王座決定戦、悔しさ残るベスト4

◇第45回全日本学生女子王座決定戦・第45回女子東西学生選抜対抗試合◇11月22・23日◇伊勢神宮弓道場◇
【試合結果】
【王座決定戦】
[トーナメント1回戦]○関大28―23桜美林大(全36射)
[トーナメント2回戦]○関大27―18信州大(全36射)
[トーナメント準決勝]●関大25―31四国大(全36射)
【東西学生選抜対抗試合】
○西軍147―136東軍(全200射)
リーグを全勝で優勝し、王座出場をつかんでから1カ月。いよいよ、伊勢の地で王座決定戦が開催された。先発メンバーは、植木鈴華(商2)、角朋香(政策4)、三屋莉歌(法4)の3人。かならず全国の頂点に立つべく、試合に臨んだ。


トーナメント1回戦の相手は桜美林大。過去に数回敗北を喫している、因縁の相手だ。初立の1本目は、緊張からか角の的中のみにとどまった。その後もなかなか3本全ての的中は出せないものの、最終4本目でしっかりと全員があてきった。角が皆中を果たしたが、初立の合計は8中とあまり奮わない結果に。一方桜美林大は7中。1本リードし、2立目を迎えた。2立目では、関大は本調子を取り戻した。最初の2本は全員が的中。その後は植木と角が1本ずつ外してしまうも、合計で10中を記録。三屋が皆中を果たし、6中の相手を大きく突き放した。3立目でも安定した行射を見せる。2立目同様最初の2本を全員が順調にあてていく。3本目は植木の1中のみとなったが、4本目では角と植木もしっかりと修正し3本とも的中。合計10中となり、植木が皆中を果たした。結果は、28―23で関大の勝利。目標の30中には届かなかったが、各立で3人それぞれが皆中を果たし幸先のいいスタートとなった。



2回戦は、信州大との1戦。関大は1立目から好的中を見せる。三屋の2本目が惜しくも的から逸れるも、残りの矢は全て的中。11中を記録した。一方相手は奮わず、3中という結果に。1立目から8中のリードを奪った。勢いそのまま10中以上を出したかったが、続く2、3立目では8中にとどまった。しかし相手も好的中とはならず、リードを奪ったまま9中差で勝利。準決勝へと駒を進めた。




勝てば決勝進出の準決勝。迎えうつ相手は強敵・四国大だ。初立、関大はこの日最も少ない的中数である7中を出してしまった。植木が皆中となったものの角が2中、三屋が1中となってしまう波乱の展開に。対して相手は10中と、初立から強さを発揮した。2立目からは、本調子ではない三屋に代わり髙平愛花(人4)が登場。チームで気持ちを切り替え、巻き返しをはかった。最初の2本は全員が的中。順調な滑り出しとなった。しかし、準決勝では角も本調子ではない様子。2中にとどまったものの、植木と髙平が皆中を果たし、チームで10中をたたき出した。最終、3立目。やはり調子が奮わず、角の的中が1中となってしまった。しかし、ここでも見せたのが髙平だ。「絶対にあたると確信できるまで離さない」。もう1人のリリーフメンバーである奥野早紀(化生3)がそう感じるほどの、気持ちのこもった射を見せつけた。そして髙平は皆中。リリーフで入り、試合で引いたのはたった8本だったが、これを全て的中させる執念の行射となった。しかし、やはり相手は強敵。31中という好的中を見せつけられ、関大は6中差で準決勝敗退となった。





2日目午後には東西学生選抜対抗試合が開催された。リーグ戦の結果により、東西それぞれの上位10名が出場する。壱の立、弐の立の2チームに分かれて5人ずつ引いていき、計10人の的中数を競う。猛者のみが出場を許されるため、弓道競技者にとっては憧れの舞台でもある。その大会に、西軍の代表として関大からは植木と三屋が出場した。

壱の立の大前として植木が、大落として三屋が出場。1立目、トップバッターである植木の1射目は見事的中。後続を勢いづけるスタートとなった。三屋も4本中3本を的中させ、チームに貢献した。1立目の10人の合計は31中。東軍は27中だったため、初立から1歩リード。しかし2立目、植木が1中となってしまう展開に。2立目を最後に、交代を余儀なくされた。「昨日負けたというのを引きずってしまった」と、植木も悔しさをにじませた。一方三屋は順調に的中を重ねていく。3立目までは各3中、4立目では皆中を果たした。チームとしても、4立目まで各立の的中数で東軍に劣ることなく試合は進む。そして最終立。三屋にとっては大学公式戦最後の立となる。しかし、壱の立が20射中9中とどまってしまった。三屋の最後の1本も、惜しくも的外へ。最終立の結果は西軍27中、東軍28中と、唯一引けを取ってしまった。だが最終結果は147―136。西軍が7年ぶり15回目の優勝を果たした。



