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予感

予感

今でもあの感動を覚えている。2019年バレーボールワールドカップ、日本代表対カナダ代表。相手ブロックの腕の間をきれいに通り抜けて、スパイクが床に落ちる。その瞬間にテレビにくぎ付けになり、気が付けば拳を握って応援していた。私がスポーツ観戦にハマったのがこの時。翌年にはその選手を見たいという一心でパナソニックアリーナへVリーグの観戦に向かうようになる。勝利に沸き立つ会場に、私の体温も上がるのを感じた。そこからは毎日のようにバレーボールの動画やテレビ中継を見るように。しかし新型コロナの規制が緩和され本格的に高校の部活動が始まると、現地に行くことも中継を見る時間も激減する。さらには応援していた選手が引退を発表。それを機に、観戦をすることはほとんどなくなってしまった。

関大スポーツ編集局(カンスポ)の存在を知ったのは関大に入学する前。Instagram(インスタ)で偶然週間プレイバックを見かけたときだ。観戦に熱中していた頃を思い出し、興味をひかれる。しかし、部活動=休みがなくてしんどいというイメージのせいで、なかなか決心できずに時間は過ぎた。テニス、軽音、ラジオと、色んなサークルの見学に行く日々。楽しいとは感じたけれど、頭の片隅にはずっとカンスポがあった。話を聞くだけ、と思い切ってインスタのDMを送ると、部室で活動についてのお話を聞かせてもらえることに。そのときの先輩の「しんどいこともあるけど、学生生活は絶対に充実する」という言葉と、カンスポの話をしているときの熱いまなざし。その姿を見て、私もこんなふうに何かに全力を注ぎたいと思った。そして数日後、体験取材の帰り道。「入部したいです」と、帰りの電車を共に待つ先輩に伝えた。

△初取材、ハンドボール部の関関戦でカメラを構える

学生記者としての生活も、気が付けば半年以上が過ぎた。しんどいと感じることももちろんある。夏休み中の出来事だ。2日連続で取材、新聞編集に1日参加して、また6日続けて取材。そのうち5日は、次の日までにWEB記事を投稿しないといけないハードスケジュール。朝8時前に家を出て、帰宅が20時を過ぎることも。正直、体力は限界だった。それでも、取材を休みたいと思ったことは一度もない。どんな試合展開を見せてくれるのか、どんな表情を見せてくれるのか、どんな瞬間を写真に収められるのか。感情が揺れる瞬間を、写真で、文字で、記録として残したい。会場の熱気も、勝利の瞬間の歓声も、もっとたくさんの人に知ってもらいたい。そんなことを考えながら取材に向かい、記事を書いた。部活動=休みがなくてしんどい、イメージ通りの毎日。そんな中、「いつもありがとう」と選手たちが声をかけてくれる。それだけで体の疲れは吹き飛ぶし、カンスポとして活動する理由をもらえた。

△初遠征、三重で行われたテニスのインカレで撮影した写真を確認する

来年からは、私も班長競技を持つことに。何度か取材におもむいた競技も、見たことがない競技もある。だからこそ、楽しみに思う部分と自分に務まるのかと心配になる部分が。けれどそんな不安も、取材に行けばなくなるに違いない。だっていつも試合が始まると、夢中で写真を撮ってメモをしているのだから。今もこのコラムを書きながら、取材のことを想像するだけでわくわくしている。来年はどんな景色が見られるのだろうか、どんなふうに記事を書こうか。きっと、今年よりもっと目まぐるしい、それでいて楽しい日々を過ごす。そんな予感がする。【森奈津子】

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