GWSの末青学大を下し、インカレベスト8!

◇第94回日本学生選手権大会◇対青学大◇12月26日◇帯広の森アイスアリーナ◇
[第1P]関大1-1青学大
[第2P]関大1-1青学大
[第3P]関大0-0青学大
[ゲームウィニングショット]
関大2-1青学大
目標としている 日本学生選手権大会(インカレ)ベスト4に一歩近づくため、 青学大との2回戦に臨んだアイスホッケー部。過去に交えた機会はなく、情報の少ない相手ではあるが、関東2部チームということから「僅差での勝利になるとは思っていなかった」(FW泉大我=人3)。シュート数は関大がどのピリオド(P)でも上回っているものの、ゴールの数は同じ。青学大の堅い守備に悩まされた。60分では勝敗がつかず、ゲームウィニングショット(GWS)で決着をつけることに。リンクに立ったGK石田龍之進(経4)、FW嶋野瑛心(文2)、FW泉が勝利への執念を乗せたプレーを見せ、青学大を倒した。

第1P開始と同時にリンクを駆け回る選手たち。前日の九大との一戦はその後の試合に向けて調整もかねていたが、その調整は無意味となすほど「スピード差が激しかった」(FW嶋野)。そんな中でもFW根本慎太郎(情2)がゴール前で粘るなど、早々から攻めていく。だが51秒、オフサイドによるフェイスオフで青学大にパック支配の権利を与えてしまう。 敵陣でのフェイスオフであったことから、自陣にメンバーが集まっておらず、相手がダンプする間に取り返すことができない。さらに相手がゴール左前から打つときに関大の守りがGK1枚となる。パックはGK石田の横を抜き、ゴールラインを割った。

すぐにでも1点返したい関大は以降4分のパワープレー(数的有利な状況)の好機を逃したくない。秋季リーグでも得点につながったスプレッドの形でパスを回していく。DF熊谷天祐希(情3)がゴール前に待つFW佐々木隆弥(情3)に渡そうとするが、これは相手のスティックに吸い込まれる。パワープレーも残り14秒のときに自陣でのフェイスオフからアタッキングゾーンへ上がってきたDF佐々木亮悦(情4)は逆サイドのFW髙秀稜(社1)にパス。しかし、これも相手GKにキープされ得点とはならない。



再びパワープレーとなったのは14分。残り42秒のときに自陣でのフェイスオフが行われる。FW佐々木隆が関大パックにし、迎えたDF佐々木亮がゴール前にシュート。それはゴールとはならないが、「ここを叩き入れるしかない」とFW髙秀。混戦を制し、ネットを揺らしてみせた。試合が振り出しに戻ったその後は、第1P残り1分にFW黒須誠眞(情1)がセンターラインで相手のパスミスしたパックを奪い丁寧にシュートしたものの、相手GKにつかまれて2点目とはならず。第1Pはイーブンで終了した。


第2P、同点の状況を先に破ったのは関大だ。セットが3セット目に交代してすぐ、FW黒須がフォアチェックし相手がこぼしたパックをFW川島広暉(人3)が拾う。FW川島からセンターラインで託されたFW山根早加(社1)が相手DFを1人抜き、そのまま角度のあるシュートを放つ。そのシュートはゴールへと変わり、ベンチ、スタンドを沸かせた。6分でこの日初めてのキルプレー(数的不利な状況)がやってくる。相手にパックを支配される不利な状況下でも、食らいついていくFW嶋野がチャンスを作る。相手をプレスし、奪ったパックをアタッキングゾーンまで運びFW泉に渡すと、FW泉もコントロール良いシュートを出すが相手GKが跳ね返す。その後は攻守ともに動きのないままキルプレーの時間を終える。