圧倒的強さでリーグ優勝を果たし、日本一を狙える強さを携えて挑んだ王座決定戦。本気で頂点を目指していただけに、非常に悔しい結果となった。試合後には、部員たちはそろって涙を流した。4年生にとっては集大成の場となった今大会。満足のいく結果で終えることはできなかった。だが、最後まで決して妥協せずに弓を引ききる姿は、間違いなく見ている全ての人に、応援してくれた人たちに、そして何よりも後輩たちに、感動を与えた。日本一の夢は、後輩たちが必ずかなえてくれるに違いない。1年後、この伊勢の地で必ずリベンジを果たす。【文/写真:横関あかり】






※写真撮影時のみ、マスクを外しています。
▼植木
「(王座について)準決勝で負けてしまったのが悔しいというのが1番にあります。3人で引いて30中以上を出すというのをコンスタントにやっていこうというのを目標にこの王座に向けて練習をしてきました。試合当日に出た的中が、いつもの的中よりも少ない数字が多くて。私たちの実力が最後まで出し切れたかと言われると、そうでもないなという、少し悔いの残る試合だったなと思います。(東西について)朝、付け矢という練習の時間があったんですけど、その時からあまりあたっていなくて。昨日の王座が終わった時に、明日の東西に向けて頑張ろうというふうに切り替えようと思ったんですけど、やっぱり少し、疲れもあっただろうし、気持ち的にも、昨日負けたなというのを引きずってしまったのが、この的中にもつながっているのかなと思います。自分の自己管理力が甘かったなと思います。試合では大前に選んでいただいたので頑張ろうと思って入ったんですけど、外してしまって。もっともっと練習ではあたっていたのに、大事な場面であてられないというのが自分の中での1番大きい課題だなと思いました。来年はしっかりと最後まであてられる選手になりたいなと思う試合でした。(4年生が引退して新体制になることについて)4年生は、去年から今年にかけてずっと選手として引っ張ってくださっていた方が多かったです。2年生3年生もメンバーにはいるんですけど、やっぱり主戦力は4年生というふうになっていました。その方たちが抜けてしまうので、新しく、きちんとあてられるメンバーをつくっていかなければいけないなというのが来年度からの課題になってくると思います。新体制になった時に、新しく幹部になる人たちのサポートもしっかり自分たちができるようにもなりたいなというふうに思いました。(今後の練習に向けて)試合想定の練習ができていなかったというふうに自分では思っていて。練習ではあたる、とか、対面で相手がいる時の緊張状態を練習の時から自分で作り出すことができていなかったなと今回思いました。なので、オフシーズンでの練習で、自分の技術をしっかり1から磨き直すのと、緊張した矢をどうやったら自分の中であてにいけるかという、気持ちの面でのコントロールも頑張っていきたいと思います。来年、王座と東西でしっかりとリベンジを果たすので、応援よろしくお願いします」
▼三屋
「(王座について)伊勢の舞台に立つことにすごく緊張したけど、最初は楽しめたなと思います。やっとここに立てたという気持ちでいっぱいでした。自分が楽しむのもそうだし、いつもやっていることを、ここできちんとやりきろうと思って入ったので、楽しかったなと思っています。準決勝の大事な場面で自分の実力を出し切れなかったので、私のせいで負けたも同然だなと思っています。悔しいの言葉では表せない、私だけにしか分からない感情だと思うんですけど、昨日から涙も出ていないほど悔しいです。最後まで楽しむという気持ちも忘れたらいけなかったなというのは、今思っています。(準決勝は)付け矢の時からきちんとあたっていたし、いつも通りできていたはずなんですけど、少し冷静さに欠けていたかなと思っていて。12射を重ねるごとに「やばいかもしれん」というのがあって、あたる感覚ではないなというのがありました。どうやって修正しようというのが24本の中で起こってきて、準決勝の最初の4本でリセットできませんでした。行射中も集中はしているんですけど、いつもなら『この感覚は絶対に上にいくからこうしないと』みたいな、いつもならできていることができませんでした。振り返ってみても、緊張していたのかなと思います。現実だけど現実ではないみたいな、昨日は本当にふわふわした感じでした。その状態で最後までやってしまったので、冷静に、もっと自分の射に対して対処できていたらよかったのかなと思っています。(東西について)めちゃくちゃ楽しかったです。自分が1年生の時に、『全国のトップ5の人たちが集まっている』と感じてずっと憧れていました。そのすごい人たちと、伊勢で並んで引けるというので、すごく楽しかったです。