社会人チームに敗退。この結果を糧に全日本インカレでの躍動誓う

◇第89回全日本選手権大会(A)◇12月16日◇対日本製鉄室蘭アイスホッケー部◇長野市若里多目的スポーツアリーナ ビッグハット◇
[第1P]関大1-2日本製鉄室蘭
[第2P]関大1-2日本製鉄室蘭
[第3P]関大0-2日本製鉄室蘭
[試合終了]関大2-6日本製鉄室蘭
新型コロナの影響で2年ぶりの開催となった全日本選手権大会。1998年の長野五輪で使用された会場で、観客が見守る中、日本製鉄室蘭アイスホッケー部との初戦に臨んだ。


試合開始直後から、関西リーグでの戦い以上に速いスピードで試合が展開されていく。そんな中、わずかな機会をものにしようとFW黒須誠眞(情1)やFW泉大我(人3)がゴール前での攻撃を仕掛けるも、得点には至らなかった。


9分、この試合はじめての数的有利な状況となる。FW嶋野瑛心(文2)が巧みなスティック捌きでディフェンスを交わしながら、パックをアタッキングゾーンまで運んだ。その後、DF岩瀬谷拓哉主将(社4)、DF鈴木郁也(情2)、FW泉へとパスが繋がる。右側でパックを受け取ったFW泉から左側フェイスオフサークル付近にいたFW嶋野に再びパスが渡ると、FW嶋野はワンタイムシュートを放った。しかし、このシュートは惜しくもポストに阻まれ、先制点とはならなかった。


最大の好機を逃し、パワープレー(数的有利な状況)も残りわずかとなった。自陣にクリアされたパックをGK石田龍之進(経4)が右サイドに移動し処理したが、そのパックは相手選手に渡ってしまう。そのままシュートを放たれ、無人のゴールネットを揺らした。

先制点を決めた相手は攻勢を強めてきたが、12分、2度目のパワープレーとなる。第1セットのメンバー中心に攻撃を仕掛けた。DF熊谷天祐希(情3)がブルーライン付近からシュートを放ち、こぼれたパックをFW髙秀稜(社1)が押し込んだ。


1-1となり、同点のまま第1ピリオド(P)を終えたいところだったが、残り28秒で追加点を奪われてしまう。1点差で第2Pを迎えることとなった。
第2Pは序盤から相手のペースで進み、立て続けに2点を奪われてしまう。3点を追う展開で8分、パワープレーとなる。FW根本慎太郎(情2)が右サイドからゴールを狙ったが、得点には繋がらなかった。

セットを入れ替え、第2セットのメンバーがリンクに上がる。なんとかチャンスをものにしようと攻め続けた。ゴール前での攻防を制し、FW嶋野が追加点を決めた。


点差は2点に縮まるも、なかなか主導権を握れなかった。「落ち着いたプレーでパスを回されてしまった」とDF岩瀬谷主将が振り返るよう、パックを奪えず攻撃を仕掛けることができなかった。


2点差で試合は最終Pに突入。これまで以上に攻守の切り替えが速くなった。8分、一瞬の隙を突かれ5点目を奪われてしまう。関大も攻めの姿勢を貫くも、2-5のまま試合は進んでいった。
終盤、両チームともにペナルティにより1人退場し、キーパーを含めプレーヤーは5人に。その状況で関大はGK石田をベンチに下げ、得点機をうかがった。しかし、パックが相手に渡り、エンプティーゴールを決められ、2-6で試合終了を迎えた。


「関西リーグ以外の経験がない1、2回生がひるまずタフに頑張っていた点はすごくよかった」とDF岩瀬谷主将は語る。下級生にとっては、大きな経験となった。また、敗北したものの、月末から始まる全日本インカレの前に、速いスピードやパス精度の高いチームと戦えたことに意味がある。この結果を、この経験を生かし、2017年以来のベスト4進出を目指す。【文:遠藤菜美香/写真:勝部真穂】