第2P折り返し時点を過ぎると、再びキルプレーに。この2分間はずっと守りの姿勢を取る。FW高橋佑萌(ゆうき=人4)とFW山根がGK前の壁となり絶対に入れさせない形を作る。GK石田も全身でキープし続けるが、ブルーラインからの相手シュートに対応できず、再び同点となる。残り2分には4分のパワープレーとなり、ここで3点目を取りたいところだ。DF鈴木郁也(情2)が相手GKのスクリーンに回り、その間にDF岩瀬谷拓哉主将(社4)がシュートを打つ。しかし、好機は生かせず。2-2で最終Pを迎える。


第3Pも互いに得点を許さないまま20分が終わり、勝敗はGWSで決めることになった。関大は後攻。GK石田のキープに期待が残る。センターラインに置かれたパックを青学大選手が大きな弧を描いて右からGK石田に迫る。GK石田はパックが来る先にスティックを構え、当ててみせた。次に関大のターン。登場したのはFW嶋野だ。ブルーラインからGKに真正面から詰め寄り、目の前で方向転換する方法は相手GKを悩ませ成功。勝ち星を1とする。次は青学大に星を与えてしまうが、次のFW泉が成功すると勝利はより近くなる。中高時代もGWSの経験をしたことがあったFW泉だったが、同時に外す経験もしていた。「ネガティブな考えをしないように」挑んだ大学でのGWS。壁近くからゴール真ん中に詰め寄り、ゴールネットを突きさすようなショットで勝ち星を重ねた。決めたあとのFW泉の目には涙が。ゴールを決められたことに対する安堵からだった。今まで、良い思い出ではなかったGWSが思い入れのあるものに上書きされたに違いない。最後にGK石田が止めることができればそこで勝利が決定する。今まで2人とは違う方向からの攻めにも困惑することなくシュートの手を止めてみせた。2-1で関大の勝利となった。