(4年間を振り返って)全日本1位という結果は、4年間追い求めてきて、達成できませんでした。日本一になると毎年言っていたけど達成できなかったのは、1番悔しいです。4年目でやっと花開いて、日本一になるチャンスも3回いただきました。全国に通用するレベルに4年間でやっとなってきたし、頑張った成果や努力の成果がきちんと出ていたのに、それを本番で発揮できなかったというのが悔しいです。でも自分の中では、努力は報われるというのをきちんと証明できたかなと思っています。1年生の時は本当にあたらなかったんですけど、今は選手として貢献できているので、あたらなくてもあたるようになるんだよということは証明できました。でもやっぱり最後は技術なんだなと思いました。とりあえず、4年間頑張ったねと自分に言ってあげたいです。(後輩たちへ)とにかく感謝の気持ちがあるので、みんなにありがとうございましたと言いたいです。『関大は王座常連校』と言ってもらえるように、頑張ってほしいです。今回も応援PVを作ってもらったりして形にしてもらったので、私1人で戦ってるのではないと気付かせてもらったので、本当に感謝しています。あと、最後にものを言うのは技術です。毎日1本1本を積み重ねていくことは試合当日に糧になるから、無駄な1本だと思わずに『この1本で』という意識で積み重ねていってほしいと思います。私は努力は報われるということをきちんとは証明できなかったから、後輩たちが、努力は報われるということを日本一になることで完全に証明して欲しいなと思います。関大ならできると思うので、あとの日本一への道は託したと言いたいです」
▼髙平
「自分個人としては、しっかり全部の矢をチームのために、みんなのために引けて、試合が終わってから、色んな人からメッセージが来ました。監督だったり、今日来ているメンバーからもなんですけど、すごく感動したと言ってもらえて。8本しか引いてないんですけど、粘ってあてることができたので、部の目標としている『感動を共有する』というところは、自分は達成できたなというふうに思っています。チームとしては、今年はベスト4止まりで終わっていて、今年2回目のベスト4でした。私はこれが最後の試合で次がないので、このベスト4で満足するしかないんですけど、後輩たちにはベスト4で満足してほしくないというのがあります。2回目のベスト4で、次の決勝に進むには自分たちには何が足りないのかが分かってきたと思います。なのでしっかり来年の新シーズンからは、全国の舞台に立った時に1歩成長して今年のチームや戦績を超えて、ゆくゆくは日本一になってほしいです。自分はもう達成できないので、後輩たちを信じて託そうというふうに思っています。(交代で入った時の心境)心が揺れないように、相手がどれだけあてているかはまったく気にせず、自分に与えられた矢、とりあえず4本をしっかりあてようと思っていました。交代は2人なんですけど、自分が選ばれて、まだ引いてない人もですし、交代になった三屋も、しっかり矢をつなげていこうというふうに考えて入りました。あてようと意識したのは最後の8本目だけでした。行射中も、関大のためにと思って入っていました。(4年間を振り返って)楽しかったと思えるんですけど、やっぱりつらかったことやしんどかったこともたくさんありました。その中でもずっとやって来れたのは、すごく弓道が好きという気持ちと、絶対に諦めないという気持ちがあったからだと思っています。その諦めない気持ちと、しんどかったりつらかったりする経験の2つが合わさって、王座で8本全てあてられたことにつながっていると思っています。勝てなかったんですけどベスト4で、自分は大学生の弓道をしている人の中であったり、スポーツをしている中では、自分の役割を果たしてベスト4で終えられたのでいい締めくくりができたと思っています。もう1つは、自分たちと同じように、日本一を目指して頑張っている他大学の人たちの関西代表として出させてもらっています。自分がよかった、うれしいと思える気持ちの裏には、たくさんの人の悔しいという気持ちがあるので、今回自分が伊勢にみんなと来れて、ベスト4まで上がれて、選手として引かせてもらったことは、すごく幸せなことなんだなと思いました。私的には、すごくいい締めくくりになったかなと思います。(後輩たちへ)4年生は満足するしかないんですけど、後輩たちには今回の結果には満足せず、今年1年で得たものがすごくあると思うので、辛いことをたくさん経験して、私たちが経験できなかった日本一というのを、諦めずにしっかりと達成してほしいと思っています。達成できると信じています」
▼角
