◇ 第90回全日本フィギュアスケート選手権大会4日目◇12月26日◇さいたまスーパーアリーナ◇
[ペアフリー]
1位 市橋・柚木組 80.95
[ペア最終結果]
1位 市橋・柚木組 115.72
[男子フリー]
7位 三宅 162.30
13位 須本 131.07
[男子最終結果]
6位 三宅 252.82
15位 須本 199.62
北京五輪代表選手選考会も兼ね、白熱した戦いとなっている今大会。競技最終日はペアフリーと男子フリーが行われた。
最初に行われたのは市橋翔哉(安全4)・柚木心結(京都宇治FSC)が出場したペアフリー。お互いを見つめ合うポーズから曲が始まると、2回転のツイストリフトを決める。続けて、3回転トーループ+2回転トーループを2人の息ぴったりに着氷。ペアリフトの後、スローの2回転ルッツを余裕を持って決めると勢いに乗る。スピードを上げて次々と技を成功させていき、2人は笑顔で氷上を舞った。ショートプログラム(SP)で転倒してしまったデススパイラルも成功。今できる最大限の演技を披露し、終了後には2人で抱き合って喜ぶ様子を見せた。「心の底から楽しめて、また新しいペア人生のスタートを切れたなというスッキリした気持ちが生まれました」と今後に期待のできる全日本選手権となった。
男子フリーには須本光希(政策3)、三宅星南(情2)が出場。第2グループの須本は、白と紫の衣装で登場した。冒頭の3回転フリップは着氷で手をついてしまうも、次の3回転トーループ、3回転ルッツ+2回転トーループを着氷まできれいに決める。後半に入ると、さらにコンビネーションジャンプを成功。最後のジャンプは着氷でバランスを崩したが堪え、クライマックスではステップシークエンスで滑らかなスケーティングを披露。『ロミオとジュリエット』の曲に合わせ感動的に演じた。曲が終わると「ほっとした」と小さくうなづく様子も見せる。「この全日本選手権で引退してもいいかなという気持ちで会場に来た」というが、フィギュアスケートの楽しさを再認識し来シーズンへの励みとなる演技となった。
SPで6位につけ、五輪出場有力選手が集まる最終グループに入った三宅。「ずっと信じ切れていない自分がいた」とSP、フリーともに最終グループに入ったことに驚きを隠せなかったが、落ち着いた様子でリンクに入った。フリーの楽曲「白鳥の湖」を象徴するような白色の衣装で登場した三宅。1万8千人の観客が見守り緊張感が高まる中、4回転サルコー+2回転トーループを華麗に成功。立て続けに単独の4回転サルコーも着氷し会場を沸かせた。中盤のトリプルアクセルで転倒したものの、曲調が変わった後半では全てのジャンプを決め、長身を生かしたダイナミックなステップシークエンスやスピンで魅了。SPに続き、自己ベストを上回る得点を叩き出し、最終結果で6位入賞を果たした。
大勢の観客の声援を力に変え、それぞれがベストを尽くした今大会。すぐに次の全日本選手権に向けた1年が始まるが、選手たちはさらなる高みを目指し成長し続けるだろう。【文/写真:森本明日香】
▼市橋
「(フリーの演技を振り返って)曲が流れ始まるまでは結構自分の中で色々考えていて、どうなるかなと思っていたんですけど、曲が流れ始めたらやっぱり体が勝手に動き始めて、もう自分の体に任せようと思って、あまり考えずに最後まで滑れたので、すごく気持ちよく滑り切れたかなと思います。(終わった時の気持ち)すごく自分の中でたまっていたものがスッキリしたというか、終わった瞬間に新しい自分に生まれ変わったようなすごく気持ちよく。言葉で言うのが難しいけど、今までずっとたまっていたものがあってそれが一気になくなって心の底から楽しめて、また新しいペア人生のスタートを切れたなというスッキリした気持ちが生まれました。(今後どんなペアになりたいか)ペアというカップル競技は2人で行っていく競技なので、どちらか一方だけがこうしたいああしたいと思っていてもだめな競技なので、2人でしっかり心がつながれるように1つ1つ確認し合って、そしていつか確認しなくても今こう思っているだろうなと考えずに行動できるようになったらほんとのペア選手だと思うので、心で話し合いができるようにこれからもっと頑張っていきたいと思います。(どのように練習しているか)僕たち2人での練習は、平日だったり土曜だったり、週5日くらいの練習2、3時間くらいは確保できていて、すごく練習環境は充実していて、高橋成美先生のレッスンも、全日本前などはほぼ毎日1時間のレッスンをしていただいていて、成美先生も舞台とかいろいろなことをやっているのですごく忙しい中時間を作ってくださっているので、本当にありがたいですし、教え方もすごくわかりやすく伝えてくれるので心強い存在です。