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最後まで続けることに意味がある

最後まで続けることに意味がある

私は真面目で頑固らしい。高校生の頃からの友人には、「真面目を擬人化したみたい」と言われてしまうほど。自分で決めたことを途中で投げ出すのは大嫌いで、できないことでも絶対にできるまで諦めたくない。競争するなら誰にも負けたくないし、結果を残すために努力するのは当たり前。自分の今までの行動を思い返してみると、まさに友人が言う通りだと思う。

そんな私だが、中学生の頃、フィギュアスケート(スケート)の6級のバッジテストになかなか合格することができず、スケートから離れたことがある。親もコーチも辞めるなと止めてくれたけれど、本当につらくて耐えられなかった。

辞めてすぐの頃は、すがすがしい気持ちで新しいスポーツにもチャレンジした。でも、やり切れなかった後悔がこみ上げてきた。親とコーチにもう一度スケートをしたいと懇願し、数カ月後にリンクに戻った。その後、無事に6級を取得。エレメンツ7回、ショートプログラム3回、フリースケーティング9回もチャレンジした末につかんだ合格だった。そんな私にコーチが掛けてくれたのは、「続けることができるのも才能よ」という言葉。とても心に響いた。「私の才能は好きなこと、決めたことを最後までやり遂げる力があることなんだ」と思えるようになった。

コーチから掛けてもらった言葉を大切にして、大好きなスケートを高校卒業までの12年間続けた。幼い頃に思い描いていた、荒川静香さんのような世界トップのスケーターになるという壮大すぎる夢は叶わなかったけれど、シンクロナイズドスケーティングの選手として憧れの舞台・全日本選手権に出場した。その上、優勝することができた。最高の経験をさせてもらえたし、本当に満足しかない。カンスポに入ってから、いろいろな人に「スケート続けたらいいのに、もったいない」と言われた。でも、私のスケート人生は思い残すことは何もない。自分の中でもやり切ったと思えたから。

カンスポでの活動はとても充実していたし、たくさんのことを学んだ。何よりも自分自身を成長させてくれたと思う。しかし、この3年間、正直言って楽しいことばかりではなかった。スケートしか知らなかった私にとってはまるで未知の世界。努力だけではどうにもならないこと、理不尽なことがたくさんあった。「辞めたい」。何度も何度も思った。だが、スケートの経験から見つけた私の才能。「やるって決めたのに途中で諦めるなんかあり得へん」。途中で投げ出すことはできなかった。引退した今、あの時諦めずに続けるという選択をして良かったと心の底から思っているし、やり遂げた自分に満足している。

今年は大好きなスケートを現地で取材することができず、悲しいラストシーズンとなった。でも、この3年間で自分のやりたかったことは全てできたから悔いはない。『終わり良ければすべて良し』。全てはこの言葉に尽きると思う。途中で投げ出すことは簡単だ。でも、それはその場しのぎ。「どうしてあそこで辞めてしまったんだろう」と後悔する日がきっとくるはずだ。何事も続けることに意味がある。たとえ辛くて逃げ出したくなったとしても、諦めずに乗り越えることができたのなら、その経験はきっと未来の自分を笑顔にしてくれるに違いない。私はそう信じている。【竹中杏有果】

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