三宅2位、鈴木な3位で表彰台

◇2022近畿フィギュアスケート選手権大会◇10月10日◇尼崎スポーツの森
[男子FP]
4位 木科 127.90
6位 須本 126.13
7位 三宅 121.86
[女子FP]
4位 鈴木な 77.53
6位 久保舞 74.71
8位 木下 69.20
14位 久保智 61.52
[男子最終結果]
2位 三宅 205.30
6位 須本 191.25
7位 木科 190.06
[女子最終結果]
3位 鈴木な 125.34
5位 久保舞 117.05
8位 木下 104.90
12位 久保智 95.45
2日目のフリースケーティング(FS)。1日目のショートプログラム(SP)の順位と逆の順番で演技が行われた。そして総合結果で、男子では三宅星南(情3)が2位。女子は鈴木なつ(人1)が3位で表彰台に輝いた。


まずは、SP7位で演技を終えた木科雄登(安全3)が登場。フリーは昨年からプログラムを変更し、『Primavera』で挑んだ。冒頭から、練習で入念に確認していたトリプルアクセルをきれいに着氷させる。続いて高く跳び上がり、3回転ルッツも成功。中盤はアクセルやフリップジャンプが1回転となってしまうが、穏やかな曲調に変わると、立て続けにコンビネーションジャンプを決めた。終盤のコレオグラフィックシークエンスでは、切なさが感じられる表現力ある滑りを見せた。

続いて須本光希(政策4)は、バイオリンの柔らかな音色とともに動き出した。序盤からダブルアクセル、3回転ループ、3回転ルッツ+2回転トーループを次々と成功させる。上場の滑り出しを見せた勢いそのままに、続く3回転サルコーも着氷。力強い歌声が響き出すと、合わせて安定した速いスピンを披露した。ジャンプの基礎点が上がる後半3つのジャンプも全て着氷。終始優雅で丁寧な滑りを披露し、ノーミスの演技を見せた。

男子FP最後には三宅が出場。曲は新プログラムである『タイタニック』。映画の主人公、ジャックをモチーフにした衣装で登場した。そして、冒頭から三宅は進化を見せた。十分なスピードで高く跳び上がり、4回転トーループを成功。初めてのチャレンジで素晴らしいジャンプを見せた。さらに4回転サルコー+2回転トーループもきれいに決めた。ここまで絶好調の滑り出しを見せたが、続く4回転サルコーとトリプルアクセルは連続で転倒してしまう。そして、ここでアクシデントが起こる。荒々しい曲調に変わったところでステップシークエンスに移ると、壁に衝突してしまった。その後のジャンプも回転不足になるなど思うように力を出し切れず「めちゃめちゃ悔しい」と演技後に語った。しかし、3本の4回転ジャンプや難易度の高いジャンプをたくさん構成に入れ、最後まで攻める姿勢を貫いた。

ノービスの演技を挟み、女子のFPが行われた。関大最初は久保智聖(人2)。最初のジャンプ2本はミスが出てしまうも、2回転ルッツを着氷させた。後半はうって変わって、2本のコンビネーションジャンプやシングルアクセルを成功。最後は審査員の前で美しいステップを披露し、演技を終えた。

木下咲良(文1)は、大人なムード感のある曲からスタート。冒頭からコンビネーションジャンプを見せる。少し回転不足となったが、きれいに着氷した。中盤にもコンビネーションジャンプやスピンを成功させていく。そして最後はスウィングしたアップテンポな曲に。勢いある動きのステップシークエンスで盛り上げた。

最終グループに久保舞和(人4)が登場。冒頭から大きな幅のある3回転トーループを決める。中盤のコレオグラフィックシークエンスでは、しとやかな身振りで曲の世界観にあった滑りを見せた。そして終盤のステップシークエンスでは、身体を大きく使い、指先まで意識したステップを披露。最後はレベル4の速くて安定したスピンを決めた。

そして関大最後にリンクに入ったのは、鈴木な。曲は『オペラ座の怪人』だ。1本目から3回転ルッツを着氷。少し回転不足となったものの、高さのあるジャンプを見せた。また、2つのスピンでレベル4を獲得するなど技術力を見せつけた。終盤には緩急のついたステップで、躍動感のある滑りを披露。演技後は笑顔を見せた。

