天皇杯初戦プロ相手に健闘。エース引退で新チームに

◇令和3年度天皇杯・皇后杯全日本選手権大会ファイナルラウンド◇対富士通カワサキレッドスピリッツ◇12月10日◇高崎アリーナ◇
[第1セット]関大18―25富士通
[第2セット]関大21―25富士通
[セットカウント]●関大0―2富士通
10月に行われた天皇杯近畿ブロックラウンドを勝ち抜き、本戦出場を決めた関大男バレ。トーナメント初戦はV2の富士通カワサキレッドスピリッツが相手と強敵だ。第1セットは硬さが見られセットを落としたものの、第2セットは序盤の連続得点でリードする。粘りを見せたが、相手の巧みな攻撃や高さにはかなわず敗戦。しかし、今年度初の全国の舞台でプロ相手に善戦した。



第1セットは先制点を許してしまい、相手の高さのあるスパイクやクイックに翻弄(ほんろう)される。硬さが目立ちなかなかブレイクすることができない中、南本一成(商4)が相手リベロを吹き飛ばす1本を決め、藤井徹太(社4)がライトからのスパイクで得点するなど、徐々に点差を詰めていく。相手の攻撃を安平瑠也(商1)と南本が幾度となくディグし、つないだボールは安平からの2段トスで金子玄(人2)が決める。同点まで追いつき、次第にリズムを取り戻した。




南本がライトからのバックアタックで相手ブロックを大きく弾き、岡田大雅(経3)がセンターから速い攻撃で得点するものの、相手にブレイクを許す。サーブやスパイクでミスが出てしまい、点差を広げてしまう。金子がレフトからライン上にクロスを決め込み粘りを見せるが、相手の攻撃を攻略できず第1セットを落とした。



3セットマッチのため、第2セットは何としても取りたいところ。第2セット立ち上がり3失点となるが、岡田がブロードを決めると関大に流れがやってくる。岡田と南本がブロックで相手の攻撃を絞ると、久保田滉平(情2)のディグしたボールが相手コートに返りイレギュラーな1点を決める。そして相手のスパイクミスで逆転し、岡田が相手キャプテンの強烈な攻撃を見事ドシャット。5連続得点で猛攻を見せた。



その後も、金子のブロックアウトと藤井のCクイックで得点したが、相手のブレイクが重なり同点に引き戻される。攻撃がブロックにつかまり3連続失点で逆転を許す展開に。岡田のクイックや金子のクロスで食らいつくが、あと一歩差が縮まらない。セットポイントを握られるが、南本がレフトから攻撃し粘りを見せる。しかし、最後は相手のフェイントに反応できずセットを落とし、1回戦敗退となった。




惜しくも敗北を喫したが、プロ相手に健闘。池田勇太郎主将(法3)は「ミスもあったが、2セット目は関大らしくプレーできた」と振り返った。今大会で4年生全員が引退となり、強力なエースがチームを離れる。大きな舞台を経験した新チームが、これからの関大バレーを作り上げていく。【文:小西菜夕/写真:横関あかり・小西菜夕】