(練習プランは)普段僕が考えるんですけど、その日の体調とかに合わせて、けがだけはしたくなかったので、調子悪い技とかあったら多くやらずに違う技をメインにしたり、体調面だけ最優先してその日のメニューは考えました。(ペアの経験がない柚木と組むことについて)僕自身も長い間ペアをやっていたわけではないですけど、初めての人とペアをやるというのはもちろん一から始めるということでどうなるかわからなかったですけど、それでも心結ちゃんとトライアウトをしてみてすごく合わせやすいというか、これなら勝手に合ってくるなというのを直感で感じて、あとは心結ちゃんの人柄というか、癒しというか、リラックス効果のある人がパートナーだったら自分がありがたいなと思ったので組むときに迷いは全くなくて、一発サインというやつです(笑)。(来シーズンの目標)もちろん技のスキルだったり難易度はどんどん上げていかないといけないけど、今日滑ってみて感じたのは、本当に楽しく滑っていたら自然といい滑りができるなというのを西日本選手権の時も感じて、全日本の今日もすごく感じたので、そこは忘れずにまずは楽しむ、そしてそこにどんどん技の習得をつなげていくというのを心がけて来シーズンも楽しみながら成長していきたいです」
▼須本
「ショートと同様にフリーも自分なりに楽しく演技ができ、スケートが楽しいというのは練習でも本番も感じたまま今大会を終えられたかなと思います。無観客試合が続いたり、自分の体調のこともあって満足いく練習ができなかったというのも結構な日にち続いたので苦しかったんですけど、このたくさんお客さんがいる中で滑ることができて全日本選手権もフリーまで滑れて良かったなと思います。(演技を終えた時の気持ち)ほっとした気持ちとよく体調が全日本までもったなと。この後どうなるかわからないですけど、自分の体調がもってくれたことにすごく感謝して、やっと全日本選手権まで終わったなと思ってうなずいたんだと思います。ショートが終わった後くらいから体調がよくなくて、昨日の練習、今日の朝の練習、6分間練習まで、試合の緊張もあったと思うんですけど、ピークなくらい苦しい時間だったんですけど、それ以上に楽しいという気持ちもあったので、フリーまで滑り切れて良かったです。(衣装について)1回地方大会では着ていて、本当は1年間同じ衣装で出る予定だったんですけど、全日本選手権は特別な舞台なので自分が気に入った衣装で出たいと思いました。(今大会の収穫)この全日本選手権で引退してもいいかなという気持ちで会場に来たんですけど、練習本番通して楽しい気持ちと、昨日の朝にある方からメッセージをいただいて、全然違うスポーツの方なんですけど、お互い頑張りましょうというメッセージだったので、もう一回考え直して、来シーズン体調を治して気持ち良く全日本選手権に出場できたらと思います」
▼三宅
「トリプルアクセルの転倒とか最初のトリプルアクセルのコンビネーションの後半がダブルになってしまったり、後半になるにつれて緊張で息が上がってしまった部分はあるんですけど、その中でもショート、フリー通して自分らしく滑り切れたのですごく良かったです。(自己ベストを大きく上回る点数が出たが)点数の部分がついてきたのは良かったですけど、後半の3回転+3回転のジャンプであったりとか冒頭の2本の4回転であったりとか今まで成功できていなかった演技内容の部分はすごく励みになりましたし、先生とも良かったねと話をしました。(最終グループで滑ることについて)ショートプログラムもフリースケーティングも両方最終組で滑れると思っていなかったので、本当にいい経験をさせてもらえたなと思いますし、その中でも自分らしく練習から本番まで滑り切れたと思うのでそこは1つの強みになったと思います。(今後の目標)来年のオリンピックが終わった次の4年後のオリンピックもそうですし、これからの競技生活で三宅星南というスケーターをもっとビッグなスケーターにしていけたらと思います。(最終グループで滑ると決まった時の気持ち)ショートが終わってから、最終組で滑ると聞いた時は実感がなかったというか、ずっと信じ切れていない自分がいたんですけど、あまり意識せずに練習できたのは本当に成長できた部分だと思います。(今後について)今回4回転を着氷できたのは良かったんですけど、これからはもっと複数の4回転を入れていかないといけないので、そうしないと世界では戦っていけないですし、トップに近づいていけないので、4回転を2種類、3種類と増やしていけるように頑張りたいです」
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