▽大迫敬二郎監督
「立ち上がりに自分たちのテンポでできなかった。普段の力を少しでも発揮するのに少し時間がかかってしまったかなと思う。また、普段からケアしているバックチェックやディフェンディングゾーンでのカバーが詰め切れていないっていうのが明確になった。関西リーグから一気にスピード感や技術が上がり、対応し切れてなかった。来週のインカレではこれ以上のスピードや技術があることを前提に練習しなければいけないなと感じた。(関大の強みである組織的な動きができてなかったように感じたがどのように感じるか)パックもコントロールできていないし、スピードもコントロールしてから乗り切らない。はまり切らないので奥に入れてっていうのでいっぱいいっぱいだった。(社会人チームと戦ってみて)相手選手の方々はみんな技術が高くて、個々の能力では対応できなかった。ディフェンディングゾーンを簡単に割ることができなかったし、中に入ってもクリアされてしまった。差が感じられた。(ゲームプランは)スキルの勝負ではなく、足を使った攻撃を深いところでやるっていうのを選手には伝えていた。しかし、思っていたよりもディフェンディングゾーンでのプレーがうまくて、対人のところでついていくのがやっとだった。(試合後には)課題は明確になった。これまで以上に強い相手との戦いとなるので、モチベーションをコントロールしていかないといけないので、今日経験したスピードを意識してシステムであったりとか課題を修復していこうという話をした。(収穫は)パワープレーに関しては時間をかけて取り組んできたので、得点を決めれたというところはよかった。守りの時間が長かったんですけど、普段から言っていることを意識してやろうとはしていた。スピード感が上がったことでさらに意識していがなければならないという課題が明確になったのでよかった。いきなりインカレに行って、スピードが上がってしまったら課題を修復する時間がなかったので、経験できたことは大きい」
▽岩瀬谷
「日本製鉄室蘭はプレースピードと体の強さが関西リーグと違うなと感じた。それに合わせて、社会人ながらの落ち着いたプレーでパスが回された場面が多くあった。速いスピードの中で全体的に落ち着いたパス回しや判断ができていなかったなと感じたが、関西リーグ以外の経験がない1、2回生がひるまずタフに頑張っていた点はすごくよかった。課題としては、速い展開でのパスの精度や点数に結びつくようなプレーが足りない点です。それに対して東洋大学は、チームとして全員が役割を果たしていて、その点は関大もやらなければならない点だなと思う。今年は特に全員で頑張ってきたのでインカレベスト4に入る為に、中央大学に必ず勝ちたい」
▽石田
「(社会人チームと対戦してみて)関東の学生リーグに比べれば、関西の方がレベル的には劣る中、こういうレベルの高い試合は2019年釧路インカレぶりだったので、チームとしても勝って明日につなげたいという気持ちはあった。後輩たちにプロチームと試合をするという貴重な体験をさせてあげられなくてすごく残念。(試合前の緊張感は)長野オリンピックの会場だったリンクで試合ができるというのは光栄だし、ロッカールームも素晴らしかった。慣れない環境だったが、緊張というよりはここでできるといううれしさや楽しさの方が大きかった。(自身のプレーについて)大会前からすごくいい状態で臨めてはいたが、序盤にああいった形で僕1人のミスで失点してしまったことで、せっかくのチームのチャンスとか流れをものにすることができなくなった。悔しい。失点につながりやすいパスを通させてしまったところもチームとして課題だが、それと同時にそうやって作られたピンチを全て失点してしまったという部分で、そこを何本か止めていかないと勝てないと思った。守りの我慢強さが足りなかった。(収穫は)関大はパワープレーでの得点に力を入れているので、今日取った2点の両方がパワープレーだったっていうのは、攻めに関しては自信になったと思う。(インカレに向けて)去年1年間コロナウイルスの影響で全国規模の大会がなかった。今の1、2年生は特に大舞台での経験が少ないので、少しでも多く大きな舞台、インカレで経験を積ませてあげたい。僕が入学してから、それまでは関大は毎年ベスト4の枠を持っていて、上位のチームと戦える強いチームだったが、僕が入学した年にベスト8で負けてから上がれていないので毎年悔しい思いをしている。今年の4年生で後輩たちのためにもベスト4のシードを取り返してやりたい。インカレではまず中央大学に勝利して順位決定戦と準決勝に進めるように、もう1度チームで課題を見つめ直して練習していきたいと思う。試合経験の少ない後輩にも4年生の最後頑張る姿で何か伝えられたらなと思う」
▽高秀
「はじめての全日本選手権大会だったが、常に挑戦していく気持ちで戦っているので緊張はしなかった。リラックスしてプレーできたので良かった。社会人チームと対戦してスピードやパワーなど圧倒される部分もありましたが、ゴール前でのバトルでは通用する部分もありインカレに向けて自信につながった。(ゴールについて)点数を決めた際は、少ないチャンスをものにしようと必死だった。同点ゴールを決めることができたのでうれしかった。ゴールはあくまで目標ではなく通過点だったので、より一層気持ちを引き締めるきっかけになりました。(インカレに向けて)残り少ない時間で精一杯準備していきます。新たなカテゴリーでの初めての大舞台なので新人らしいフレッシュなプレーをしていきたい。先輩達と頑張ってきたこの1年間を全て出しインカレベスト4を達成します」
▽嶋野
「はじめての全日本選手権大会は、氷上のアップが始まるまでは緊張していた。パスの精度や体の強さ、関西では経験できないプレーを近くで体験でき、何より楽しかった。(ゴールについて)パワープレーのチャンスだったので自分が決めると言うよりかはセットで決めようという気持ちでプレーしていた。中学生の時から見ていたチームを相手に得点できたのでとても嬉しかった。(インカレに向けて)今年はキャプテンを中心に練習をしていて、個人的にはGKの石田選手に様々なことを教えていただいたので、それをいかして楽しくアイスホッケーをしたい。そしてインカレベスト4という目標を必ず達成します」