12月の全日本選手権に向けて始まった最初のブロック予選。それぞれの選手が実力を発揮しつつも、課題を見つけた。再来週には学生の大会である西カレ、さらにその翌週には西日本選手権が控えている。タフなスケジュールの中で、選手たちはさらなる躍進を目指す。【文:松尾有咲/写真:貴道ふみ】
▼木科
「木下トロフィーが今シーズンは初戦で、そこで自分の中ではやることをやって挑んだつもりだったんですけど、あまり良い結果ではなかったので、この近畿ブロックに向けて基礎的なところからやっていこうと思ってこの大会に挑みました。(手応えは)かなり仕上がった状態でこの試合に臨んではいたんですけど、ショートでアクセルがシングルになってしまって、フリーでは1本決めることができたんですけど、目標にしていた2本を入れることができませんでした。いいところもあったけどその中で反省点もありつつ、収穫のある試合になったんじゃないかなと思います。(昨シーズンの腰のけがから再出発となったが)仕上げてこれたと言いましたけど、これだけミスが出たり、足りない部分が明確になったので、腰のけがを再発しないことを第一に考えながら、今回見つけた課題を全日本に向けて完璧にしていきたいと思います。(今のけがの状態は)今はもう大丈夫です。同じジャンプでジャンプを跳ぶ直前にエッジが抜けてしまって腰を打ってというけがを2回繰り返してしまったので、そのミスをする可能性を頭の片隅に入れて気をつけながら練習しています。(フリーはどんな気持ちで滑っているか)樋口美穂子先生が振り付けで、テーマは儚い恋、かなわない恋がテーマなので、切ない表情だったりを意識しながら演技しています。曲が鳴った瞬間に感情に入り込めるという点では、まだ足りないところはあるけど、自分のものになってきたなというふうに今日のフリーを終えて感じました。(樋口先生の振り付けについて)ずっとお願いしたかった先生です。自分の中で新しい動きだったり挑戦的な部分もあるんですけど、まだまだ磨いていくべきプログラムだと思っています。ご指導いただきながら、さらにいいプログラムにしていきたいです。かっこいい自分を見せたいですね。(今後に向けて)まず西日本では今回の課題をしっかり完璧にすることが目標で、その延長線上にショート、フリーをノーミスにして、マイナスのないプログラムにすることを目標にしています。全日本では12位以内に入って、国際大会に出場することや強化選手に戻れるようにというのを1番の目標にしてやっていきたいです」
▼須本
「ショートに関しては、ジャンプ3つとも降りられたというのは、去年不安だらけだったので、今年は初戦からいい形でスタートできたかなと思います。フリーは、去年ショートであまりいい演技ができなくてフリーの公式練習でうまい子たちと練習できなかったのが悔しくて。今大会は上手な方と一緒に滑るところまで戻って来られたというのが1番良かったと思います。(ショートとフリーを今後どうしていきたいか)体力面もそうですけど、1番はジャンプでアクセルと、4回転はどうなるか分からないですけど、アクセルまでは今シーズンどこかで1回は降りたいなとすごく思っています。アクセルまでショートもフリーも構成に入れられるようにしたいなと思います。(4年生で競技者を引退すると決めた理由)けがだったり体調の面で、去年の全日本選手権も引退するというふうに思って臨みました。4年生で辞めるというのは大学に入る前から自分の中で決めていたことで、今年やめようというのは、やりきったわけではないですけど、今の体調面であと何年も競技者としては続けられないかなというのが自分の中で出てきたので、去年の全日本が終わってからもう1年だけやると覚悟を決めました。(今年の全日本選手権は大阪で行われるが)前回大阪でやったときは全日本ジュニア7位で落ちてしまって、大阪の全日本出られていないので、地元大阪でショートフリーともいい演技をして滑りきれるようにというのはずっと心の中にあります。」
▼三宅
「今はめちゃめちゃ悔しいです。最初の4回転3本、集中してパンクせずにしめきれた部分や、4回転トーループを初めてのチャレンジで成功できたというのはいい収穫になったんですけど、1番自信を持ってて1番頑張りたかった、4回転以外の要素をしっかりきめるという部分が全くできなかったので、そこに関しては本当に悔しいです。今後頑張っていかないといけないなと感じました。(壁にぶつかるアクシデントについて)思ったよりフェンスによりすぎてしまった、エッジが引っかかったという感じです。ところどころでミスが出てしまって、ステップの前にも2回転倒してしまって、思うようにステップが踏めていませんでした。そこで少し焦りとかもあって、ああいう結果につながったと思います。そういう部分も含めて4回転を1本増やす難しさも感じれましたし、それを感じられただけ良かったかなと思います。(今大会を経て)最初の4回転に強い気持ちでチャレンジして成功できたことは自信につながると思いますし、挑戦したからこそ後半に沢山失敗してしまったと思います。ここでこれだけ失敗したので、次はもう少し落ち着いて演技ができると思います。良くなっている部分も悪いところも分かった試合になって、いいシーズン初戦になりました。(今シーズンの目標について)4回転を今シーズンはフリーは3つ入れるということや、他の部分のミスを少なくしていきたいというのがあります。演技の部分では、去年はジャンプを成功させることに集中していたんですけど、シニアでトップを目指す上では感情のこもった演技、お客さんに何か伝わる演技ができる選手に少しでも近づけるような練習を積んでいきたいです。ジャンプは安定させていきたいですし、それ以外の部分ももっともっと良くしていけるように頑張っていきたいです」
▼鈴木な
「ジャンプのミスがあったので、そこは次回修正したいと思うんですけど、全体的にはスケーティングは滑れたかなと思うので良かったです。(最初のジャンプについて)着氷が回転不足だったので、それはマイナスではあるんですけど、練習よりは良かったのでその点については満足しています。(ステップについて)要素の中では1番くらいに練習してきてて、私も気に入っているので楽しんで滑ろうと思って滑りました。(次の大会は西カレになるが)今回の課題は明確なので、時間はないんですけどしっかり練習したいと思います。もし団体でということなら貢献できるようにしたいですし、自分の演技については納得できるような演技にしたいです」