこれからも取り組んでいきたいと思います。(リーグ戦に向けて)僕1人で勝てるものではないのでチーム全体で頑張ってみんなで勝つのが団体戦だと思います。その中でも自分の勝利がチームに少しでも貢献できると思うので僕に回したら大丈夫だと思えるような信頼を得れたらなと思います。(応援して下さる方へ)1週間応援ありがとうございました。優勝して試合が終わった後、色んな方からメッセージをいただきました。本当に色んな人が応援してくれてたのだなというのが自分でもありがたかく、結果で恩返しできたかなと思います。次はリーグと王座が目の前に控えていて、そこでも皆さんの期待に応えられるように頑張ります。ありがとうございました」

▼山本哲弘統括コーチ
「(松田選手の優勝について)私自身女子で1度インカレのチャンピオンを出しているんですけども、それ以来のチャンピオンで、嬉しいですね。(松田選手の1年間を振り返って)本人も優勝スピーチで言っていたように、去年非常に悔しかったということで、この1年かなり追い込んでしっかりと成果が出せたことを嬉しく思います。(松田選手の1年間で最も伸びた点について)サーブですね。サーブのフォームを少し変えて、スピードと確率をあげたことです。サーブに自信を持つことができたので、非常にメンタルも安定して、試合全体が強気で進めるようになったかなと思います。(春のプロも参加する大会で優勝して得たことは)成果もしっかりと出せましたし、何よりも日本のトップクラスの選手と試合ができたというのは非常に大きかったと思います。(準々決勝を振り返って)かなりハイレベルな試合で、なにか世界の大会を見ているようなレベルでした。本当に楽しい試合でした。(準決勝を振り返って)この大会を通してあのラウンドで非常にレベルの高いテニスができた、そしてしんどい中で勝ち切ったという自信を持って次に進んで、そこでしっかりと自分のテニスができて決勝戦に挑めたのは非常に大きかったと思います。(決勝戦で松田選手にかけた言葉について)特にないんですけど、戦術的な部分と、あともう1つは思い切ってやってこいということですね。(決勝戦の第1セットを振り返って)今大会を通して1セット目は結構好調なことが多かったので、その自信はあったので、3-1リードでここから藤原選手が強みを出してくるというのはわかっていましたので、本人も焦ることなく最高のプレーができたと思います。(優勝後にかけた言葉について)おめでとうですね。次のステージに行こうねと、そんな話をしたと思います。(プロの道に進むことについて)身長もありますしサーブもあるので、世界で通用するプレイヤーになるのではないかなと期待しています。(ダブルスの決勝戦について)チャンスがなかった訳ではないんですけど、近大のペアリングがものすごくよかったので、今日もなかなか勝たしてもらえなかったという結果なんですけども、次につながる試合だったのかなと思います。(ブレイクチャンスを決めきれなかったことについて)相手のストロークの質がよかったですね、そこを抑えようと思うと少し予測力を働かせないといけなかったんですけれども、近大さんの方がよかったですね。(関西同士の決勝戦をどう思うか)久々の関西対決ということで、これを機にどんどん関西の選手がインカレの舞台で活躍できるようになればいいなと思います。(試合後にかけた言葉)しっかりここまで着々と伸びてくれてるので、あと少し次は団体戦がありますので、そこをしっかり頑張ってくれということを言いました。(リーグ戦に向けて)中村秋もいのがきもかなり伸びてきてくれていますので、期待できるプレーをすると思うので、期待しといてください。(女子について)結果が全てじゃないですよね、結果というのは時の運というのもありますので、ただ実力はしっかりとつけてきていますから、問題ないかなと思います。ただ、優勝ができなかったことは残念かなと思います。(団体戦に向けての意気込み)ここまで選手が頑張ってきてくれていますので、最後のリーグでしっかり関西制覇を男女して、今年はこのインカレの勢いもしっかり持って、男女優勝というのを目指してやりますので、引き続き応援よろしくお願いします」

▼松田(ダブルス)

「(シングルスを終えて勝てば2冠というところでしたが)もちろん2冠したいという思いもありました。でも僕は力まず冷静にプレーができたと思います。(決勝戦を戦ってみて相手の印象は)今まではどうやって勝つのだろうというのが正直ありました。でも今回は本当にチャンスがあったなと思います。もちろん悔しい部分もありますが相手も良かったのでそこは相手を称えるしかないと思います。(第2セットはファーストサーブが入らなかったか)ファーストが入らなければ厳しく、自分達で自分達の首を絞めると身に染みて痛感していたので重要視していました。でも入らないからといって、すぐセカンドサーブを打たないといけないので切り替えて、セカンドでも取れるように配球やコースやスピードを考えて打った結果ブレイクはされなかったので最低限の仕事はできたかなと思います。(リーグ戦で得たものは)決勝だけでなく今大会で収穫がありました。1試合1試合自分達がダブルスで成長しているなと実感はありました。それを持ち帰って精度を高くしてリーグ、王座で当たった時には勝てるように準備していきたいと思います」

▼大植(ダブルス)

「(初の決勝の舞台でしたが)準決勝の雰囲気と全然違うなと素直に感じました。そこの雰囲気に飲まれた部分もあって思うようなプレーはできませんでしたが、康希と声を掛け合って最後の1本まで諦めない姿勢は見せられたかなと思います。(相手は近大のなかなか勝てていない相手でしたが)相手はプロが出ている大会でばんばん優勝しているペアですごく強いというのは分かっていました。それ以上に自分達が伸びているなという感覚はあって、やることを決めて挑みました。でも相手の方が1つ2つ上だったなと思います。

(終盤はブレイクバックをされて苦しかったか)そこが1番のキーだったなと思います。申し訳なかったなというのがぱっと出てくる感情です。でもそこは相手の上手さだったなと思います。(リーグ戦に向けて得たものは)計り知れないほど僕の中では学びはあったかなと思います。若干精度が低い部分もありますが、そこは練習で埋められる部分だと思うのであと2ヶ月ちょっとを死ぬ気でやって、絶対取れるD1を確立させていきたいです」

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