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引退コラム。毎年引退する3年生がこの時期に書くコラムを書く時が、ついに自分にも来てしまった。何を書こうかと悩んだ挙句、学生記者としての生活を振り返ろうと思った。書いていく中で、さまざまな思い出がよみがえる。常に大変だと感じていた関大スポーツ編集局(カンスポ)生活だが、今振り返れば心の底から「楽しかった」。人に恵まれ、人の優しさでやってこられた3年間だった。

高校時代、私はアーチェリー部に所属していた。毎日が本当に楽しくて仕方がなかった。部活が休みの日は、朝から1日のモチベーションが上がらないほど。今でも、あれほど夢中になれるものとはこの先出会えないのではないかと感じる。当然、大学でもアーチェリー部に入るつもりだった。本番に弱く、いつも大事な場面で力を出し切れなかった私。だからこそ、大学ではもっとうまくなりたい。出せなかった点数を出せるようになりたい。そう思っていた。

しかし大学1年の春、私の好奇心をくすぐるものと出会う。部活やサークルを紹介する冊子に目を通した時、目にとまったのは「関大スポーツ編集局」の文字。小学生の頃から文章を書くのが好きだったうえに、当時プロのバレーボール観戦に夢中だった私は、選手の間近で試合を見ることができるカンスポに興味を持った。しかし、新型コロナの影響もあり、本格的に部活選びを始めたのは9月に入ってから。実質、アーチェリー部かカンスポの2択だった。どちらのブースにも話を聞きに行き、見学にも行った。困ったことに、どちらの部もいい人ばかり。そのうえ、部活の掛け持ちは禁止ときた。私は人生最大級に頭を悩ませることになる。

小さい頃から人見知りで、自分の話をするのが苦手な性格。無理して話すよりも、聞き役に徹するのが性に合っていた。だからこそ、カンスポの話を聞けば聞くほど不安が大きくなった。初めての場所に行くことも、触ったことのない一眼レフカメラを使うことも、初対面の選手にインタビューをすることも。しかし、不安と比例するように、好奇心も大きくなる。行動力には自信がないくせに、好奇心だけは人一倍強い。そのことを自負しているからこそ、ある先輩の「好奇心があれば大丈夫」という言葉に強く背中を押された。苦しいほど悩んだ末に下した決断だった。後悔するかもしれない。そんな不安で押しつぶされそうだったが、自分で決めたことは最後までやり通したかった。こうして、「学生記者」としての大学生活がスタートする。

最も濃い時間を過ごしたのは、やはり3年の時。常に何かに追われる日々に、疲れてしまうこともあった。だが、なんだかんだそんな忙しい毎日が好きだった。十分すぎるほどの充実感でいっぱいだった。しかし、頑張り続けられたのはKAISERSへの愛があったからに他ならない。担当班長を務めたアーチェリー、バレーボール女子、弓道女子、合気道のうち3つがリーグ戦を行う競技だった。正直激務だったが、毎週取材に行くたびにどんどんチームへの愛着が沸いてくる。顔と名前を覚えた選手たちが奮闘する姿は、本当に輝いて見えた。

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△王座決定戦でのアーチェリー部の集合写真。男女そろって全国で戦う姿を取材できて、本当に幸せでした。

テレビのスポーツ中継などには映らない選手の何気ない行動を見ることができるのも、記者の特権だと思う。むしろ、その何気ない行動にこそ、その人の人柄が現れると思っている。仲間に声をかける姿や、チームの雰囲気を盛り上げる姿。サポートする立場として準備したり、記録や分析をする姿。鼓舞する言葉だって聞こえてくる。ここには書き切れない数々の姿を、私たち記者は自分の目で見ることができるのだ。毎週見ていれば、選手たちがいかに真剣かは伝わってくる。だからこそ、どんどん好きになるし応援したくなる。こんなにも全力で戦う KAISERS の魅力を、どう文章に起こせば世に伝わるのか。これはカンスポ生活を通して永遠の課題だった。私の語彙力では到底表せないほどの素晴らしい試合を見せてくれる選手たち。うまく文章にできない自分がもどかしかった。

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△秋季リーグ最終戦の直前、カメラに向かってポーズを取るバレーボール部女子。強くてかわいくて元気いっぱいの関大女バレは、世界一のチームだと思っています。

それでも、担当部活の方々は「いつも素敵な記事と写真をありがとう」と喜んでくれる。これ以上ないほどのうれしい言葉だった。もっと頑張ろうと思えた。言葉を「伝えられる」ことはこんなにもうれしいのかと、言葉の持つ力の偉大さを身に染みて感じる。いつしか、私自身の感情も相手に伝えたいと思うようになった。応援する気持ちを伝えること、勝ってうれしい時には「勝ってよかった」「おめでとう」、感動したときには「感動した」と伝えること。記者として、世の中だけではなく「選手たち」にも伝えたかったのだ。伝えることで「ありがとう」と笑ってくれる。そのわずかな時間が幸せだった。カンスポとして「 KAISERS のファンを増やそう」と活動してきた私自身が、すっかりファンになっていた。

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△リーグ戦でグータッチをする弓道部女子の奥野早紀前主将(化生4=左)と小原沙輝(法3)。笑顔が弾けるこの写真は、私のお気に入りの1枚です。

時には自分を犠牲にすることもあった3年間。苦しくてもう嫌だと思うことが何度もあった。でも、そのたびに担当競技の選手たちの姿が目に浮かんだ。私にとって 、KAISERS は原動力だ。そんな KAISERS を追い続ける学生記者としての時間は、他の何にも代えられないほど貴重な時間だった。私がその姿に夢中になったように、後輩たちが書く記事や写真を見て、これから少しでも多くの人が KAISERS を応援してくれることを願う。【横関あかり】

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△春企画で撮影した、合気道部の原侑也(社2=左)と荒木康裕主将(法3)。試合がなく取材に行くことはできませんでしたが、合気道愛溢れる2人のお話はとても面白かったです。

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