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未完成

未完成

なにかと頼られる人生だった。三弟妹の長女として、共働きの両親に代わり、「宿題はもうやった?」「部屋はしっかり片付けて」と声をかける。まるで小さなお母さんのようにかいがいしく面倒を見た。小学校でも進んで先生の手伝いを引き受け、ついたあだ名は「お母さん」。成績表の備考欄に何度「クラスのお母さん的存在だ」と書かれたことだろうか。中学、高校では生徒会に入りながら、放送、ボランティア、囲碁の3つの部活に所属した。中高一貫校だったため、放送部は中学3年の時に先輩が全員引退。そこから高校3年の夏まで部長を務めた。

「誰かを喜ばせたい」。自分の些細な行いで、誰かの役に立てるのが何よりうれしい。また、しっかり者だと褒められたり、頼られたり、後輩たちが慕ってくれるのも原動力だった。それでいて、自分で選んだことに関しては一切妥協できない性格。そのため、誰かに甘えることが苦手で、頼ることができなかった。何かが疎かになるくらいならと、自分のことを後回しにして、無我夢中で動き続けることもあった。

この春、大学生になった。自分の直感を信じ、関大スポーツ編集局(カンスポ)に入部。先輩がいる環境に身を置くのは約4年ぶりだ。うまく関わることができるかな?同期と仲良くできるかな?少しの不安を抱え、これから一体どんな生活が始まるんだろうかと期待に胸を膨らませた。

カンスポの活動は決して1人ではできない。全体育会の取材に加えて、年に約6回の新聞制作。取材する競技はそれぞれ担当班に分けられているため、一見、個人プレーに見えるかもしれない。しかし、その集大成が新聞であると思う。真っ白な状態から、企画、構成、記事の執筆、小さな表に至るまで、部員全員の力を合わせて完成させる。4面、6面の新聞には、部員の工夫や努力、こだわりが詰まっている。

カンスポに入り、少しずつ誰かに頼れるようになってきた。アイディアを出すのが得意な人、デザイン力がすぐれている人、機械に詳しい人、一人一人が違う強みを持っている。得意なことがあれば、不得意なこともある。頼ることは自分がその人を信じている証拠。そう考えると、不思議と誰かに頼ることができるようになった。今、私はまだこれといって得意なことがなく、頼りない未完成な状態だ。しかし、お互いに手を差し伸べ合えるよう、完成した自分に近づけるよう、これからも努力を惜しまない。

先月、ある先輩にこんな言葉を投げかけられた。「自分の思うままに真っ直ぐ突き進むところはすごく良いところではあるけれど、たまに周りが見えなくなるときがある」と。心にとどめておこう。1人で突っ走りそうになった時、きっと思い出す。

桜が舞い散る中、新歓でカンスポに入部する決意を固めたあの日からもうすぐ1年。来春からは、弓道、剣道、卓球、バレーボールの班長を務めることに。今まで以上に緊張感と責任感が芽生えた。先輩方が自分の担当競技に誇りを持ち、愛してきたように、その思いをつないでいく。あっという間に過ぎ行く3年を、思い切り、悔いのないように活動したい。来る引退の日に、カンスポに入ってよかったと心から思えるように。【貴道ふみ】

初めて記事を担当した310号を持つ

 

 

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