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伝えたい。

伝えたい。

「言葉」
それは、処方箋にもなるが、時には牙をむく。いわば、諸刃の剣だ。

2022年下半期で日本が熱狂したスポーツといえばサッカーだろう。アルゼンチン代表が優勝して終幕したW杯。ドイツ、スペインを破る快進撃で日本列島が歓喜に包まれたのもどこか懐かしく感じる。しかし、うれしいことばかりではない。世界規模の大会で開催されるごとに問題になることがある。それは、SNS上で起こる誹謗中傷だ。決勝でPK戦の末敗れ、連覇を逃したフランス代表。その中でも、PKを外した選手が人種差別による誹謗中傷を受けていることを初め、今回の大会でも問題視された。

 残念なことに、誹謗中傷は学生スポーツの世界でも存在する。12月4日にラグビーの早明戦が国立競技場で行われた。観客は35438人。大観衆が見守る中、明大が白星を挙げた。しかし、試合後に明大の主将が「数えきれない誹謗中傷をありがとうございます。見返せるように頑張ります」とSNSに投稿。勝利したチームの主将がなぜこのような投稿をしなければならないのか。真相はわからない。しかし、投稿された事実は残る。明大はその後、大学選手権の準々決勝で早大に敗れた。試合後の取材で彼は、誹謗中傷で苦しんだ1年間だったことを明かしている。この出来事は学生スポーツに携わる私にとって悲しく思う。関大体育会でも同様の誹謗中傷が起こっているのではないか。そう考えると、恐ろしくなる。大学生が最後の青春の全てをかけて日本一を目指す姿を、私は応援してほしい。4年生は、卒業後も競技を続ける人もいれば、大学で競技人生を終える人もいる。4年生の魂がこもったプレーにいつも胸を打たれる。たとえ、『黄金世代』と称されても、1年間で必ず幕を閉じる儚い学生スポーツの世界。世代によって映し出される色はとても美しく、輝くのだ。

△国立競技場

 問題視されていても、なかなか解決の糸口が見つからない誹謗中傷。その中でも、私が今できることは何か。私はラグビー部を取材させてもらっている。選手の勝利への執念、日々練習が終わっても自主練を重ねる選手たち。そして、試合でチームのために身体を張り続けるその姿。同じ学生の立場で取材を続けていると言い表せないものを感じる。それは、関大だけの話ではない。他大学の編集部の友人と話していても同様の話になる。それぞれの目標に向かって練習を続けているのには変わりはないのだから。選手の情報がある分だけ、視野が広がる。きっと、微々たることかもしれない。だが、誰かがそれを見て「〇〇選手を応援したい」そう思ってくれるだけでいい。1人でも多く試合を楽しんでもらえる人を増やしたい。そう、学生スポーツを盛り上げることが私の使命だ。【永松愛】

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