学生記者。その言葉通り、記者活動を行っている学生のことだが、多くの人にとって馴染みのない言葉だろう。関大にも学生記者としての活動をする部活動がある。関大スポーツ編集局だ。関大には45の体育会部活動があり、その全ての試合に対し取材を行い、結果速報を流したり、スポーツ新聞を制作しているいわばKAISERSの広報的存在だ。
出会い
2019年4月、キラキラJDになることを夢みて関西大学に入学。大学生といえば、勉強はほどほどに、サークル仲間と遊びに行ってそのままカラオケオールというイメージ。その仲間を探すため、まずはサークル探しを始めた。しかし、新歓めぐりをしているとどうもサークルという活動形態が私の性格に合わない。理由は明確だった。私が温室育ちかつ真面目すぎたのだ。幼稚園から今まで、公立の学校に通ったことがなく、「ノリ」が分からない。大人数でワーキャーよりも、少人数で質のいい付き合いをしたい。後はなんの生産性もない無駄な時間を過ごしたくなかったことも今思えば合わなかった要因の1つだろう。結局、真面目からの脱却は出来なかった。
そこで、真面目ならいっそ真面目を貫いてやろうと体育会の部活動を探した。運動はできない上に、人の世話は苦手なのでマネージャー以外。そんな部活はないように思えたが、新歓ハンドブックの最終ページに関大スポーツ編集局の広告を見つけた。「新聞作りに興味がある人、文章や写真、スポーツが好きな人大歓迎」の売り文句。スポーツにはまるで興味はないが新聞作りや写真には興味があるし、文章を書くことも嫌いではない。私にピッタリの部活動だと思った。
転機
入部したはいいものの、やはりスポーツには興味がない。もちろん、取材するにあたってある程度のルールは勉強するが、詳しくは分からない。盛り上がり所が分からないからスポーツ観戦としても楽しくないし、KAISERSへの愛着もないから勝ってもうれしくない。他の同期は各々が好きなスポーツにどんどんのめり込んでいたので、劣等感に苛まれることばかりだった。
しかし、そんな私にも転機が訪れる。忘れもしない19年10月16日アメフト秋季リーグ対立命大戦。関大が9年ぶりに立命大を下したのだ。先制は関大だったものの、ジリジリと差を詰められ、試合時間残り2分というところで逆転される。しかしその直後、関大オフェンスのロングパスが通り、再び逆転に成功。関大側の観客全員で試合終了までカウントダウンし、勝利を祝福した。勝利の瞬間の選手の雄叫びや嬉し涙、観客の歓声全てが私の心に刺さり、スポーツの持つパワーに気づかされた。関大が勝って本当に嬉しかったし、楽しかった。この瞬間を逃すまいと無心でシャッターを押し続けた。やっと、興味のあるスポーツに出会えた。
次の転機は、20年11月15日の射撃取材。当時の4年生の引退試合だった。試合後、4年生の選手たちに「坂井ちゃん1年間取材来てくれてありがとう」と引退試合特有のやりたいこと、話したい人がたくさんいる中で、私にお礼を言うためだけの時間を真っ先に作ってくれた。今までは取材に行くのが仕事だから行く、とどこか作業的なところがあった。しかし、この時初めて本当の意味での誰かのために何かをする奉仕的な役割の大切さに気づくことができたし、私の活動が選手に還元できるなら、もっと選手のために頑張ろうと心から思うことができた。
現在
3年生になり、編集局の部長になった。入部当時の私に言っても信じないだろう。それどころか、先輩には1番に退部すると思われていたらしい。同感だ。入部時の同期は7人だが今は3人。ここまで粘り強く続けられているのは、たくさんのいい試合、いい選手に出会えたからに違いない。テレビでは高校スポーツかプロしか取り上げられないが、大学スポーツには緊張感がある。高校やプロと違い、負けると競技人生もそこで終わり。その気迫に毎回圧倒されるし、どう読者に伝えるのがベストか悩まされるが、それを悩んでいる時間がとても楽しい。最近友人に「ルナは部活のこと話すとき、イキイキしてるね」と言われた。思い描いていたものとは180度違う学生生活ではあるが、どうやら私はキラキラした生活を送れたみたいだ。【坂井瑠那】
コメントを送信