接戦は予想していなかった。しかし、今日の試合内容だったからこそ得た感触がある。明日の中央大とのベスト4をかけた争いに、今日接戦を制したことの自信を携えて出陣する。【文:木原綺音/写真:上田紫央里】
▼石田
「(試合を振り返って)攻められる時間は昨日に比べると多いけど、それでも全体的には6、7割攻めてるゲームで、そういうゲームになるとゴーリーは自分のテンポがつかみづらい。定期的にシュート来ないと集中力が落ちてしまう。あと、アイスホッケーは1番点数が生まれやすいところは守っているところから攻めるというラッシュの形。そういうときって攻めていたのに次攻められるから守りの人数が足りなくなる。そういう部分を見ると、長い間相手陣地で攻めていてもGK中心に守っていると意外と点数が入らない。今日は開始早々の失点とペナルティキリングの失点だったので、あまり関係が無かったが、そういうリスクがあるということも頭に置いていた。(ペースをつかんだのは?)今日は自分のペースにはできなかった。相手も必死にやってきているし、こっちも必死でやってるけど僕たちはここで負けられないという精神状態が逆に焦りに出てしまうので、今日の場合は勝ったらラッキーというより絶対に勝ちたい試合だったのでプレッシャーがあった。2-2で10分を切ったときも、俺たちいけるぞ!というより次失点したら負けてしまうという終われている立場の心境だった。正直試合が終了するまでよし!という気持ちになれなかった。かなりしんどい精神状態でプレーしていた。(GWS前)今日の試合は開始早々失点してしまったり、せっかく逆転してくれたのに第2Pで失点してしまったり、自分の責任を果たせなかったという気持ちがやはりあって、それを取り返すチャンスだと思って挑んでいた。(明日に向けて)1失点目は試合序盤で今日の自分の調子をまだ把握できておらず、反応も鈍い状態だったから、もう少し両手を前に出して、きれいに止めるという意識というより、体に当てに行く気持ちでいきたい。2失点目はシュートを打たれる前からポジショニングのずれを感じていて、足運びが雑だったというのがあったため、そこをもう少し丁寧にしようと思う。今まで、ゴールの周りでたくさん動く練習してきたので、頭を冷静に保って、今までの練習技術を試合で使っていきたい。」
▼泉
「(試合前)次のベスト8であたる中央大との試合を見据えて、2回戦は1回戦よりはレベルが上がるのでそこでどれだけ次の試合につなげられるか考えていた。(青学大と戦ってみて)中央大などと比べて2部なので、まさかこのような僅差での勝利になるとは思っていなかった。パワープレーのときに守りが堅くて全然崩せなかったたところがあったので、次の中央大戦ではそういうところで入れていかないと勝ちにはつながらないのでスペシャルプレーを大事にしていきたい。(良かった点)最後どういう形にしても勝ち切れたことは良かったと思う。4年生をベスト16で終わらせるわけにはいかなかった。(GWSは)正直、中高生のときも出たことがあったが、基本外していたので、そういうネガティブなことを考えないようにしていた。逆に入れるぞ入れるぞという気持ちもあるが、それも考え過ぎてもよくないので平常心でいこうとしていた。でもやはり緊張してしまった(笑)(明日に向けて)正直今日の試合は、自分的にはまったく良くなかったので明日は逆に勝ち負け関わらずに良かったと思えるようにプレーしていきたい」
▼嶋野
「(九大戦について)昨日は普通に入らなかった。得点は運だと思っている。動かないときにゴールを決めるのは逆に難しいと思った。(青学大戦は)昨日の試合とのスピード差が激しかったから、最初は流れがつかめなかった。だから試合としてはあまり良くなかったと思う。(GWSは)来るんだろなとは思っていた。得意ではないが、練習試合でしていたので。パックのコースは元々決めていた。今シーズン、関大GKに打っていて、あれやったほうがいいよて言われていたのでそれをした。(明日に向けて)勝つことだけを考えて、試合に臨みたい。負けたら終わりだから。関東の2位と関西の1位を比べてみると、関西の方がレベルが低いので、自分たちの方が下スタートかもしれないが、今日の青学大が自分たちに脅威的に最初なっていたみたく、そこから流れをつかめれば、今のメンバーはスキルある選手がたくさんいるので。(明日に向けて)勝ちます」
▼髙秀
「(自身のゴールについて)同点ゴールだったので、チームの流れが良くなるかなと考えていたし、まずスタートラインに立ったなという感じ。より一層気を引き締める1点になった。(ゴールシーンを振り返って)ゴール前でパックが流れてきたので、ここを叩き入れるしかないなという気持ちでゴール前入っていったので入ったときはすごくうれしかった。(全日本やインカレなど大事な場面のためにしていたことは?)特別になにかをしていたわけではないが、決めるという気持ちはいつでも持って、ゴール前に入ろうとしていたので、入れようとした気持ちが試合に生きたと思う。(悪かった点)朝早かったので気持ちが入るのが少し遅かった。このインカレの試合全戦朝が早いのでそこを改善していくのが今後の課題だと思う。(明日に向けて)4年生とプレーするのも残り少しなのでまずは楽しもうというのと、今までお世話になった4年生に恩返しができるように一生懸命プレーしたいと思う」
▼山根
「(自身のゴールについて)1、2セット目が本調子ではなくて、その中で4年生も最後の試合なので青学大も死ぬ気で勝ちにきていて、その中で自分が点数を決められたことはうれしいし、4年生とホッケーできることも素直にうれしいから明日も勝ちたい。(ゴールシーンを振り返って)第2P開始すぐワンシフト目だったが、普通なら抜きに行くところではないが、結構関大が押してて良いスピードに乗りながら71ひろきさんからパスもらえたのでチャレンジしてみようかなと思って、相手DFも足が止まっていたので、抜きにいって最後シュートは微妙だったが決めれてよかった。(悪かった点)セットとしては良いプレーができて調子が良かったが、昨日の試合で調子くるったところもあったのが反省点。(明日に向けて)今日の試合よりは格段にレベルやスピードが上がると思うので4年生が最後なので死ぬ気で1年生らしく泥臭くプレーして勝ちたい」