「日本一を目指していたので、悔しいの方が強いんですけど、それと同じぐらい楽しめました。(リーグからの練習で意識したこと)大三と引き分けです。ずっとリーグの時から言われてはいたんですけど、リーグ戦ではあてないといけないので、そこで射を直すのはリスクがありました。なのでリーグが終わってから、王座に向けてそこを改善しようとしていました。(自身の行射でよかったところ)自分の強みである会でしっかり伸びあってから離すというのはずっとやり続けていて、王座でもしっかりできたのでよかったところかなと思います。(4年間を振り返って)成長したなと思います。初心者で入ってきて、最初は弦で顔を払っていたり、前の的に飛ばしたりしていたんですけど、そう考えると、こうして王座の舞台まで来れたのは一歩ずつだけど着実に成長して来れたからこそだと思います。成長できたのも、1回生の時から新人監督の方が一から丁寧に教えてくださったりとか、監督やコーチにたくさん指導してもらったりとか、応援してくださるOB・OGの方たちや同期、先輩後輩とか、そういう存在があったからこそ成長できたのだなと思います。その環境がある関大で弓を引けたのは自分にとって財産になるいい経験だなと思います。(後輩たちへ)自分たちが練習でやっていることを信じて、これからもやり続けてほしいなと思います。私たちが達成できなかった日本一という目標をしっかり達成して、日本一になった景色を自分の目で見てほしいなと思います。見せてほしいというよりは、自分の目で見てほしいなと思います。自分は初心者から始めて、この王座という舞台に立たせてもらいました。最初に入ってきた時は自分全然やなとか、試合に出られていないなとか、成長しているのかなとか、不安になることもあると思います。それでも頑張れば、自分がなりたい姿になれるというのを伝えたいなと思います」
▼奥野
「日本一になるには、技術と実力と運と、全てが必要なのだなと感じました。技術があって的中が出て、その的中がちょっとでも足りなかったら負けは負けだし、1本でも技術が上回れば勝ちになるから、本当に小さなことかもしれないですけど、大きな結果につながってくるのだなと感じました。まだまだ技術を向上させて的中を上げて、安定して好的中を出し続けるというところまでもって来ないと、安定して勝つことはできないのだなと感じました。どこの大学と当たるのかも大事になってくると思うので、運も大事だと思います。監督やコーチも最後は運も必要やとおっしゃっていて、その通りだなと思いました。やっぱり1番は実力がどれだけ伴った状態でこの舞台に立てるかというのが大事だし、来年に向けて自分たちが1番向上させていかないといけないところだなと感じました。(4年生の射を見て)4回生は最後ということで、その分気合いも入っているし、今までやってきたこと全てを出し切ろうとしておられる姿を見ていて。特に髙平さんがリリーフで出た時の射は、絶対に抜かない、絶対にあたると確信できるまで離さないという心意気とか、そういう部分がすごく見えました。かっこいいとかでは表せないぐらいの、感動したという感じで、それぐらい気持ちのこもった射を見せてくださりました。4回生だからこそできる射なのかもしれないんですけど、そういう気持ちが必要だし大事ということを見ていて思いました。あれだけ気持ちのこもった射をできるようになるには、それだけの努力とか悔しいこととか困難を乗り越えた先にあると思うので、そこは本当に感動しました。角さんも、最後の1試合は調子悪かったと思うんですけど、調子が悪い中で、どれだけ自分ができることをやるかみたいなのを感じました。三屋さんも1本抜いてしまった後に頑張っておられた姿を見て、最後にこんなに、自分の力を出し切るために、今までやってきたことが報われるために、一生懸命できるというのは本当に素敵だなと思いました。来年自分も、そういう姿を見せて、後輩たちに同じような気持ちになってもらえたらいいなと思いました。(今後に向けて)今回、この試合に選手として来た3回生は私だけなので、今回感じたことを後輩たちや同期に伝えて、より強いチームを作りたいというのがまずあります。今回の結果は、正直今までの力を全て出し切れた上で負けたというよりは、出し切れない部分も少しあって終わってしまったので、来年はしっかりと自分たちの力を出し切れる状態にまで持ってきた上で、試合に臨めるようなチームを作っていきたいなと思います。最後に悔しくて泣くのではなくて、うれしくて泣くという終わり方ができるようなチームにしていきたいなと思います。今回のチームは、全員が支え合ってお互いのことを思って、メンバー以外の人たちもメンバーたちのことを思って応援して、というふうに全員で戦おうとしてきたチームだったと思います。なので、来年はそれをさらに上回って、全員で一致団結して、関大として戦って、勝ちに行く。そんなチームを作れるように、頑張りたいと思っています」