(左から)南本・松野・田村・蓮尾・三木・藤井
▼池田主将
「格上なんで、ぶつかっていくという気持ちでやってて、ミスとかもあってなかなか自分たちのバレーができていなかったんですけど、2セット目はまだ関大らしく(プレー)できたんじゃないかなと思います。4回生最後やったんですけど、良かったんじゃないかと思います。(新主将として)4回生もいるので難しいところもありますけど、キャプテンで天皇杯来れたっていうのは1つ来年につながる経験になるのかなと思います。(来週に向けて)メンバーがガラッと変わって雰囲気も変わるんで、また新しく雰囲気づくりとか、メンバーの個性に合わせていいチームを作っていけたらと思います」
▼田村幸大前主将(情4)
「格上の相手やったんで負けるのは仕方ないことやと思うんですけど、後輩とか含めて全員が楽しそうにプレーしていたのでいい試合やったと思います。(4年間を振り返って)僕からしたらレベルの高い選手がたくさんいて、和気あいあいやっていて、いいチームやなと思いながら4年間過ごせたんで、大学の1番の思い出です。(主将としての1年間)前半はコロナで思うように試合ができなくて、モチベーション保つのとか大変やったんですけど、秋リーグや天皇杯とか、普段天皇杯出れてないのに出してもらって、大きな大会でバレーできて、本当に1年間変な奴ばっかりで大変やったんですけど、頑張れてよかったと思います。(後輩たちへエール)バレーで勝つためにはバレー以外の所もしっかりしないといけないと思うので、バレーの練習だけでなく、ちゃんと関大のバレー部らしい差を出せるように頑張ってください」
▼南本
「やっぱり格上やったんでしんどい試合やったけど、自分的にはもっと出し切れたかなという感じはあるけど、この大会で試合ができてよかったと思います。(富士通は)一人一人もうまいし、チームとしても強いなと思いました。(4年間を振り返って)良かったこともいっぱいあったし、なんで(バレー部)入ったんかなと思ったこともあったけど、総括して楽しかったです。(後輩たちへエール)今年感じたのは後悔の方が多かったので、自分らが引退するときに後悔がないように、今を大切に頑張ってほしいと思います」
▼藤井
「大学生相手に通用していた部分が通用せず、プロのチーム力を見せつけられた試合だった。相手はブロックの上からや、選手がいない所に打ったりしていたけど、自分達はまず高さで負けていて、相手にはめられていた部分があったと思う。(4年間を振り返って)1度部を離れてまた戻ってきた身として、最後試合に出て引退を迎えられたことが社会人でも生きてくると思う。入部当初2部から始まり、エースとして試合に出られて、西カレベスト8や(リーグ戦)1部6位、天皇杯ファイナル出場などの成績を残せたのは、先輩方や後輩、みんなのおかげなのでめちゃくちゃ感謝しています。特に池田は今年1年セッターとして、トスを何本も託してくれて、他の部員以上にコミュニケーションをとってきました。池田が居なければみんなも輝いていなかったと思うので、後輩ながら尊敬しています。(後輩たちへエール)自分が入学してから南本と2人でエースとしてチームを引っ張ってきたけど、自分達2人が抜けた穴をうまく利用して欲しいです。全員がエースになれるチャンスやし、今までと違った関大バレーを作れると思う。どんどん挑戦して、試行錯誤を繰り返していけば結果はついてくるので、失敗しても諦めずに目標に向かって進み続けてください」
▼蓮尾優大(経4)
「全体的に良かったかなという印象はあって、雰囲気も悪くなかったですし、楽しくできていた。最後4回生も生き生きしていたので良かったと思います。(4年間を振り返って)1年目は正直、出れるチャンスとかなくて苦しい時期が続いたんですけど、3回生のときスタメンとして出れた機会もありましたし、4回生でも1試合だけ起用してくれたことが自分の中でもこれからの財産になってくるなと思ってきたので、この4年間すごく頑張ってきてよかったなと今思います。(後輩たちへエール)(南本)一成と(藤井)徹太が抜けるだけで来年も強いメンツが残っているから、絶対春リーグ優勝してください」
▼松野龍紀(環都4)
「今日はやっぱりプロ相手やったんで、実力の差を感じました。みんなはすごい頑張っていました。よくやった方やと思います。(4年間を振り返って)なんだかんだ文句言いながらやってたけど、楽しかったかなと思います。特に何気ない日常が楽しかったかな。これといったことはないけど、みんなでプレーすることが楽しかった。(後輩たちへエール)仲良く頑張ってください」
▼三木菜恵子(経4)
「みんながすごく頑張っていたのが伝わってきて、負けちゃったけど、一生懸命プレーしていて、1点1点がしびれました。(4年間を振り返って)ほんまに大変な代やったんですけど、4年間(マネージャー)やってきて、自分がマネージャーとして選手を支えようと思っていたけど、自分を支えてくれていたのは頑張っている選手やって、支えられているのは自分やったんやなて思います。続けてよかった。良い後輩を持ててよかったです。(後輩マネージャーへエール)マネージャーは4人いて、一人ひとり違う良さがあるから、それぞれの良さを生かしてチームのために頑張ってほしいです。(選手たちへ)みんなが楽しんでバレーをしている姿が私は好きなので、勝つことも大事やけど、バレーを楽しんで4年間後悔のないように頑張ってください」